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パワポ地獄

以前、Excelについての愚痴を書きました。

Excelは表計算ソフトであり、表計算を必要とするちょっとした資料を作成したい場面ではスーパー優秀なソフトですが、それ以外の目的でExcelを使うとほとんどの場合ろくなことがないよという話。

今回はそのパワポ版です。

パワポに関しても、言いたいことは同じです。
パワポは、プレゼン資料作成のためのソフトです。
プレゼン資料を作成するためにパワポを使うことには何一つ問題はありませんが、それ以外の目的でパワポを使うと多くの場合ろくなことがないです。

日本人はやたらとExcelが大好きなので、なんでもかんでもExcelで作成しようとする人や組織は多いですが、パワポに関してはExcelほどひどくはないように思います。なんでもかんでもパワポで資料を作成しようとする人や組織は経験上あまり見たことがないです。

ただ、パワポでも、プレゼン資料以外作成の使い方をしている場面は多々あります。私が見たことがあるパワポで作られたプレゼン資料以外の資料としては

  • 操作マニュアル

  • 研修の教材

  • システム開発の仕様書

があります。

操作マニュアル

操作マニュアルをパワポで作成するのは個人的にはありだと思います。
ワードで作成してPDF化しているマニュアル資料をよく見かけますが、図やキャプチャが多くなる資料であれば、むしろワードよりパワポの方が作成しやすいです。
印刷する際にも、1ページに何スライド載せるか柔軟に選べるので、ユーザーの希望に合わせて調整がしやすかったりします。
個人的にはWeb上から簡単に見れる仕組みで作成する方が好みではありますが、PDFに変換したり、紙で印刷することが求められるのであれば、パワポで作成するのはありな気がします。

研修の教材

研修の教材はなかなか難しい問題。
私は仕事でプログラミングの講師の仕事をすることがありますが、その時に使用する教材の多くがパワポで作成されています。
講義をするとき、プロジェクターを使ってスクリーンに教材の内容を映しながら進めていくため、パワポで作られていた方が講義がしやすいメリットがあります。
しかし、プログラミングの教材とパワポはなかなか相性が悪い。
プログラミングの学習はプログラムを書いてなんぼですが、パワポだと1スライドに収められる情報量が限られているので、プログラムの内容が1スライドに収まらず、ページをまたいでしまうことが多々あります。
講義中は教材からコピペしながら作業を進めていくことも多く、一発で内容を全てコピペできないパワポの教材(実際はパワポを元に出力したPDFの教材)は、受講生からすると使い勝手が悪そうです。
教材に修正が発生した場合の講師間での共有も面倒だったりするので、その点でも課題があります。
本来であればマークダウンを使ってテキストベースで教材を作成・管理して、Webページとして参照できるのが理想ですが、そうするとプロジェクターとスクリーンを使った講義としては若干やりにくくはなるので、悩ましい問題です。

ただ、色々と探してみるとマークダウンからスライドを作るためのツールもあるようなので、今後はそういう方向に移行していきたいところです。

開発の仕様書

最後にシステム開発の仕様書ですが、これは本当にパワポで作成するべきはないです。最近経験したシステム開発の案件で仕様書がパワポだったのですが、非常に多くの課題を感じました。

まず、資料の変更履歴の問題があります。
仕様書の内容が変更されたときに、変更の履歴と内容が全く分からない。
変更履歴を書いたスライドを追加すれば対応できなくもないですが、そもそもページ数が多いので、確認することすら面倒で、自分に関係がある修正なのかを見極めることすら難しいです。

次にOSの違いによる問題。
Excelで起きる問題ですが、パワポでも同じことが起きます。
パワポの資料は、Windowsで開いた時とMacで開いた時では、オブジェクトのサイズや位置が若干異なって表示されることがあります。
その時の仕様書では、矢印のオブジェクトを使って、データの対応関係が書かれているスライドがあったのですが、Macで開いたときに矢印の位置が本来の位置とはずれ、対応関係がわからないという課題がありました。
これは開発の仕様書として致命的です。
データの細かな対応関係を表すのには明らかにExcelやスプレッドシートのような表形式の資料の方が向いています。

最後に、情報量の問題。
パワポだと1スライドに載せれる情報量が限られているので、必然的に情報量が少なくなります。
プレゼン資料の場合、できるだけ文字を大きくして1スライドの情報量を少なくすることが求められますが、仕様書においては情報量不足は致命的な問題です。
情報量を増やそうとするとページ数が増えていきますが、それはそれで目的の情報を探すことの手間が増え、なかなかにしんどいものがあります。
そのような資料では、開発者と設計者の間でQAが発生した場合に、質問の回答をうまい具合に反映させることもできないような状態でした。

仕様書を何で作成するかについては色々と議論があるかと思いますが、少なくとも、パワポという選択肢は今後あり得ないなと思った経験でした。

ツールの本来の目的を忘れずに

Excel、ワード、パワポといった全てのOffice製品にも言えることですが、使っているツールの本来の目的は何なのかを意識することが大事ではないかと思います。

Excelは表計算ソフトであり、パワポはプレゼン資料作成ソフトです。
ワードは印刷することを得意とする文書作成ソフトです。

作るべき資料は、誰が何のために必要とする資料なのか。
その資料を作成するツールは何がベストなのか。
Excelやパワポ、ワードを使うことが本当にベストなのか。
周りがそうしているから、今までそうしてきたから、という理由だけでツールを使っていないか。
作る必要がある資料の性質と、使っているツールの性質を照らし合わせて、作る側と使う側がお互い得する方法を考えることが大事です。
ケースバイケースなので、明確な答えはないですが、時代が進めばそれだけ便利なツールが増えていくので、今よりも良い方法がないかを常に模索していく姿勢を持ちたいですね。


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