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花譜

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四季の花や植物との出会い。古道具と花、写真で綴る短いエッセイ。
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#旅のフォトアルバム

秋のブーケ 私の花仕事

私が、もうかれこれ13年もの間、担当している花の仕事がある。 花の通販サイト『花問屋アソシエ』さんでの『花レシピ』の製作と撮影。『うきうき花レシピ』という、気分も揚る名前をいただいている。 毎月一回、季節の花の紹介とそれを使った作品を製作し、撮影する。 事前にデザインを決めて、花材を発注。 当日は丸一日かけて8作品程度製作しながら工程を撮影していく。 今年からは動画撮影も加わり、どうお見せしたらいいいか工夫しながら、スタッフ皆で試行錯誤しながら進めている。 特に、プロのカメ

NICOさんの庭 鎌倉石窯ガーデンテラス

久しぶりに鎌倉の浄妙寺さんの中にある『石窯ガーデンテラス』を訪ねた。 その後、あの庭はどうなっているのだろう。 まずは、エントランスより。 たわわに花をつけた柏葉紫陽花やアナベルがが枯れた花をつけたままで迎えた。自分の庭ならば、夏の間に花だけ切り取ってしまうところだが、このままにしているのには、何か意味があるに違いない。 少し寒くてどんよりとした雲の下、雨もポツポツと落ちてきた。 それでも、私たちは迷わずテラス席を選ぶ。 まずは、スイーツ。飲み物はやはりここではハーブティ

夏色の伊豆旅

昨日の仕事の疲れを引き摺ったまま、車に乗り込む。 元気すぎるラジオDJがやや耳障り。そんなに朝から頑張らなくても、と思う。クラシックが聴きたいが、わざわざオーディオを操作する意欲も無い。箱根越え後、三島の街が一望に見下ろせる頃、ようやくじんわり意識が戻ってくるのがわかった。低体温低血圧気味だからよくある事だ。 いつも友人の下田の家へは、東伊豆から向かうが、今日は友人の家を訪ねる前に、西伊豆で一つ目的があった。 まずは一息、月ヶ瀬ICに寄る。 駐車した隣のワゴンには、浮き輪

ソーダ水の向こう 神奈川県立近代美術館 葉山館

多分今日なら大丈夫そう。 R134を東へ走る。 いつも混雑してうんざりの七里ヶ浜のカレー屋の前も、ほぼ滞りなく通過。 休日は、このルートは走らないのが鉄則。 これなら会館前に間に合うだろう。 江ノ島、由比ヶ浜、材木座、逗子海岸と人手はまだ少なめ。 平日朝の海岸は、ほぼローカルな人々の時間帯。 信号待ちで、風に揺れるカラフルな海の家のパラソルが目に映るが、映像をみているようで、自分とは無縁な世界だな。と思う。 渚橋交差点を過ぎると、道が細くなる。 バスが来るとすれ違いに注意

空が近い場所 麗しのビーナスライン

長い長いトンネル渋滞を抜けて、向う先はビーナスライン。 まだ6月なのに梅雨は突然去ってしまった。 今日は猛暑になりそうだ。 諏訪南ICで降りて、蓼科高原、白樺湖方面へ進む。 インターを降りてすぐは、なだらかな傾斜地に畑が広がる。 民家の庭先の花は、高地で寒暖差があるせいか、色鮮やかだ。 夏を過ごす場所なら、こんな場所がいいと思った。 ビーナスのような美しい輪郭のカーブを辿りながら、赤松から唐松、白樺と林道の木々は変化してゆき、車はグングン上がっていく。 柔らかな稜線の山々

ボンネットは新緑 イタリア大使館別荘

初夏の中禅寺湖を訪ねる1day short trip. そこには素敵な建物があるとHは言う。 指定の駐車場から暫く緑の中を歩く。 風はやや強め。眩しい水面を背景に若葉が輝く。 波音とざわざわと葉の擦れ合う音だけが聞こえる。 国立公園内とあって余計な人工物も見当たらず。 また、高地で風通しが良いせいか、木々や葉には虫食いあともほとんどなく、思いきり大きな黄緑色の葉を広げている。 完璧な初夏の午後。 自然に溶け込むようにイタリア大使館の別荘は立っていた。 木造で、木と竹のパタ