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通勤時間と労働時間

最近、同じ仕事で在宅ワークと出社が切り替わることがあり、それがきっかけで働き方について考える時間が増えました。
その中で1つ、気になったことがあります。

それは、
労働基準法の定める労働時間や残業時間の中で、通勤時間はどういう扱いになっているのか、ということです。

色々調べているとこんな記事を見つけました。

通勤時間は原則として労働時間にはならないらしい。
理由は、通勤するまでの時間は自由に使うことができ、指揮命令に入っていない時間だから、とのこと。

なるほど。言っている意味は理解できます。
けど、正直納得はできないな、と思いました。

私の現在の仕事は勤務時間が8時間で、週5日(平日)のみの業務です。
残業はほぼしていません。
ただ、通勤する場合は職場まで車で通うことになり、家を出てから職場まで片道で1時間近くかかります。往復だと2時間弱。
1ヶ月に20日出勤するとしたら、40時間近くを通勤時間に使っていることになります。

私は運転があまり好きではないこともあり、仕事中よりも通勤中の方が体力の消耗や精神的なストレスが大きいです。
そう考えると、体への影響としては、もはや月に40時間残業しているのと変わらない、もしくはそれ以上の影響が出ているのでは?と思うようになりました。

厚生労働省の労働時間と残業時間は以下のように定められています。

法律で定められた労働時間の限度
1日 8時間 1週 40時間

残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/overtime.html

同じく厚生労働省が出しているPDFにはこんな記述も見つけました。

「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(平成13年12⽉12⽇付け基発第1063号厚⽣労働省労働基準局⻑通達)において、
・1週間当たり40時間を超える労働時間が⽉45時間を超えて⻑くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まるとされていること
・さらに、1週間当たり40時間を超える労働時間が⽉100時間⼜は2〜6か⽉平均で80時間を超える場合には、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いとされていること
に留意しなければなりません。

https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

なるほどなるほど。
1日8時間、週40時間を超える場合の労働は残業時間となり、残業時間は原則として月45時間を超えることはできない。
そして、この45時間という基準の根拠は、脳や心臓疾患など、健康に対する影響からそのように定められた可能性が高そうです。

ここでまた1つの疑問が生まれます。
この45時間を超えた場合の身体への影響について、通勤時間は考慮されているのだろうか?ということ。
例えば、徒歩15分で通勤している人の45時間の残業と、毎日車で1時間の通勤をしている人の45時間の残業では、重みがまるで違います。
どれだけ体に影響が出るかは仕事の内容にもよるし、通勤手段にもよりますが、私の場合、通勤で毎日2時間使うとするなら、月40時間の残業でも体力がもたず、身体が悲鳴を上げそうです。

なので、通勤時間や通勤方法を考慮せずに、単純に労働している時間だけを基準に労働時間や残業時間の上限を決めるのはかなり乱暴だなと思いました。

欲を言えば、通勤をするなら通勤時間も労働時間に含めてほしい。
あるいは通勤時間分の残業代がほしい。
それが無理ならせめて、残業の上限時間から通勤時間は差し引いてほしい。
もちろん、通勤中の時間は仕事上の成果を出しているわけではないので、経営者の目線に立てば通勤時間を労働時間に含めるのは面白くない話であることも理解はできます。
とは言え、営業活動や打ち合わせなどで外出する場合の移動は労働時間に含まれるわけなので、それならば通勤も労働時間にカウントして良いのでは?とも思います。

難しいなと思うのは、世の中には物理的に出勤しなければできない仕事もたくさんあるので、そんな通勤することが前提の仕事で通勤時間をどう扱うのはか難しい問題だと思いました。
また、通勤のストレスの大きさは通勤手段によもよるし、通勤によるストレスの感じ方も人それぞれなので、それを「通勤時間」という一括りにして扱うのも色々と課題が出てきそうだなとも思います。

ただ、今はリモートでも十分に成立する仕事もたくさんあります。リモートでも成り立つ仕事をしているのにも関わらず、出社することを指示するのは、ある意味指揮命令下にあると言っても良い気もしてきます。
少なくとも、リモートで成り立つ仕事において通勤を求める場合、その時間をどういう扱いにするのかはもっと議論しても良いのではないかと思う。

働き方改革という言葉はコロナが流行する前に生まれました。
この言葉によって多くの企業で働き方や労働時間に対する見方が多少は変わったように思います。
ただ、その後コロナの流行によって、働き方は大きく変化しました。
今一度、働き方改革を改革することが必要なのではないだろうか、と思う。


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