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入管法改正野党案など/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(22.5.8-22.5.14)

今秋の成立を目指すとされる入管法の改正について、野党が対案を公開した、というニュースがありました。

この報道だと原案から何をどう変えたのかが分からん。と思ったので当事者たる政党のウェブサイトまで行ったんですが

現行「入管法」に包括されている「難民保護」については別の法律を定め、そっちで対応する。という1点が認められればほかはまあいい、ぐらいの案に読めたんですよ。

立憲民主党ホームページから

もちろん上図・右にある通り、送還停止効についても全件収容主義の撤廃についても言及ありますが、ちょうど1年前廃案になった原案が内包していた大きな問題が、これだと埋没するんじゃないか。
ウクライナ情勢からキャッチーなトピックである難民を前面に出すのは政権与党も採っている手法でまあいいとして、「難民については改正案で準難民を創設することで十分配慮し」云々って言われておしまいでは。

■1年前に廃案となった政府案の問題点を復習したい

改正案で支援者らから批判が強いのが、現行法では何度でも申請を繰り返すことが可能な難民申請を、3回以上には原則、送還停止を認めず拒否すれば送還忌避罪などの罰を科す点だ

太字は引用者

私個人は入管という組織が右手で出入国管理を、左手で(人道的判断の必要な)難民保護を、というジョブディスクリプションにそもそも無理があると思っています。
ことばを換えれば、入管は機械的処理だけを担当し、判断をともなう事例については第三者機関がおこなう体制に変える。そうしなければ特高警察時代から続く「全能感」は断ち切れない。
野党の改正案は、そうした「あるべき姿」に近づけるための第一歩であってほしいんですよね。

難民申請が3回目も却下されたらハイ強制帰国。って政府案は一見「機械的処理だけ」を担当するように見えますが、審査過程が不透明な現状にあっては到底許容できない。が私の立場です。

■なお政府案の最新状況

■再度、1年前の東京新聞から引用

クルド人の男子大学生ハルさん(仮名)も10歳の時に母と来日、現在4回目の難民申請中だ。
「高校入学後、入管職員から『あなたは日本で学校行っても就職できない。時間と金の無駄だから帰って』。良い成績を入管に見せると『頑張っても意味ない』と言われ、ショック受けた」と話す。
「入管の規定ではクルド人は他県に移動したり働くのも駄目で、人権が保障されていない。日本の大学で学び日本で働きたい。日本社会と世界のために貢献したい」と訴えた。

2021/5/12 東京新聞 太字は引用者

■クルドといえば、ちょっとだけ解像度が上がるひとが出てきていて大変すばらしいと思います

「聡太も、サーリャから話を聞いても、例えば一生懸命クルドの勉強をするとかそういうことはせず、変わるというよりはただ自分の等身大のままでサーリャを見つめている。サーリャという一人の女の子のことが好きだけれど、でも何もできない壁にぶち当たる。
サーリャと出会って関係を築いてきた一人ひとりの人たちの無関心が、彼女たちの生活の苦しさというものを生んでしまっているかもしれない。それをより伝えるために、あからさまな悪じゃないものを描きたかったんです。その上で、その先になんでこうなっているんだろうということを観た人に考えてほしいと思いました」

肝心の映画『マイスモールランド』(2022)、見れてません。
紹介するだけ紹介していて自分では見てないシリーズ、これが初めてではないんですけどね!

邦画で見てるの、これだけだな。

■今週のその他ニュース

■最後に1年前の当欄記事をご参考まで

■サムネイル画像はUNHCRの「世界の難民状況」から
https://data2.unhcr.org/en/situations

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