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新社会人に伝えたいロジカルシンキング

どんな仕事においても成果を出すために必要となる能力の一つに「ロジカルシンキング」があります。
ここでは新人のうちに身に付けたおきたいロジカルシンキングと問題解決について書きます。

そもそもロジカルシンキングとは

そもそもロジカルシンキングとは何でしょうか。
日本語に直訳すると「論理的思考」です。
論理的思考とは、一貫して道筋が通った説明のことです。
そして、道筋が通っている、いわゆる、主張に対して根拠が明確である場合、その会話や文章は「ロジカルである」などと言います。

中学や高校の時、数学の授業で「証明」の授業を習ったことがあるかと思います。証明は、ある定理がなぜ成り立つのかを定義を元に道筋立てて組み立てていくプロセスです。あれがまさに論理的思考です。

なぜロジカルシンキングが必要か

では、社会人にとってなぜロジカルシンキングが必要なのでしょうか。
仕事では、数学の証明をする機会がある人はごく一部でしょう。ほとんどの人間は仕事の中で数学の証明のようなことはしません。
その代わり、学生時代に比べると人に何かを説明する機会が増えます。
営業職であれば、自分が売りたい商品やサービスをお客さんに説明したり、プレゼンする必要があります。
また、どんな仕事でも自分誰かの下で働いている以上、上司に報告・連絡・相談・確認をする場面は必ずあります。
このように人に何かを説明するとき、説明が非常に分かりやすい人もいれば、逆に非常に分かりにくい人もいます。
この差は何かというと、「ロジカルシンキング」ができるかどうかです。
一般にロジカルに考えることができる人は、話の内容が簡潔で分かやすいです。一方で、ロジカルに考えることができない人は、話の内容が支離滅裂で分かりにくくなります。
人に何かを説明するときに、分かりやすく相手に伝えることができるために、ロジカルシンキングが必要になるのです。

また、ロジカルであることは、問題解決においても重要です。
素早く問題を原因を分析して、解決策を生み出すためにはロジカルであることが非常に重要です。
特に、エンジニアやコンサルタントなど、問題解決そのものが仕事である職業の人にとっては必須のスキルだと言えます。

ロジカルシンキングが求められる場面

ロジカルシンキングが求められる場面をもっと掘り下げて説明していきたいと思います。

・相手を納得させたい時
人に何かを説明するときに、自分の主張を相手に納得してもらうためには、明確な根拠がなければ納得してもらえません。
そのためには、話の内容がロジカルである必要があります。
話がロジカルで内容が分かりやすい人は、話の構成がある程度決まっています。ロジカルな人はまず「結論」から話します。
そのあと、結論に対する「根拠」がいくつあるかを示し、その根拠を説明します。最後に具体例などを伝え、相手がよりイメージしやすいように話します。話の構成は何を伝えたいかによって細かい部分は異なりますが、いずれにせよ共通しているのは、「ロジカルな人は結論を先に伝える」ということです。

上記の説明を聞くと、ロジカルに話すことで説得力が増すと考える人もいるかもしれません。しかし、説得力というのは、ロジカルであるかどうかより、話している人が自信を持って話しているかどうかという点が大きいです。話がロジカルでなくても、自信満々に堂々と話していると、説得力は増します。逆に話がロジカルでも、自信なさげに話していると説得力は落ちます。
テレビなどで、詐欺をテーマにした話を見たことがある人は多いかと思います。テレビなどで見ていると冷静に判断できるので、自分は引っかからないであろうと思うのですが、おそらく詐欺師は自信満々に話すため、話の内容がロジカルでなくても相手を説得させるだけの説得力があるのです。

説得力を上げるには、自信を持って話すこと。
そして、そのうえで相手を納得させるためにはロジカルに話すこと。
これが仕事で人と話すときに重要になります。

・現状を正しく理解したい時
何か問題が起きた時に、または何かしら解決したい課題があるとき、まずは現状を正しく把握することが大事です。現状を把握することができなければ、そもそも解決策を生み出すことはできません。

