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【こんな映画でした】20.[太陽の帝国]

2022年 1月25日 (火曜) [太陽の帝国](1987年 EMPIRE OF THE SUN アメリカ 152分)

 スピルバーグ監督作品。こんな作品も作っていたのだ、と。つまり[カラーパープル]・[アミスタッド](黒人)、[シンドラーのリスト](ユダヤ人)などのように。これもその一連のシリアスなものの流れ。

 さてこの「太陽の帝国」だが、明らかにそれは「大日本帝国」を指すものだろう。それも落日の。時は1941年の上海。真珠湾攻撃がもう間近に迫っているのに、優雅な生活を送っていた主人公ジェイミーたちイギリス人。

 その傲慢な(と私には思える)思考から来たであろう楽観性が裏目に出て、彼らイギリス人は苦難の道を歩むことになる。ジェイミーが両親とはぐれてしまい、強制収容所生活を余儀なくされることになる。映画はそこでの3年半を描いている。

 ジェイミー役をクリスチャン・ベイル(撮影当時13歳)。相当にハードな撮影であったろう。ベイシー役をジョン・マルコヴィッチ。この二人が中心となる。日本人兵士が何人も出てくるが、有名なのは伊武雅刀のみか。

 特別攻撃隊の出陣風景もあるが、どこかおかしい。他のシーンでも何かおかしいところがあるのは致し方ないか(日本側の記録フィルムがあるので、その通りにしようと思えばできたはずだが)。ラストで若い特攻隊員とジェイミーとの交流が描かれている。これが唯一の救いか。もっとも、すぐに彼は殺されてしまうのだが。

 それにしても両親とはぐれて一人で収容所生活を送らねばならなくなったジェイミーは、その中で強く賢くなっていく。お終いの方ではやや正気を失ったのではないかと心配するほどに。それが生きていくため・生きのびるための知恵であったようだが。

 要するにこの映画(原作)は、零戦のような飛行機に憧れた少年のお話、ということか。彼はほぼ戦争の悲惨さを感知していないかのように振る舞っている。そうせざるを得なかったからでもあろう。この映画をイギリス人やアメリカ人はどのように観るのだろう。私はどうしても日本人の立場から観てしまう。

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