正しい宗教と信仰-折伏弘教の手引きのレヴュー

私、異教徒による、日蓮正宗布教叢書3-正しい宗教と信仰-折伏弘教の手引き 大日蓮出版のレヴューです。



難易度(異教徒) 中級
○ほぼ全ての感じにふりがながあるので小学生でも読める。
○専門用語に注釈がないので仏教知識や日蓮正宗の知識がある人向け
○喩えがわかりやすく、口語文の為読みやすい
○難読漢字やサンスクリット語やパーリ語など仏教本にありがちな外国語がないので読みやすい

大日蓮出版は日蓮正宗の出版部門です。
この本は日蓮聖人の弟子、日興聖人が興した日蓮正宗という宗派の布教本で、勧誘員の為の布教マニュアルみたいなものです。

日蓮宗の開祖、日蓮聖人が死に際に、弟子の日興聖人に託した教え(遺言)を守るのがという宗派ですが、この遺言に関して他の日蓮宗系の教団が否定している為、日蓮正宗も他教団の教えは邪道だとを否定しています。
日蓮正宗は非常に歴史のある宗派ですが、(日蓮正宗の見解では)破門した二つの新興宗教が様々な問題を起こした為、日蓮正宗にも少し悪いイメージを持たれる方もいるかもしれません。

本の中では日蓮正宗以外の仏教宗派は邪説や邪教、仏教以外の例えば神道などは悪魔崇拝のように書かれています。

私は法華宗陣門流なので、日蓮正宗的にいうと邪教徒になります。

Amazonのレヴューは日蓮正宗の信徒しかいなかったので、異教徒が仮に日蓮正宗教の本を買おうとしても参考に出来ないのではないかと思い、邪教の人間としてレヴューを書きました。
日蓮正宗が正しいとか間違っているとか、信仰的な思想について批評をするつもりはないので、中立的な内容になるのはご容赦を。
あくまでも本の読みやすさや、面白さを評価しました。
日蓮正宗の非難記事を見たい方はゴシップ誌でもどうぞ。

レビュー本編
比較的柔らかい文章で他の日蓮宗の教えや、神道などの異教がどうして良く無いのかを分かりやすく説明しています。
ふりがなが振られていたり、文字が大きく、本も柔らかいので片手で開くことが出来るなど読む人に配慮された作りになっています。
定価762円で355ページもあるお得感のあるものになっています。

世界には沢山の宗教があるんだから信じる対象は日蓮正宗ではなくても良いのではないか?という問いに、人は数ある食べ物や薬の中でより良いものを選択しようとするのに似ていて、数があるからと言ってどれでも良いというわけでは無い。より良いものを身体に入れることで健康になるように、より良い教えを知ることで人生も良くなるのだと説いていますが、こういう喩えは非常にわかりやすく理解しやすいと思いました。

Yahoo!知恵袋やSNSにおそらく日蓮正宗の信徒と思わしき方々が書き込みをしている時があるのですが、ほぼ専門用語しか使わず、読む気が失せるような長文で書かれていらっしゃるので、この本のように読みやすく目を通せるくらいの文章量に抑えたら、正しい教えも受け入れて貰いやすいのにと思いました。

それから本の中で宗教は人に強要するのは良くない、日蓮正宗は信徒自身が良いと感じた教えを人に伝えて相手にも同じ感動を分かち合いたいという考え方だとあります。
この本を読んでからSNS上の書き込みについて思い返すと、読みきれないほどの長文を送りつけるやり方は、日蓮正宗に不信感を与える妨害工作のようにも思えました。

異教徒としてこの本を読みましたが、8割型そうかもと思わせる内容、1割は非常に共感する内容でした。残念ながら理解に及ばない内容もありましたが、日蓮正宗の良さは理解できました。

この本はあくまで入門向けという感じで、日蓮正宗が刊行している他の本は、激ムズです。

このような布教用の本は、各宗教に必ず存在し、流通しているものから非売品まで様々なものを読んできましたが、この本はかなり読みやすくわかりやすい部類でした。

一方で、難易度を中級にしたのには理由があり、文中に登場する仏教用語等に注釈や解説が無い為、イマイチ分かりにくくなっています。
回答の根拠として誰々という方が○○という事を言われたというような書き方がされることが多々ありますが、それが現代ではどのような意味なのかという説明がほぼ無く、また始めて見るような慣用句らしきものやことわざなどが登場し、わかりづらくも感じます。

今はインターネットの時代ですし、本もいくらでもありますから、慣用句らしきものやことわざなどは調べれば良いのですが、さすがに高僧のお言葉の意味を解釈するのは難しいので、現代訳もしくは日蓮正宗での解釈みたいなのが注釈で入っていたら良かったのにと思いました。

おそらくこれは、日蓮正宗の信者や、日蓮正宗の流れを組む宗教の信者に向けに作られた本なので、わざわざ常識的なことは書かなくても良い、と言う感じで記述がないのだと思います。

Youtubeの解説動画や某掲示板サイトで言いたい放題書かれているようなヤバい宗教というような感じはなく、本を読む限りは信徒を幸せにし、異教徒も救済しようとするような慈愛を感じるものでした。

例えば、日蓮正宗では神社には悪魔が宿っていて、そこから御札や御守りを貰うと悪魔が家に住み着いて、人を不幸にする。というようなことを説いています。
同じような事を説いている異教に、キリスト教聖霊派という宗派があります。しかし聖霊派では人を救うことよりも自らの宗派に改宗させることが目的であると、本にも書かれているなど、個人の救済を目的としているようには思えませんでした。

それに対して日蓮正宗のこの本では、攻撃的な言い回しではありますが、総論として間違えた考え方を続けると不幸になるかもしれないからやめたほうが貴方の為になるのだと、さとしているので、ただ単に異教徒を非難している訳ではないと思えました。

日蓮正宗は日本の宗教では比較的攻撃的と言われていますが、海外に目を向けると、宗教や宗派は己の正しさを主張する為に、他の宗教を非難しています。
イスラム教の聖典には占いや呪術を行なってはならないとあり、これは占いや呪術をベースとしている神道(神社の宗教のこと)とは相いれません。

日本人の宗教感では宗教の掛け持ちは普通だし、宗教同士はあまり非難をしないという考えの方が多いかも知れません。

何が正しいのか分からず不安になったり、呪われているのではないかと不信になったり、はたまた欲のために呪術に手を出してしまう人も居るかもしれません。

存在するかわからない神や、当たるかわからない占いなどから離れて実利ある教えを知りたいという方はおそらく日蓮正宗が向いています。

内容が気になる方は、Amazon等で購入し、教えが良いと思われるので有れば入信するなどが宜しいかと思います。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?