三十五年目のラブレター 第39話
桐谷を署へ送り届けて一段落ついたところで、島崎は川畑を家まで送るように吉井に命じられた。
吉井もそれなりに気を使ってくれたのだろう。川畑だけでなく、島崎にも、だ。
まあ尤も、島崎としては「本来なら川畑は吉井に送って欲しいんだろうな」などと派手に勘違いしたままなのではあるが。
車の助手席で、川畑はぼんやりとしたままで何も話そうとしない。余程疲れたのか、それとも桐谷と何かあったのか。
「済まなかったね……」
「ん?」
「桐谷さんの口癖。いつも二言目には『済まなかったね』っ