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『寄付白書2017』人はなぜ寄付するか ポイント8まとめ

クラウドファンディング運営会社への転職を機に、准認定ファンドレイザーの取得の勉強を始めました

そこで、試験範囲に指定されている『寄付白書2017』を読みました


第二章の「人はなぜ寄付をするのか」の部分が面白かったので、ポイントを絞ってご共有します

損失回避

人は同じ金額得するより、同じ金額損する方を避けたがることが行動経済学ではわかっている

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これを寄付に利用したものとして、臓器提供のドナー登録を促すWebサイトで、さまざまな勧誘文言を試したところ、

「臓器提供が十分にないと、毎日3人が死にます」と損失を強調したものが特に効果が強かった

時間割引

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今受け取るお金のほうが、将来受け取る同額より優先される

国際NGOのSAVE THE CHILDRENは既存寄付者への電話で「今月からの増額」と「今日登録はするけど、2ヶ月後から増額」を依頼した場合、増額者数、金額ともに後者で大きいことがわかった

互恵性(返報性)

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相手がお返しをしてくれるとわかっていると、自分も寄付をするというのが互恵性だ

お返しはお金のかかるものでなくて構わない

ある非営利団体の寄付依頼のダイレクトメールに以下の文を添えた

寄付を一度頂けば二度とお願いしません
この権利を行使したい方は、「□ 寄付はこれっきりにします」にチェックしてください

すると、このように記載しなかった単純な依頼文のグループでは0.34%だった寄付率が、寄付者の心情を配慮した文面を添えたグループでほ0.66%になり、一人当たり寄付額も50.65ドルが56.18ドルに上がった

さらに面白いのが、「これっきり」オプションを選択した人は、配慮文面のグループの38%で、多くの寄付者は、配慮されただけで満足したということだ

同調性

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他の人の行動に合わせるということは寄付でも頻繁に起こる

アメリカの大学でコンピュータの購入資金を寄付で賄ったとき、依頼の手紙に添えるメッセージをランダムに以下のパターンで送った

・必要な費用の10%がすでに集まっている
・同、33%
・同67%

結果たくさんの金額が集まっていると伝えた方が、寄付金額が増えた

67%と書いた手紙では、10%と書いた手紙の5.6倍寄付金額が増えた

もう一つ似たような実験がある

公共ラジオ放送の寄付募集キャンペーンで、寄付をしようと電話をかけてくれた人たちへの応答メッセージをランダムで以下のように変えた

・さきほど電話してきた方は75ドル寄付してくれました
・同、180ドル
・同、300ドル
・直前の人の寄付金額を伝えない

結果、300ドルのグループで平均寄付金額が高くなった

何も伝えなかったグループに比べて、300ドルのグループは平均金額が12%高くなったのだ

依頼の圧力

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寄付の中でボリュームゾーンとなるのは共同募金会や自治会・町内会・女性会・老人クラブ・子供会などだ

これらの寄付のきっかけで最も高い理由は「自治会や町内会が集めに来たから(回覧を含む)」という受動的なものだった

頼まれて寄付をする人は2タイプあり、利他的な寄付の満足感を求めて寄付する人と、頼まれるプレッシャーから逃れるために寄付する人だと考えた科学者は、以下の実験を行った

シカゴで戸別訪問型の寄付募集を行う前に、ファンドレイザー(寄付募集者)の訪問を知らせるチラシをランダムで送付した

結果、訪問時にドアを開けてファンドレイザーをで迎える家庭の割合は以下のようになった

・チラシなし:40.9%
・チラシあり、訪問日時記載なし:37.5%
・チラシあり、訪問日時記載あり:33.6%


寂しい結果となったが、頼まれる圧力が寄付につながるのは証明された

評判形成

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寄付を自分の評判を高めるという利己的動機に基づいて行う場合もある

ある実験では、実際のNPOの寄付獲得のための手紙に以下のような強調文と掲載例を入れた

(寄付に参加すれば)あなたの名前が次号のニュースレターに以下のような形で載ります!
(掲載例)

これを行った場合、そうでないときに比べて寄付への参加率が5.6%高くなることがわかったのだ

幸福感

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寄付は、寄付者自身の幸福感を向上させる

被験者に5〜20ドルのお金を分配し、あるグループには「自分自身のためにすべて当日中に使い切る」よう伝え、別のグループでは「他者のために」と伝えた

実験の前後で主観的幸福感の変化を調べたところ、「他者のために」使ったグループで、より大きな幸福感の上昇が確認されたのだ

寄付・ボランティア・投票の相関性

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「自らの行動で政治に一定の影響を与えることができる」という感覚を「政治的有効性感覚」というが、これが寄付やボランティアの経験と連動することがわかっている

2016年の調査で過去5年に寄付をした人の投票経験は75.1%だったが、していない人は50.7%に留まった

同様に過去1年にボランティア経験がある人の投票経験は82.7%だったが、していない人は64.2%だった

まとめ

①損失回避:損を避ける
②時間割引:将来の支出は痛くない
③互恵性(返報性):見返りがあると出費しやすい
④同調性:他の人の行動に合わせる
⑤依頼の圧力:依頼から逃れるために寄付する
⑥評判形成:周囲の評判を得るために寄付する
⑦幸福感:寄付することで幸福になる
⑧寄付・ボランティア・投票の相関性:寄付・ボランティアと投票は相関関係がある

以上です!

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