仕事中にどんな問題が起きるのか。例えば、エンジニアやプログラマーという職業の場合、システム開発の中でプログラミングを行う中で頻繁にエラーが発生します。このとき、どういう状況でエラーが発生したのかを正しく把握できていなければ、解決は難しいです。
仮にネットの情報を頼りに解決できたとして、現状を正しく理解していなければ、その経験をもとに新しい技術や知識を得ることができません。

現状を正しく理解し、順番に整理する。この作業はロジカルに考えることができなければ難しいでしょう。

・バラバラな情報を整理したい時
例えば、「やるべき作業が多く何から手を付けるべきか分からない」「PCの中のファイルがごちゃごちゃになって、探しているファイルが見つからない」といったことは仕事をしている中でよくあることです。
こういう場合、やるべきことを整理したり、PCの中のファイルを整理したりすることが必要になるのですが、この時、ロジカルに考えることが得意な人ほど、整理するのが上手です。
ものごとをカテゴリ分けするにはロジカルに考えることが必要です。
ロジカルな思考を持つことで、一見バラバラに見える作業やファイルなども、共通している部分を見つけ、カテゴリ分けすることで、きれいに整理することができます。

・物事を深く理解したい時
人間は意味のないものを丸暗記しても、すぐに記憶からなくなります。
勉強においても、意味も分からず丸暗記したものはすぐに忘れてしまいますが、なぜそうなっているのか、という背景を知っておくと忘れにくく、かつ深く理解することができます。

歴史の勉強は、出来事をただ丸暗記しようとすると覚えにくいですが、ストーリーとして理解すると覚えやすいそうです。

プログラミングの学習でも、文法やルールを丸暗記しようとしてもすぐに忘れてしましますが、何故そのような仕組みになっているのかを考えることで、理解が深まり、忘れにくくなります。

何故そうなったのかを追求するには、対象の分野に対してある程度興味を持っている必要があります。興味を持っているかどうかはロジカルかどうかはとはあまり関係ないですが、興味を持った後、深く掘り下げて理解を深められるかどうかは、ロジカルであるかどうかが重要です。

特にプログラミングにおいては、一つの技術を身に付けただけで一人前になることはありません。
システムによって扱う技術が変わってくるため、新しい技術を学ばなければいけない場面が多くあります。
この時、自分が既に持っている技術や知識と比較しながら共通点と違いを見出すことで、効率よく学習をすることができます。
この共通点や違いを探し出す能力は、ロジカルに考えることができるかどうかと大きく関係しており、ロジカルな人ほど、異なるなるものごと間で共通点を見出すことが得意です。

新しいアイデアを生み出す場合にもロジカルは必要

何か新しいアイデアを生み出したい時、こんな時にもロジカルシンキングは必要であると私は思っています。
一般に新しいアイデアを生み出すためには、発想力が大事だと思われる方が多いかもしれません。
確かに発想力も大事ですが、今の常識にとらわれない考え方をするためにはロジカルであることが非常に大事です。

世間一般で言われている「常識」という言葉があります。
日本の常識、自分が住んでいる地域の中での常識、そして学校や職場の中での常識など。常識は時代によっても変化します。
昔は当たり前だったことが今の時代は当たり前でなかったり、昔は当たり前でなかったことは今では当たり前だったりします。

常識が少ない人は「常識知らず」として、マイナスのイメージを持つ人も多いかと思いますが、私はそうは思いません。むしろ常識を知り過ぎている人は、思考停止になっている可能性も高いです。
会社の中での仕事の進め方や、毎週行われている会議など。
これは元々何の目的で存在しているのか分からないようなものを一度立ち止まって冷静に考えると多く見えてきます。

会議や朝礼など、会社の中で昔から習慣になっていることでも、目的を冷静に考えてみると、ほとんど意味を持たないものとなっている可能性もあります。新しいアイデアや発想を持つためには、今自分が持っている常識を疑い、なぜそのようなものができたのか、その背景をロジカルに考えてみることが必要です。
常識を捨てて「目的」は何かをロジカルに考えてみることで、新しい画期的なアイデアが生まれてくる可能性があります。

