教育の仕事はもしかすると人類の衰退を加速させているのかもしれない

自分の仕事が世の中に与えている影響とか、どれくらいの人が考えているものなんだろう。

自分がやりたいこと、好きなこと、やっていて楽しいと思えること、稼げることなど、何かしら自分にとってプラスになる事を仕事にすることがとりあえずの正解なんだろうけれど。

世の中を少しでも良いものにしていこうと思うなら、自分の仕事が社会に与える影響も考える必要もあるのかもしれない。

私は今現在IT業界の教育に関する仕事をしていて、教育の仕事というのは人類が進歩していくために必要な仕事だと勝手に思っていた。
だけど、いろいろ考えた結果この仕事は実は人類の衰退を加速させる仕事なのかもしれない、と思ってしまった。
今回はそんな話。

これは個人の勝手な思い込みなのだけれど、人類というのは時代が進めば進むだけ進歩していくものだと思っていた。
そして、実際に進歩してきている、と思っていた。

けれど、とある本を読んでいたときに、時代が進んでも人類は進歩していない。むしろ衰退しているのかもしれない。と感じてしまった。

冷静に考えてみると、例えば
昔の哲学の考え方は今の時代にも大きな影響を与えているし
聖書などの昔の物語は今でも大きな影響力を持っているし
古典と呼ばれる昔の読み物は今でも読み継がれている。
何なら、今こそ古典を読むべきだと推奨している人も多くいる気がしている。
世の中では毎日のように新しい書籍や動画などのコンテンツが登場するにもかかわらず、古典が注目されるという事実が、人類は進歩していない事の証なのかもしれない。

とはいえ、科学(サイエンス)と技術(テクノロジー)は、間違いなく昔の時代よりも進歩しているし、今も進化し続けている。

私は今まで、科学と技術が進歩していることが人類の進歩だと勝手に思っていた。
だけど多分、その考え方が間違っていたのだと思う。

科学と技術が進歩することで昔に比べると世の中は大きく変わった。
音声と映像の技術が発展したことで、ラジオと映画が生まれた。
そしてテレビというメディアが生まれた。
その後、インターネットが発達し、SNSが生まれ、スマートフォンが生まれた。
技術の発展は凄まじい。
だけどその結果、世の中は大きく変わり、そして思考停止の人が多くなった。
現在人々の行動の原理の多くはテレビというメディアの影響か、YouTubeの影響かSNSの影響なんじゃないかと思う。

つまり、時代が進むにつれて発展していたのは科学と技術で、多くの人は発展した技術によってしか意思決定ができなくなった。
そして技術は多くの人々の自発性を奪って思考停止を多く奪う結果になった。

だから私は、人類は時代が進んでも進歩しているわけではなく、むしろ衰退しているんだと考えるようになってしまった。
今の時代は戦争とかもあまりなく比較的平和な世の中なので、そういう意味で昔より良くなっているという見方はあるかもしれない。
だけど、人類が進歩した結果なのかと言われるとかなり微妙なように思う。

昔、SNSやインターネット、テレビが誕生する前というのは、今よりも自発的に考えることが必要な場面が多かったのかもしれない。
古典というのは、SNSやテレビといった、人々の意思決定に影響を与えるものが今よりも少なかった時代に書かれたものだからこそ、より人間の本質が明確に表されているのかもしれない。
だから今、古典というものが注目を浴びているのだと思う。

話を戻すと、私は今ITの教育の仕事をしている。
最初の方に書いたけれど、私は時代が進めば進むだけ人類は進歩していくべきだと考えていた。
そのためには、自分が頑張って身につけたスキルを、自分よりも若い世代に対してより短い時間で身につけさせることが重要だと考えている。
そうでなければ、技術が発展していかないと思うから。

アイザック・ニュートンが科学の発展について「巨人の肩の上に立つ」という表現をしたとされていますが、それに似たイメージ。

そうやって考えると、IT技術者を育てることで、ITを使って楽になる人が増え、結果として世の中の役に少しだけ立っているようにも思う。
でもそれはきっとミクロで見た場合の考え。
技術が発展することで人々から自発性がなくなり、人類の衰退が加速していくと考えるならば、IT技術者を教育する仕事というのは長い目で見ると人類の衰退を加速しているのかもしれない。

ただ、人類が衰退することが悪いことではないのかもしれない。
世の中のほとんど人が思考停止で自発的に行動できない人になってしまったとしても、それで世の中がうまくまわり、多くの人が幸せに暮らせるのなら、それはそれで素敵なのかもしれない。
幸福と進歩はきっと全く別の軸で考える必要があるのだと思う。
だから、別に人類の衰退を加速させる仕事はそれはそれで良いのかもしれない。

というか、こうやっていろいろと考えてはみたものの、すごい技術力も影響力もない自分一人が何をしても世の中への影響力は対してないので、そんなんことは考えず、思考停止してとりあえず目の前のやる事をなんとなく頑張ろう。

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