活版印刷で年賀状を作ってみた
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活版印刷で年賀状を作ってみた

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。2021年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年の私の年賀状

こちらです。活版印刷で制作しました。

バラ並べ

2枚並べ

左下

右上

『活版印刷に合う表現 → 凸凹が生きる図案 → 干支を前面に出し過ぎずに使いたい → 牡牛座』という発想です。
「夫婦で旅先の夜空を見上げた思い出をモチーフにし、新年の幸せを星に願いました」という美しい理由も後付けとして用意しました。(エピソード自体は嘘ではない)

「正直近年は喪中も多くて年賀状にはあまり力を入れていなかったけれど、久しぶりにきちんと作ってみたい。それに自分の年賀状って普段の仕事では出来ない事を試すチャンス! せっかくだから自分がやってみたい事をやってみよう。特殊印刷か加工か…」
そんな思いからスタートし、「2021年の年賀状は活版印刷で作ろう」と決めました。

活版印刷とは?

活版印刷は凸凹のついた凸版や活字(※)を用いて版の凸の部分にインクを乗せ紙にインクを転写する凸版印刷です。
版と紙が直接触れるため紙に凹みを付ける事ができ、ギュッと力強く刻まれた印刷と、凹みが生み出す陰影が他の印刷にはない重厚感のある仕上がりになります。
メイシストHPより  ※メイシストさんでは「活字」の取り扱いはありません

「活字」とはこういう物。(後述する「まんまる○」さんブースにて)
昔は新聞も書籍もこのような金属製の文字ブロックを一文字ずつ組み合わせて印刷されていました。

活字

金属版だけでなく樹脂版も使われ、さまざまな図案の印刷物があります。

ひきだし


葉っぱ

3つ並べ

3つ

(ぜひ拡大して見てください)印刷箇所が凹んでいるのがわかりますでしょうか? 思わず指でなぞりたくなる味わいで、私も昔から大好きでした。

いきなり上記を否定するような事を書きますが、本来の活版印刷は決して「凹みを付ける」事は目的ではなかったようです。むしろいかにフラットに仕上げるかが腕の見せ所、みたいな。
そう言えば私の社会人一年目の名刺も活版印刷でしたが、全く凹んでいませんでした(大昔がゆえに現物は残っておりません)。制作は、戦前から続く活版印刷界の老舗、嘉瑞工房さん。私が入社したデザイン事務所では、自分の名刺は自分で名前をレイアウトし(裏面は共通の会社住所)、それに合わせて嘉瑞工房さんに活字で組んでもらうというのが慣例でした。
自分の名前がカチッと緊張感のある表情で印刷されており、身が引き締まった思い出があります。

現在では、ある意味"難点"である凹みやかすれが"味わい"として好まれ、特に近年ではブームと言える程に人気が出てきているそうです。確かに活版印刷の素敵な商品や業者さんは増えて、とても盛り上がっているように感じます。
印刷会社サンコーさん平和紙業さんが発信されているツイキャス番組「紙と印刷とラジオ」第20回にて、その辺りが語られています。

印刷会社さんはどこにする?

少し前に「デザインのひきだし 37(活版・凸版印刷でモノ感あふれる紙ものづくり」を手に入れていた私は、誌面で紹介されている印刷会社さんにしよう!と、

まずメイシストさんを調べました。そしてメイシストさんで多種多様の用紙見本を販売されている事に歓喜!

「【白い紙集】30銘柄を収録した活版印刷の紙サンプル帳」「メイシスト活版印刷等名刺サンプル」をすぐさま購入しました。

これは良い物だ〜。
参考になるのはもちろん、見ているだけでニヤニヤしてしまいます。

紙見本

印刷見本

ここでちょっと満足してしまい、出遅れました。ニヤニヤしてるうちに12月に入ってしまい、再度HPを確認すると「注文殺到の為、一旦受付停止」の旨のお知らせが。。しまった!!!年末は当然こういう事態になることを想定しておかなければいけなかった。

慌てて印刷会社さんを探し直し、デザインも固め、結論を先に書くと今回はHAGURUMA(羽車)さんにて制作しました。

HAGURUMAさんのオーダーサイトは使いやすい!

