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パート先で中国語を教わる日々 ~よかったこと編~

~きっかけ編~ からのつづき

中国語学習を始めてよかったことは、なんといっても、技能実習生の方たちとの会話が増えたことである。

実習生の一人 Dさんは、いつも明るく元気にお喋りをしている。私にも、初対面で「マスクとって顔見せて」と中国語で話しかけてくれたり(近くにいたEさん訳)、「あなた、おいくつですか?」と訊いてくれたり(Dさんが少し若い)、「今日は帰ったら馒头4つ食べる」(通訳Aさん)と教えてくれたりしていた。ただ、私が日本語で「昨日は仕事何時に終わった?」などと訊くと、「私日本語上手じゃない」と返ってくるため、仕事以外の話をなかなか振れなかった。

中国語のオンライン授業を受け始めて2ヶ月が過ぎた頃、そろそろ自称してもいい頃かな と思い、Dさんに「私中国語勉強してる」と言ってみた。
Dさん「?」
私「我、学…习、汉、语(←めっちゃ遅い)」
Dさん「!😲あなた、中国語勉強する」
私「はい😊」
Dさん「あなたの主人、中国語勉強する」
私「(首を振る)あ、私の妹は勉強しました」
Dさん「?」
私「私の…メイメイ?学习、汉语」
Dさん「我的妹妹😃」
私「我的妹妹、学习、汉语……大学で」

私「中国語、きれい(←中国語が好きだと伝えたい)」
Dさん「? 中国、きれい?」
私「(首を振って)中国語、きれい😊」


それからというもの、Dさんは仕事で私とペアになると、あれやこれやと話しかけてくれるようになった。
Dさん「青岛」
私「チンタオ?」
Dさん「(指で綴る)」
私「あ~!チンタオ!」
Dさん「青岛、きれい」
私「きれい」
Dさん「いちばん」

別の日
Dさん「羽生結弦、きれい」
私「😊かっこいいね」
Dさん「中国のスーパースター、邓丽君、あなた好き😁」
私「うん😊(何で知ってるんだろ?前にBさんに話したのを聞いたのかな?)」
Dさん「日本のスーパースター、木村(←中国語)……(紙に「木村拓哉」「酒井法子」と書く)私、好き!」

Dさん「よんがつ…」
私「しがつ、え~と…Sì yuè」
Dさん「对对对😳」

Dさん「私日本語上手じゃない。あなた中国語上手」
私「Dさん日本語上手。仕事してる(から)😊」

他にもDさんは、知ってる限りの日本語と ジェスチャーを駆使して、いろいろ話をしてくれた。富士山を見に行きたいとか、桜きれい(「花(Huā)~」と言いながら両手で花の形を作る)とか、歌が得意(「私、歌、上手!」)とか、帰国したら子どもにダンスを習わせたいとか、明日はショッピングモールに行って豚の足を買うとか、日本の西瓜は高い(「お金 多い」)けど中国の西瓜は安いとか、日本の玉子10個でいくら?とか(6コ 120~240円 と書くと、高い!とプリプリしていた)、車なに?(メーカー)とか。私の子どもが毎日夜中の1~2時に寝ていると伝えたときには、「1時、寝る、だめ!9時、寝る、いいよ!(=遅く寝たら大きくならないよ)」と、身長計のジェスチャーをしながらアドバイスをしてくれた。


こんなこともあった。賞金(ボーナス)もらった?と訊かれ「(派遣なので)ない」と答えたことから月給の話になり、
Dさん「私18万。私の中国の仕事、同じ。(中国で仕事してたときも同じぐらいもらっていた)」
私「毎日仕事してるのに(少ないね)」
Dさん「(頷いて)私、仕事、まいにち(¬o¬)」(←隣にいた派遣パートの男性の顔を恨めしそうに覗き込む)

彼女たちの休みは正社員よりも少ない。毎日の労働時間は「フルタイム残業つき」で正社員と同じだが、休みは、正社員はどんなに忙しくても週休2日、彼女たちは人が足りていれば月6~7日、忙しいときは週休1日である(多分、実習生たちは会社の労働組合に守られてない…?)。また、「同一労働、同一賃金」などと言われて久しいが、技能実習生に関する法律にはそのような記載はなく、ただ「最低賃金以上を払えばよい」と書かれているだけである。彼女たちは出勤したら9~12時間(忙しいときは15時間!)は働くので、Dさんが言った18万を時間で割ってみると本当に最低賃金しかもらえていない計算になった。(Cさんも給料明細を見て「少ないな (少ないよ)」と言っていた。)


あと、Dさんたち実習生は雨の日も炎天下でもママチャリで通勤している(昼過ぎ出勤→深夜~明け方帰宅(別部門の実習生は、深夜出勤→午後帰宅))。工場は山の中腹にあるのだが、彼女たちの社宅はその山の裏の さらに峠を一つ越えたところにあり、いつも山道を片道20~30分かけて自転車で行き来している。最寄りのコンビニまでは片道20~30分🚴、最寄りの(スーパーは潰れたので)ショッピングモールまで片道40分、交通手段は 電動じゃないママチャリと、1日4本のバスのみである。日本語が堪能なベトナム人実習生は免許を取って原付を買った。あんな辺鄙なところに住まわせるのなら最低でも電動自転車ぐらいは支給すべきである。(Dさんは中国にいた頃は車を運転していたらしい)。


話が逸れてしまったが、Dさんは私に何か話すときは いつも、私に通じるまで あの手この手で伝えてくれた(言葉を変えたり、ジェスチャーをいろいろやってみたり、紙に書いたり、日本語が上手な実習生を呼んできたり)。そんな積極的なDさんに感化されて、私も中国語で話しかけてみようかなぁ、と思い始めた。けれど、なかなか勇気が出ない!伝わらなかったらどうしよう とか、間違えたらどうしよう などとためらってしまい、結局 日本語で話しかけて終わる。

そうこうしているうちに、新たに中国から技能実習生数名がやってきた。そのうちの一人 Gさんは、Dさん以上に日本語を話すのが苦手なようだった。
1ヶ月半ほど経った頃、Gさんと私の二人で仕事をすることになった。私は勇気を出して、数日前に覚えた中国語で話しかけてみた。
私「今天、你们、几点… 」
Gさん「😳上班?」
私「!😳(こくこく頷く)」
Gさん「三点半😊」
私「三点半😊」
その日を境に、Gさんは「没关系」「你下班吗?」「你写」など、私がかろうじて分かる中国語で、ときどき話しかけてくれるようになった。


DさんやGさんと話せるようになって、中国語を学習していてよかったなぁ、と しみじみ思った。コミュニケーションはチームワークに不可欠だが、もしも私が日本語しか話せなかったら、DさんやGさんとは雑談(small talk)が全くできず、ぎこちない関係が続いただろう。中国語学習は、私と彼女たちの間に話題を増やし、心の距離をぐっと縮めてくれた。

そういえば、ベトナムから来た技能実習生の方たち(来日して3年以上)は、日本語も中国語もペラペラで、一度 一緒に仕事をしたとき、そのあまりの流暢さに私は舌を巻いた。いつか私も あんな風に中国語で丁々発止のやりとりができるようになりたいなぁ、と憧憬の念を抱いた。
(せっかくだから、ベトナム語も勉強してみたいな。母音が中国語よりも多いらしいけど、覚えられるかしら😅 N◯Kさん、ベトナム語講座もお願いします!📻️ 📺️)



おわり