ロジカルな人とそうでない人の違い

以下、ここまで話したない内容を整理して、ロジカルな人とロジカルでない人の差をまとめておきます。

・ロジカルな人
 ・話が分かりやすい。
 ・物事の整理が上手。
 ・問題解決が速い。
 ・応用力がある。
 ・常識に縛られない。

・ロジカルでない人
 ・話が分かりにくい。
 ・物事の整理が下手。
 ・問題解決が遅い。
 ・応用力がない。
 ・常識に縛られる。

フレームワークとは

ここからはロジカルシンキングにおけるフレームワークについて紹介します。その前に、フレームワークとは何かについて説明します。
フレームワークとは、日本語すると枠組みという意味で、様々な業界で用いられる言葉ですが、ここでのフレームワークは「考えるための枠組み」です。

例えば、経営戦略において、SWOT分析というフレームワークがあります。
これは、企業の現状を、
S:強み (Strengths)
W:弱み (Weaknesses)
O:機会 (Opportunities)
T:脅威 (Threats)
という4つの要因から分析する手法です。

経営を立て直すための戦略を0から自分で考えるのはなかなか難しい作業ですが、このような枠組みに当てはめて考えることで、今後の戦略を考えやすくなります。

また、業務改善においてよく知られているフレームワークとしてPDCAサイクルがあります。これは、一連の業務を
P:計画(Plan)
D:実行(Do)
C:評価(Check)
A:改善(Act)(Adjustとしている場合もある)
というサイクルを回すことで、業務改善をしやすくするための思考の枠組みです。

そして、ロジカルシンキングにも、思考を補助するためのフレームワークがいくつか存在します。

MECE

ロジカルシンキングの中でよく登場するフレームワークに「MECE」があります。これは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、日本語に訳すと「漏れなく、ダブりなく」という意味になります。

例えば、「人間」を分類するとします。
血液型や生年月日などで分類すると、漏れもなくダブりもないので、MECEとなります。ですが、「学生と社会人」のように分類すると、世の中には学生でも社会人でもない人もいれば、学生であり社会人でもある人もいます。
なのでこの場合はMECEではなくなります。

物事を分析する際には、MECEでカテゴリ分けすることが大事だと言われています。例えば、学校でテストの成績を上げたかったとします。
この場合、全体の点数だけを見て点数アップを図るよりも、それぞれの科目で分けて点数を分析したほうが、成績アップの対策は考えやすくなります。

企業で売上アップを計画しようとした場合、まずは現状の分析から始めるはずです。売上を分析する場合、時期ごとに分析したり、顧客ごとに分析したり、商品ごとに分析したりします。
この時に、漏れやダブりがあると、正確な判断ができなくなってしまいます。

また、物事を整理するときにもMECEの考え方が大事です。
PCの中のファイルをきれいに整理しようとする場合、MECEによってうまくカテゴリ分けすることができれば、ファイルをきれいに整理することができますが、カテゴリ分けに漏れやダブりがあると、ファイルの整理がうまくいかなくなります。

何かを分析したり整理するとき、MECEという考え方で物事に漏れやダブりがないように考えるように意識しておくことが大事です。

ロジックツリー

ロジックツリーは、あるテーマから原因や解決策などを枝分かれさせて細分化して可視化するための図です。
何をするかによって「WHATツリー」「WHYツリー」「HOWツリー」などに分類されます。
これらは目的が異なるだけで、書き方は全て同じです。
ロジックツリーは、問題の原因分析や解決策の洗い出し、またはMECEによって何かを分類する際のツールをして非常に便利です。
問題解決に限らず、作業の洗い出しや、アイデアを整理したい時など、使える場面は様々なので、有効に活用しましょう。

アウトプットしてみることが大事

実際にやってみると分かりますが、ロジックツリーは問題の原因や解決策を考えるのに非常に便利です。
これは、ロジックツリーというものがそもそも問題解決のための目的を持っているという点も大きいのですが、紙にアウトプットすることで頭が整理されるため、問題解決がしやすくなるという別の側面もあります。

