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「人の振り見て、我が振り直せ」の役立て方

古いタイプの人には、
おなじみのこのフレーズ。

日頃、このことわざを
どれくらい活かして
生活されているでしょうか?

昨日、稽古の時間に、
ある先輩が注意を受けていました。

「返事のしかたがおかしい」と。
ふだんはとても穏やかな
指導役の先輩のことばです。

そのときは、納得しながら
聞いていましたが…

あとで思い出すと、
このクセは、
自分も20代の頃にはもっていて、
お茶の先生に、ビシッと注意され
以後、気をつけてきたもの。

そのお茶の先生は、
「返事べっぴんは、つまりませんよ!!」
とおっしゃったと思います。

要は、きちんと理解できていないのに、
「はい」と言うな、ということ。

で、思い当たりました。

このような、とにかく「はい」と
元気よく、勢いよく、
その場しのぎの?返事をするクセは、
子どもの頃から続くもの。

たぶん、長女とか、
親がけっこう厳しかった
家で育った人に特徴的…

人間の場合、人のフリを見ていると、
その人の歴史や気質などなど、
いろんなことが伝わってきます。

これは樹木の場合は、もっと、です。

他者から注意されて、挙動をあらためる、
なんてことがないから。

木の場合は、ほぼひたすら
その時その時の環境に合わせて
自分の形を変えて(変え続けて)いきます。

その場で、できるだけ長く生きのびるために。

で、その環境要因には、人間も含まれていて、
特に最近では、人間の影響は
樹木にとって、甚大といえるものになっています。

だから、樹木診断では、
その木に対して、
人間が何をやってきたのか、
何をするとこうなるのか?
(よくもあしくも)
それを評価します。

診断を依頼されるときは、
ほとんどが、問題を抱えているとき。

で、この30年くらいで、
何が木にとってイヤなのか、
何をすればよろこんでもらえて、
健やかで美しく魅力的なすがたを
見せてもらえるのか、
だんだんわかってきました。

イヤなことは、
過度の剪定や
傷をつけられること、
根元まわりの土を締め固められること。

うれしいことは、
根を伸ばせる条件を整えてもらうこと、
適切な方法の支柱、
根元まわりを広く囲う柵の設置など。

これらはみな、
樹木に教えてもらったことです。

そうなんです、
聞く気になれば、
木はいつでもボディランゲージをつかって、
言いたいことを身体で表現し
私たちに伝えようとしています。

「人の振り見て、我が振り直せ」というのは、
樹木に関わる人にとっては、
次のような意味があったのだと気づきました。

目の前の木の形を見て、
人間がこれまでやってきた
植え方、維持管理が適切だったかどうか、
木の立場から、評価せよ。

そして、改善の余地があるなら、
早々にあらためよ、と。

少し前まで、
人がそばで怒られているときに
人ごとのように聞いていました。

だから、それを活かして、
自分が変化、成長する、
という機会として使えていませんでした。

ですが、自分ごと、
と思って耳を傾けてみると、
木の形と一緒。

役立つ情報が
いろいろと、たくさん
含まれていることに、気づけます。

木に関する事故もそうです。

人ごとではないので、
起きてしまった事故からは
たくさんの教訓を抽出できる
かしこさを身につけたいです。

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