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お前の人生に「マーティン」はいるか?

I'll take it. You're not gonna scare me, buddy.
(上等だ。そんなもんでビビるかよ)

映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

最高の映画を1本選べと言われたら、それは私にとって『シェフ』だ。
人気店をクビになった一流シェフがキューバサンドのフードトラックを始めるコメディドラマ映画。

人に雇われた経験のある人なら、特に大きな組織から飛び出したことのある人なら、なにかしら刺さる部分があるだろう。
私も、役所勤めからフリーランスになった時のことを思い出した。

とはいえ映画自体はコメディタッチで過度に辛い描写もなく、気軽に楽しく見られる。
なにより、キューバサンドやベニエが美味しそうで大好きだ。

しかしこの映画を見るたびに思う。

私の人生に、マーティンはいるのだろうか?
逆に私は、誰かにとってのマーティンになれるのだろうか?

マーティンは映画の登場人物で、主人公カールの親友だ。
カールが店を去った後、マーティンはスーシェフ(副料理長)に昇進するのだが……。
カールがフードトラックを始めたと聞くや否や、店を辞めて駆けつけてくれる。

そして「雇うが無給だぞ」とカールに言われた時の返しが、「上等だ。そんなもんでビビるかよ」。

うまくいくかどうかも分からないオンボロのフードトラックに乗り込んでくれる、心強い相棒。
もし私がカールだったら、誰か来てくれるか?
そんなふうに考えてしまった。

正直に言って、今の私に思い当たる人はいない。
そもそも私は、友達が本当に少ないのだ。

連絡不精ゆえに学生時代の友人とは疎遠になっており、それに危機感を覚えて30代から「友達作り」なるものを始めた。
恋愛や結婚に興味はあまりないが、どこか人恋しい女同士で時々集まっている。

とても楽しいが、しかし私と彼女たちはまだ、カールとマーティンではない。
これからそうなれたらいいなと思いつつ、「いや待て」とも思う。
近づきすぎないほうが、関係は長く続くような気もする。

もちろん、自分がマーティンになれるかどうかも問題だ。
いざという時、私はトニーにならないか?

トニーはカールの友人だが、カールがクビになった後に料理長へ出世。
フードトラックの話を聞いた後も、雇われシェフをやっている。

カールの境遇に口では同情するものの、ついてきてはくれない。
とはいえマーティンに比べると薄情に見えるだけで、大半の人間がトニーだと思うのだ。

私のマーティンに出会うこと、そして私が誰かにとってのマーティンになること。
それをこれからの人生の目標にしてもいいかもしれない。

と、なんだか仰々しい話になってしまったが、映画を見ている最中は「マーティン最高~かわいすぎる~」とオタク全開で楽しんでいる。
カールとカールの息子・パーシー、そしてマーティンの男3人旅がなんとも楽しい。

それにしてもカールは、美人の元妻にセクシーなウェイトレス、そして相棒のマーティンと、笑っちゃうくらいモテている。
やはり「料理=モテ」なのかい?


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