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睡眠時無呼吸症候群の社員の睡眠状態を計測してみた

社員Kさんから睡眠時無呼吸症候群の治療として、CPAP療法をうけるという連絡が入りました。
せっかくなので、治療前後の睡眠状態を計測し、実際に睡眠の様子がどのように変化しているのか、計測してみることにしました。

(文 : 睡眠関係営業担当 T )

はじめに

弊社製品には、SleepSign-Actという体動の大小から睡眠状態を推定するソフトウェアがあります。
以下のように、就床時刻・起床時刻・その間の睡眠/中途覚醒を推定します。

図3

今回は代表的な睡眠障害である睡眠時無呼吸症候群と診断されたKさんの睡眠状態をSleepSign-Actで計測をしてみました。
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは睡眠中に呼吸が止まり、それによって様々な日常生活に障害を引き起こす疾患です。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法にはいくつかの方法がありますが、Kさんの場合、CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)が処方されました。
そこで、CPAP療法の前後(Before - After)でSleepSign-Actを用いて睡眠状態を計測してみました。

CPAP療法前(Before)

図1

平日は23:30頃に就床、6:00頃に起床していていますが、金曜と土曜の就床時刻と、日曜の起床時刻が遅くなっているようです。
睡眠時無呼吸症候群の診断を受けているだけあって、中途覚醒と推定されている黄色の表示が多いことがわかります。
この6日間の主な睡眠変数の平均は以下の通りです。
睡眠効率(SE):74.63%
中途覚醒時間(WASO):1時間18分

CPAP療法直後(After)

図10

就床時刻、起床時刻の傾向に違いは見られません。
しかし、中途覚醒を示す黄色の表示が明らかに減っており、CPAP療法の効果のようです。
この7日間の睡眠変数は以下の通りで、数値的にも明らかに改善しています。
睡眠効率(SE):74.63%→88.22%
中途覚醒時間(WASO):1時間18分 → 28分

その他気づいたこと

図12

SleepSign-Actで採用している活動量計(体動計)は、3軸の加速度センターを用いて体動を計測していますが、同時に重力方向から姿勢を計測することができます。

ここで、治療前後の寝姿勢を比較してみましょう。

図2

Beforeで黄色表示の中途覚醒となっている部分のほとんどは、仰臥位(仰向け)になっているところでした。(①)
これは仰臥位の際にいびきが大きかったり、息が止まったりするという一般的な睡眠時無呼吸症候群の症状と一致していることがわかりました。
Afterでは、CPAP療法のためか、寝ているときの姿勢の変化が少ないこともわかりました。(②)

それぞれ姿勢を変えた回数・仰臥位(仰向け)の割合を比較してみると、

【姿勢を変えた回数】
Beforeの平均:15.3回
Afterの平均:6.3回

【仰臥位(仰向け)の割合】
Beforeの平均:26.28%
Afterの平均:70.49%

となっていました。Kさんの場合、CPAP療法が寝姿勢にも大きく影響しているようです。

それにしてもほぼ毎日、1万歩以上歩いていることに、同じ社員として驚かされました。

まとめ

・CPAP療法前は仰向けの時に体動量が大きく、中途覚醒が起きていることが分かった。

・CPAP療法の効果として、中途覚醒が少なくなっていることが分かった。

参考までに

Kさんが、CPAP療法を開始したのが、2019年3月12日で、その後継続しております。
CPAP療法開始してから、現在(2021年5月26日)までに、体重が約8kg減り、血圧も140/90から110/75に改善しているそうです。
(降圧剤はCPAP療法前から現在も服薬中)
体重と血圧の改善は、CPAP療法だけの要因ではなく、他にも努力をしているとのことでした!
今後もKさんの健康を祈るばかりです。

今回計測に使ったシステム

睡眠/覚醒リズム研究用プログラム SleepSign-Act

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