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【読書記録】はじめての大拙 鈴木 大拙 (著), 大熊 玄 (編集)

「大拙さんは大地、言葉はそこに根付いて咲く花。」――谷川俊太郎

禅を世界に広めた哲学者・鈴木大拙がどうしても伝えたかった「禅の本質」を厳選された言葉から読み解いていく、今までにない「大拙入門」です。

禅寺での修行を経てアメリカに渡り、禅を「ZEN」として世界に定着させた功労者、鈴木大拙。彼の功績は、かのスティーブ・ジョブズが禅に傾倒するきっかけを生んだほか、直接交友のあったジョン・ケージに多大なる影響を与えました。

本書は、そんな大拙の思想にはじめて触れる人がその本質を体感できるよう、108の言葉を厳選して編み集めたもの。「大拙爺さん」の語りに耳を傾けながら「禅」の本質を感じ取る、いままでにない一冊の誕生です。

 大文字で言葉が並んでいるタイプの自己啓発系の本かなと思って、実際そんなレイアウトではあったのですが、選者の方も禅学/哲学を研究されている方であるからか押し付けがましさもなく思いがけず良い言葉に出会うことができました。一文一文が前後の文脈から切り離されていてもなお強さを持ち続けており、選者の言葉にもあるように力のある言葉たちは詩的な表現も相まってとても印象的。いずれ原著にも当たってみたいと思います。

空から降る夕立のように考える
海原にうねる波のように考える
夜空に輝く星のように考える
さわやかな春にめぐむ木の葉のように考える


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