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婦人的服飾手引

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乙女視点の服飾百科
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2014年9月の記事一覧

誰かのためじゃないランジェリー

どうしても好きだと思えないものの一つに「勝負下着」という言葉がある。その言葉を耳にすると私は、条件反射で苦くて酸っぱいジュースを口に含んだ時のような表情をしてしまう。 一般的に「勝負下着」とされる下着に使われているような安価なサテンや目がチカチカするような赤やピンク色、テカテカとした黒いレースといった自体が、ちっとも美しいと思えないし、そもそも下着で勝負をしてどうするつもりなのだろうか。そんな野暮な刹那は少しも美しくないではないか。 私が好きなのは、天女の羽衣やシルフィー

ベージュの道はいばらの道

ベージュという色と言葉から私が連想するのは、まるで白鳥の湖のオデットのような女性の姿。 無垢で貞淑。そのくせ、ふとした瞬間、裸に近い色香が漂う。品性と知性を兼ね備え、社交的でありながらも控えめ。時に臆病で保守的。だけど、いざという時には頼りになる。 そういった印象をいとも容易く抱かせる稀な色、ベージュ。この色を自分のものにできれば、男性にとっての理想的な女性像を自在に操るファム・ファタールのような存在となり得るだろう。しかし、世の中上手い話がなかなか無いように、ベージュを

赤を味方につける

正直、長い間、赤は敬遠する色の一つだった。 赤を身に纏い、鏡を覗き込めば、自分自身の古風な顔立ちと相俟って、抜け感の欠片も無い姿が映るばかり。それに、赤はとても目立つ。どんな色よりも目を引く、というよりも、目を引きすぎる。「今日ならば」と、赤い服を着てみても、やっぱりこれで家を出るのは少しばかりやり過ぎではないかという不安が頭を過り、家を出る直前にいつもの服に着替えるということも珍しくない。そんな理由から、服を買う際の色バリエーションに赤があっても、赤はいつも真っ先に選択肢