HAGURUMAさんにお願いした決め手は、(私が目指す仕様での)価格とオーダーサイトの使いやすさでした。

今回は星座の表現なので、用紙は「黒」か「濃い青系」で厚めの物がいい。なので「コットン ミッドナイトブルー 291g(HAGURUMAさんオリジナル用紙)」を選択。最低購入枚数は100枚。そこに印刷加工を選択し加えていきます。

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内訳は下記の通り。今回は少しでも制作費を抑えるため、活版印刷はデザイン面のみで、宛名面はシルバー1色のオフセット印刷にしました。シルバーインクは活版もオフセットもHAGURUMAさんオリジナルのインクだそうです。(別途オプションとしてDICやPANTONEなども指定可能)

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上記はカート内訳のスクショ。何にいくらかかっているのかが一目瞭然です。また、可能な印刷加工は選択メニューに全て表示されているので「あ、箔押しという手もあるのか!」とか「角R加工、1,100円なら追加しちゃおうかな」など、ラーメン屋で「平打ち麺に変えよう」とか「味玉追加しちゃおう」みたいに軽やかに検討できます。

大抵の特殊印刷系の印刷会社さんでは「見積もり依頼」が必須。もちろん見積もりだけお願いして発注はしなかったとしても問題ないはずですが、どうしても「申し訳ない!」という気持ちになってしまいます。
HAGURUMAさんにも問い合わせフォームはありますが、料金についてある程度自分で解決出来ると、やっぱり気楽です。

仕上がり感は些細な事で差が出る

実を言うと最初に納品された現物を確認した時は「期待していた程は活版の効果が出ていないな…」と感じました。凹みは控えめ、シルバーも思っていた程は存在感が無い。ただ、これは私の見立ての甘さであり、決してHAGURUMAさんの質が悪いというわけではありません。オーダーの際に「裏面に影響が出ない程度の印圧で」と添えてしまった事も原因の一つかもしれません。

こちらは活版印刷会社であり制作ユニットでもある「まんまる○」さん作のカード。

ながれ星

同じ星モチーフでもこちらの方が活版らしい効果が生かされていると感じました。用紙の厚みがしっかりあるので凹みもばっちり。柔らかい風合いも良い感じ。シルバーインクもきらめいています。

まんまる○さんは作り手として活版の特性などについて普段から発信されており、ちょうど私が検討していたタイミングで池袋ロフトにて実演販売をされていたので、商品購入もしつつ、少し質問をさせて頂きました。(実演販売の様子↓)

まんまるブース

まんまる○の若林さんに教えて頂いたこと】
・黒や色の濃い厚い用紙は高価な傾向にある。そんな中でも「黒気泡紙」は比較的安価
・シルバーインクは「LR輝(かがやき)」を使っている

空押しも効果的に使うと面白い

なるほど〜!黒気泡紙使ってみたかったなぁ。HAGURUMAさんでは用紙ラインナップに「コットン ミッドナイトブルー」以外にはふさわしい候補がなく、ラインナップ外から発注する事も出来なかったので、例えば用紙を違う物にするなら他の印刷会社さんにお願いする必要がありました。目的や条件に合わせて選択できると良いですね。

ちなみに最初は「仕上がり感にインパクトが足りなかったかも…」と感じた私の年賀状も、友人達から「ゴージャスでびっくりした!」などの感想をもらい、これはこれで十分効果は出ていたんだなと満足しています。

今回検討した印刷会社さんのまとめ

おさらいを含め、今回検討した印刷会社さんをまとめました。

● HAGURUMA(羽車)

今回お願いした印刷会社さん。比較的お手頃価格で、オーダーサイトが使いやすいです。お世話になりました!

● メイシスト

「デザインのひきだし 37」で見つけた印刷会社さん。非常に参考になる用紙見本、印刷見本を購入できました。

● まんまる○

活版とデザインが主軸の夫婦ユニット。デザイナー視点で相談出来るのが心強いです。オリジナルデザインの活版印刷商品も多数販売されています。

● CAPPAN STUDIO

大阪の印刷会社さん。ワークショップ運営やオリジナル雑貨の販売もされています。京都に実店舗もあるみたい。楽しそう。

● 黒田印刷

LINEオープンチャット「グラデザ友の会」でオススメ業者さんを質問したところ、教えて頂きました。UV印刷、箔押しなど様々な特殊加工に対応。丁寧なお見積もり対応をありがとうございました。


以上、年賀状制作を通して学んだ活版印刷の情報をまとめてみました。これから試してみたい方の参考になれば幸いです。
私もこれに終わらず、オリジナルグッズなどでまた活版印刷にチャレンジしていきたいです。

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フリーランスグラフィックデザイナー。デザインまわり、生活まわり、サッカーまわりについて。 http://k-oomi.com