そもそも人間は頭の中だけで考えるよりも、考えることを紙に書き出したり、人に話すなどしてアウトプットすることで、頭の中が整理されて、問題解決がしやすくなるという性質があります。
なのでロジックツリーなどのフレームワークを用いると、アウトプット + そのフレームワークの効果によってより自分の考えが整理されます。

フレームワークそのものは、問題解決や考えをまとめるための手段であるツールです。それ自体が目的にはなりませんが、うまく活用することで予想以上の効果を生み出すことが可能になります。

問題解決で最も大事なことは問題設定

ここまでロジカルシンキングと問題解決について書いてきましたが、問題解決において最も重要なことは「問題設定」です。
問題の設定がうまくできている場合、ロジックツリーなどを用いてロジカルに問題の分析をしたり、解決策を考えて実施していけば良いでしょう。
しかし、そもそも問題の設定がうまくできていない場合、いくらロジカルに考えることができても、最適な解決策は出てきません。

「考える」と「悩む」の違いをご存知でしょうか。
ロジカルシンキングや問題解決の本によく出来るテーマです。
私が最も好きな「考えると悩むの違い」は、
「考える」は問題をシンプルにすること。
「悩む」は問題を複雑にすること。
というものです。
要するに、考えることができている状態の時には、物事には進展があるのですが、悩んでいる状態というのは、進展がない状態です。

問題解決をしようとしている場合に、15分~20分以上何の進展もない場合、それは悩んでいる可能性が高いと言えるでしょう。
そして、悩んでいるということは、そもそも問題の設定が間違っている可能性が高いです。

問題解決をする際、ロジックツリーを作成する際は、設定する問題のテーマが果たしてそれで合っているのかをよく考えることが大切です。

ロジカルシンキングを鍛えるには

最後にロジカルに考える力を鍛えるために何をすればよいかについて。
ロジカルを鍛えるには、様々なことに興味を持ち「なぜ」を掘り下げていくことが大事だと思います。

世の中では個人個人に対して、「頭が良い人」か「頭が悪い人」に単純に2分しようとしますが、どんな人間でも「頭が良い分野」と「頭が悪い分野」が存在しているはずです。
人間は自分が好きで興味がある分野であれば、学んだり練習することが苦になりません。また、もっと知りたいという探求心もあるので、深く理解したり人よりも速く身に付けることができます。
一方で全く興味がない分野については、時間をかけて取り組んでも身に付くスピードは遅くなります。

つまり、どんな人間でも、自分が好きな分野であれば、ある程度ロジカルに考えることはできるが、自分が興味がない分野についてはロジカルに考えることが苦手になります。

今は本屋さんに行けばロジカルシンキングや問題解決の本はたくさんあり、それらを読むことでロジカルに考える力をある程度鍛えることはできます。
ですが、ロジカルシンキングを身に付ける最も効果的で手っ取り早い方法は、様々な分野に興味を持ち、些細なことに「なぜ?」という疑問を持ち、それを深掘りしていくことだと思います。

ロジカルであることを過信しないこと

これまでロジカルシンキングの重要性について色々を書いてきました。
中には、「自分はロジカルに考えることが得意なので、仕事ができる」と思う人もいるかもしれません。
確かに、ロジカルでない人よりもロジカルな人の方が明らかに仕事の成果は出しやすいです。
しかし、仕事は、ロジカルであれば何でも全てうまくいくわけではありません。ビジネスマナーの記事でも書きましたが、仕事は人がいることで成り立っており、結局のところ人から好かれているかどうかが大事だったりします。
ロジカルに考えるのが得意なことをいいことに、上司や先輩の意見を否定して論破したりする人もいるかと思いますが、そういう人は周りから好かれるでしょうか。
もちろん、違うと思う意見を口に出すことが悪いわけではありません。
ただ、誰かの考えを否定することばかりの人は、決して評価される人にはなりません。
ロジカルであるが周りから好かれていない人、ではなく、周りから好かれていて、それでいてロジカルに考えられる人が、仕事において評価される人です。

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