【読書】鬼滅の刃を読み終えて

少し時間が経ってしまいましたが、鬼滅の刃を全巻読み終えての感想です。
少しネタバレも含みます。

電子書籍の良さを実感

私は鬼滅の刃は全て電子書籍で購入しました。
漫画の内容とは関係ないですが、鬼滅の刃の最終巻を読むにあたって電子の良さを実感しました。
最終巻は発売前から予約が殺到していたようで、発売日になかなか書店で購入できない現象が起きていたようです。
その点電子書籍は、在庫不足の心配がなく、発売日(日を跨いだ時点で)に読むことができます。
最終巻を買えない人が続出しているとういニュースを見て、電子の良さを実感しました。

感想

ここからは内容の感想。
全て読んだ後に率直に思ったのは、柱のキャラクター達はみんなかっこいい。一方で、鬼のキャラクターは個人的にはイマイチ好きになれない。
なぜだろうと考えると、自分以外の人のために戦っているか、自分のために戦っているか、の違いかもしれません。
鬼殺隊の人たちは柱たちを守りつつ、人類の平和のために命をかけて鬼と戦っている。一方で鬼たちは、ひたすらに自分の欲望のために戦っている。
どうやら私は、自分以外の人のために自分を犠牲にして行動できる人のことをかっこいいと思うみたい。

物語の結末としては、最終的には鬼たちは負け、平和な世の中が訪れます。
鬼滅の刃だけの話ではなく、バトルものの少年漫画は似たような要素を含む作品は多いように思います。
仲間や大切な人のために自分を犠牲にした戦う主人公たち。
自分の欲望のために主人公たちにとって大事なものを破壊していく敵。
最終的には主人公たちが勝って平和に終わる。
王道の少年漫画のような話ですが、鬼滅の刃はその色が特に強い作品だったなと思います。

最近のマンガでは「進撃の巨人」のような、途中から何が正義で何が悪かよく分からなくなってしまうような、そんなマンガもありますが、鬼滅の刃は最初から最後まで物語の中での正義と悪が明確でした。
鬼たちが絶対的な悪で、鬼と戦う鬼殺隊の人たちが正義。
途中で新たな組織が出てきて物語を掻き乱すようなこともせず、最初から最後まで「鬼 VS 人間」という非常にシンプルなマンガでした。
良く言えば分かりやすくて誰でも読める、悪く言えば読者に想像力を働かせない、そんなマンガだったように思います。

鬼滅の刃のような、仲間のために行動した人間が最後には報われて、自分の欲望のために行動した鬼が最終的に負けるというストーリー展開は、現実世界において希望でもあるけれど、ある意味では絶望でもあるな、と思いました。

誰かのために必死で行動すればいつか報われる。
そういう風に捉えると、自分も誰かのために頑張ろう、と希望を持てます。
ですが、鬼のように、自分の欲望を糧に行動しても最終的に幸せにはなれない、と捉えると、なんとなく絶望感もあります。

ただ、鬼の中でも気になる存在が2人(2体?)いました。
それが
・上弦の壱 黒死牟(こくしぼう)
・上弦の参 猗窩座(あかざ)
です。
この2人は、最終的には柱たちとの戦いに敗れて死んでしまいますが、死ぬ間際、もうワンランク上の生き物に進化する兆しを見せました。
結局、人間だった頃の記憶を回想し、それが原因で負けてしまうわけですが、仮に人間だった頃の記憶を振り切って進化していたとしたら、おそらく柱たちが負けて鬼たちが勝っていたでしょう。

そう考えると、自分の欲望を糧に生きたとしても、周りの全てを捨てて一点に振り切ってしまえば、普通の人には辿り着けない極限の世界に辿り着けるのかもしれません。
ただ、仮にあそこで鬼たち進化して人間に勝ったとして、その後鬼たちが幸せになれるのかどうかは怪しいところ。
現実の話として、人間は自分以外の誰とも関わらずに生きていくことなどできないので、人間関係を全て切り捨てて何かを極めたところで、幸せになることはきっと難しい。

実際には、自分の欲望を糧に行動したとしても、それが結果的に誰かを助けることになれば何の問題もないのでしょう。
むしろそのほうが、自分を犠牲にして誰かを助けるよりもずっと理想的です。

自分を犠牲にして誰かのために戦える人はシンプルにかっこいいと思うけれど、自分のことも大事にして、自分の好きなことをしながら、誰かを幸せにすることもできる。できればそんな生き方をしたい。


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