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曽爾ナジー No.1

現在奈良県で「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」が開催中です。
吉野町・天川村・曽爾村(そにむら と読みます)の3つのエリアに分かれており、私は曽爾村エリアの作家として参加しています。この芸術祭は屋内展示ではなく、野外を歩いて作品を見つけるというなかなか作家泣かせ、宝物探しのような期間限定の野外美術館。
なぜ永沼が参加?最近私のことを知った方は、え?は?どゆこと?だと思う。作家と名乗っていないから。
参加理由の詳細はすっ飛ばしますが、作品のタイトルを「曽爾ナジー」としました。

作品構想のため初めて曽爾村に視察に行ったとき、土地と人の明るさ、力のようなものを感じました。
タイトルの「曽爾ナジー」は”曽爾村” と”エナジー”(エネルギーと同じ意味)を合わせた私の造語です。

村のエネルギー、それを表現するために2週間曽爾村に通い、
いろんな方々と一緒に語りあい・踊り・音を奏で、生活を見せてもらい撮影させていただきました。
その撮影した写真の中から土地の力を感じるもので構成した作品です。

(MIND TRAILのweb上にアップしている作品詳細より)
曽爾村の敷地内
役場隣にあるそにのわの台所katteさん内


参加のオファーをキュレーターの西岡潔さんからいただいたときに、すごく悩みました。アーティストとして活動をやめていたという事が大きく、この時代に作品としていったい何を出せるか?合わせて地域芸術祭にあまりいい印象を持っていなかったんです。私個人の素朴な疑問なので批判するつもりはまったくないのですが、正直いったい誰のために?という思い。それは常に私が全体で物事を考えず、個人・私、という小さな範囲で考える傾向があるからかもしれません。ならばなぜ参加したのか?
本能的な”勘” と、”村”とそこに住んでいる人を知ってみたいという好奇心でした。

でも高齢者が多い曽爾村で自分は何を出せるのか?やれるのか?
たった2週間滞在で曽爾村のことをちゃんと知ることはできないし、村民すべてにお会いすることは不可能。

不安がある中でも何かが背中を押す。それを信じる。

参加させていただくことが決まってからもなかなかアイデアが出てこない(関係者の皆様大変ご迷惑をおかけしました)時間がないなかで
やっと出てきたのが村の方々と一緒にアーティストになること。がコンセプトになり、どうアウトプットするのか?それが”祭り”でした。
近年、実際に集まっての祭り開催は難しい状況が続いていますが、曽爾村の方々にご協力をもらい個々で踊ってそれぞれの祭りを一緒にやっていただきたい、と当初は考えていましたが、結果的にキュレーターであり作家の西岡さんと永沼、そして曽爾村の方々と「へてから音頭共創会」を立ち上げ、曽爾村の新しい盆踊りをみんなで作ることになり。がしかし・・・メンバーの中で誰も盆踊りなんて作ったことありません、え?できんの?って半分ノリ、半分・・・海苔。w

今回のMIND TRAILのテーマが ”Conversation(対話)”なんですが、作品の制作って常に対話ですよね。もっと言えば芸術以外の分野でもそうです。作り始める前の何かとの対話はすごく重要。それは複数の誰かかもしれないし、自分かもしれないし動物かもしれないし、土かも植物なのかもしれない。妖精・おばけ・霊魂etc。そこから具現化が始まる。だから日々、誰しもがアーティストだと思っています。わざわざアーティストと名乗らなくてもいいだろうし、すべて同じ存在。

ではなぜ祭りなのか。
民俗学的な見解は調べていませんが、すべての存在がフラットになり融合し、一瞬であっても心が開き、自分を解放して、ふだんは混ざり合わないものが混ざり合い、mash-upされることでつながる事ができるのが祭りだと思っています。

なぜかずっと盆踊りと祭りは頭にありました。始めはこれです
(0.75倍速から始まります。原曲を流しちゃってるんでNGだったら削除します)

2021年、推しである藤井風の誕生日に合わせて彼の楽曲”きらり”を踊ってみたんですが自分のダンスがどうも盆踊りだった。というところから盆踊りが気になり始め参加したい、どこかでやってないか!?といろいろ調べていたのですがコロナでどこもやっていない・・・そうしているうちに藤井風が次に出した曲が「まつり」だったんです。


これだ。やっぱりこれしかない。笑われてもいい、どう思われてもいい。芸術祭で”祭り”をやりたいなんて誰が受け入れてくれるだろうか!?
なんとキュレーターの西岡さん、あっさりと「それめっちゃいい!」と。
やった!笑笑笑


祭り、とは地域の総合芸術祭のようだなと思っています。そして地域芸術祭という役割の一つとしてアーティストと主催側が生み出す「非日常」の場面、というところから祭りと似ているなと思いました。そしてみんなまた日常に戻っていく。それを曽爾村の方々とやりたいという願いでした。

踊ってピーヒャラするだけが祭りではなくて、日々生活の中にもありますよ。
・父さんが魚を釣ってきた!イノシシを獲ってきた!それを母さんが料理してみんなでおいしく食べる。
・いつもは気にならないあの人と今日、眼が合った時になぜかすごくドキドキした。次は触れたいと思った。
・野菜の種をまいたけど一向に芽が出る気配がない、ん?、え?もしかして出そう?やったー!芽が~!芽だ~!
けっこう神聖な場面ではないでしょうか、もう祭りですよね、小躍りしますよね。

さて、何を伝えたいのかわからなくなってしまいましたが、
次回から盆踊り制作の事とメンバーの簡単な紹介、他曽爾村の方にまつりにまつわるインタビューをしているのでよかったら読んでくださいね。

そしてぜひご覧いただきたい!はりきってどうぞ〜!

No.2に続く


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