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公立病院改革2〈2006年〉首都圏100床 S市民病院(2)

S市民病院の業務は、病院の事務長が窓口となって「経営改善のレポートが欲しい」という依頼内容だった。
このご依頼は、北陸のKN病院で資料作りに悪戦苦闘した直後であったので、復習なり、改めての腕試しに、ちょうど良い案件だった。

納期が確か6月とか7月とかで、税理士試験の直前じゃないか・・・
とは思っても、仕事は仕事だし。
自分でほぼ全部、自由に差配できる成果品仕事があることが、とても嬉しかった。

成果品レポートのメニューは、次の通りだった。

S市民病院  経営分析業務報告

はじめに

第一章 自治体病院の現状とS市民病院

第二章 財務諸表の検討

第三章 人件費構造の分析・検証

第四章 ベンチマーク指標による考察

おわりに ~意義あるルネッサンスの実践に向けて~


分析項目は少ないが、内科、小児科という単科病院に近くシンプルで、かつ、100床という小規模病院の分析に取り組めた意義は大きかった。
また10数名の医師やスタッフのヒアリングはしたが、成果品作成がメインテーマで、業務メニューがスッキリしていたことも、コンサル2件目の腕試しにはちょうど良かった。

「はじめに」と第一章は、いわば能書きや歴史なのだが。
僕自身としては、ここを書くのが好きだ。

よく「過去は過ぎ去ったこと」として軽視する人がいるが。
僕は「過去の中にこそ、すべての答えがある」と思っている。
過去を読み解けば、未来が浮かび上がる。
プラスの過去は、これを活かしていく。
マイナスの過去は、それを振り切り断ち切るために、確認をする。

それが社会科学という科学であると学んだし、その通りだと思っている。

次に第二章、財務諸表の検討。
正直、過去3年とか5年の財務諸表を並べてみても、読み取れるものは少ない。
10年くらいの財務推移を分析していくと、その時々の出来事や経営実態が、明確に浮かんでくる。

このときは6、7年分財務諸表を並べて分析してみて、短期変動から経営提言できるものは少なく、分析期間が長いほうが直接読み取れるものが多いことを学んだ。

以降、僕の財務分析は、民間・公立を問わず、10年程度の推移を確認するようにしている。

次回は、第三章と第四章の話を書いてみる。


【記してきた 過去の公立病院改革】

公立病院改革1〈2005年〉北陸350床 KN病院(1)~(18)

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