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熱海 BONNET

2018年9月。この日は、熱海の美術館を尋ねる前の街歩きだった。
目指すは、昭和27年創業のBONNET(ボンネット)さん。
レトロな喫茶店紹介記事を読んで、ワクワクすることこの上なかった。

それまで熱海は、南伊豆への通過点で、特に駅構内から出たことはなかった。駅前のお土産屋さんが立ち並ぶ商店街には若い人も沢山いてとても賑やか。googleマップをたよりに、古い温泉街の名残と新しいマンションが交互する街並みを海に向かって坂道を降ってゆく。人通りもまばらになり、段々不安になった。

『熱海銀座商店街』の中にその店はあった。
かつては賑わっていたであろう商店街も、午前中だったせいもあり、シャッターの閉まったお店が続いていた。そのまた寂れた感にちょっとした旅情を感じた。

2018年撮影 BONNET

思い切ってドアを開けてみる。
『わあ、昭和があふれている。』
ショーケースも照明も、何もかも写真に残しておきたいインテリア満載。
この日のフィルムはkodak portraをつけていた。こっくりした飴色の感じもよく再現できていたと思う。
年忌の入った皮?のシートに座り、珈琲と名物とされる文豪も愛したハンバーガーを注文した。

2018年9月撮影 BONNET

お店に着いたのは、確か10時半頃だったと思う。
早かったせいか、カウンターには常連さん達が入れ替わり立ち替わり。ここでもいわゆる一元さんの観光客は私一人だった。
おそらく普段接客業をされていらっしゃる方々か、朝のモーニングコーヒーには、『口紅はしっかり、だけど下は普段着』というミスマッチで、そこに温泉街にある商店街らしさを感じ、今でも印象に残っている。

程なくして、観光客とおぼしき人々がお昼にハンバーガーを目指して続々と入店してきた。おかげさまでアウェイな居心地の悪さはだいぶ解消した。

2018年9月撮影 BONNET

お店を出た後、駅へ向かう道すがらいくつかの喫茶店があったが、この午前中の時間帯はどこもそこそこの賑わいで、入って行けそうにない地元のコアな感じだった。しかし、それこそが地元に愛される喫茶店、というものだ。

知り合いから熱海には、他にも昔懐かしい喫茶店があると聞いている。
次に訪れる際は、観光客で賑わう時間帯を狙って、さらっと珈琲をいただきたいと思っている。

2018年9月撮影 BONNET

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