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【こんな映画でした】182.[ラルジャン]

2020年11月 2日 (月曜) [ラルジャン](1983年 L'ARGENT フランス/スイス 85分)

 ロベール・ブレッソン監督作品。トルストイの小説が原作とか。世の中の不条理というものを、そしてそのような状態に追いやった人たちが平然と生き続けているという不条理。そんなことを描いているのだろうか。

 カメラアングルが特異で、人の動きを追いかけないカメラワークなども面白い。そして気がついたのは、この映画はトーキーでなければ成立しないのだな、ということ。ドアをじっと映すだけで人はいない。しかし音によって、そのドアの向こうで何が起こっているのかが分かる、といった具合である。つまり逆に言うと、無声映画では成立しない技法だということ。

 原作のトルストイの小説は、『にせ利札』とのこと。「利札」は初めて聞く言葉。「り‐さつ【利札】 〘名〙 無記名の公債証書や債券などに接続していて、その利子を受け取るとき、切り離して受取証とするための札。りふだ。」とある。少年は父親からもらった利札の額面を頭に「1」を書き加えて偽造したとのこと。あとストーリーもだいぶ違うようだ。映画は映画として観ればいいようだ。

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