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棘が抜ける時期に胸を痛めて

InstagramのStoriesに世界中色とりどりの景観やごちそうが並ぶゴールデンウィーク、僕はどこにも遠出をせず、家にいます。

どうも自律神経の調子が良くないようで、この数週間はうっすら体調が悪いです。寝不足のときのようなしんどさ、お風呂で湯あたりしてしまったときのようなしんどさ。あまり経験したことのない感覚でどう説明すればよいのかわかりません。

特に一番しんどいのが動悸です。脈絡なく、心臓が急に跳ねて、左鎖骨から脇の付け根にかけて痛みが食い込みます。
断続的に胸が痛むのです。(レトリックではなく生理学的に)
「胸の痛み」という破壊力抜群の症状に驚いて循環器に強い病院で検査入院までしたのですが、異常なしでした。おそらくストレスだろうと。

原因は痛みと同じく、ぼんやりと思い当たるものがあります。
それは自分が今年28歳になるからです。

「トガッていていいのはせいぜい28までですよね」

と昔の自分が言った言葉が常に自分についてまわるのです。根拠はとくにないのですが、28歳という期限は自分の中ではとても納得感のあるもので、「自分の身になにか起こりそう」という予感にも近いものでした。

そして、実際にその「何か」は起こりました。

先月、自分が窮地に立たされていた時に、手を差し伸べてくれた方が大病をされたという話を聞いてお見舞いに参りました。

到着までの列車内でどんな言葉をかけようか悩んでいた僕に対して、その方は手料理を振る舞ってくださり、自分の悩みをたくさん聞いてくれました。一体、どっちがどっちにエネルギーをおすそ分けしているのか分かりません。

自分は何をしに来たのか。
お見舞いとは何なのか。
自分はお見舞いができたのか。

何も分からないまま、僕は帰路につきました。北陸新幹線の中で、Benjamin Francis Leftwich の Shine という曲を聴きながら、車窓を眺めていると、胸がキューッと痛みました。胸の痛みは、この瞬間から続いているのです。そして、内省と更新を終えてこの痛みがなくなったときには、棘もなくなっていることと思います。



頂いたお金は美味しいカクテルに使います。美味しいカクテルを飲んで、また言葉を書きます。