「パラサイト 半地下の家族」のここがスゴイ＆次に観るなら

この映画の端的に言うなら「物差しの交差がスゴイ」です。目に見える居住地の高低差、目に見えない生活の匂い、このふたつの異なる物差しの交差で人物像が肉厚に立体可視化されています。匂いという繊細なパーツを精神的な階層性の暗喩としても機能させる表現力は圧倒的です。

そして、誰にでも平等に降るはずの雨が彼らの間の隔絶の大きさを絶望的なまでに際立たせます。高低差、匂い、雨、この三つの物差しの交差で上層と下層をじわじわと滲ませて混じりあわせるという、グレーゾーン、まさに「半」の表現手腕が冴えまくっています。シニカルな笑いも交えられ、社会派娯楽作として極めて完成度が高いと思います。これでだいたいのケースを切り抜けられるのではないかと。

おしまいに次に観て欲しい映画として同名のSF青春系ホラー「パラサイト」をおすすめします。高校生が謎の寄生生物と対決する本作はスクールカーストが隠れテーマにもなっているので、社会と学校、それぞれの「階層」を意識しながら楽しんでいただけたら。