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セガンティーニ ニルヴァーナを描く

今回はセガンティーニ。概要はAIで。

ジョヴァンニ・セガンティーニは、イタリアの画家であり、アルプスの風景を題材にした絵画で知られています。彼はアルプスの美しさや人間と自然の調和を描き、独自の点描法を用いて象徴主義的な作品を残しました。

セガンティーニは1858年にイタリアのアルコで生まれ、アルプスの画家として名声を得ました。彼は風景画だけでなく、神秘的で退廃的な作品も制作し、その作風は世紀末芸術とされています。

彼の代表作には「アルプス三連祭壇画」や「悪しき母達」などがあります。セガンティーニはアートの世界で独自の足跡を残し、アルプスの壮大な風景を美しく描いたことで称賛されています。

アルプスの真昼

この作品は日本の大原美術館にある。とても明るい線点描の作品。
山田五郎さんに言わせれば「妙に明るい」作品。
高地独特の澄んだ空気のなかで描いたので、妙に明るいのかも?

セガンティーニは、画家史上ダントツに不幸な少年だったとは山田五郎さんの弁。

兄弟が火事で亡くなり母がうつ病となって亡くなる。父は各地を回って仕事をしていたが亡くなる。姉が引き取るが何故か国籍をはく奪する。姉のところから逃げ出してストリートチルドレンになる。捕まる。30歳すぎまで読み書きが出来なかった。

ネグレクト、虐待、無国籍、ストリートチルドレン、読み書きが出来ない……不幸の大博覧会。けれども、絵画の才能が彼を救う。

神父さんが絵の才能を見抜いて描くことを勧める。17歳で絵の勉強を開始し4年後に絵が認められる。結婚する(国籍がないため事実婚)。妻に本の読み聞かせをしてもらって読み書きを学んだ。ミラノからプシアーノ、カレッラとどんどん高地に引っ越す。ヴィットーレ・グリビシー(画家・画商)が支えてくれる。

妻と子供たちに恵まれ、画業も順調。
しかしセガンティーニは「ニルヴァーナ(涅槃)」をテーマにした絵も描いている。


淫蕩な女達への懲罰


悪しき母たち

水子霊が母親を罰する絵。上下の絵はセットになっている。
木に絡めとられた母親が、木から生えてきた子供に乳房を吸われている。遠くには同じような母親がずらりと並んでいる。

愛の果実


命の天使

上の罰せられる絵の両脇にある子どもからの赦しを感じさせる二点の絵。
ネグレクトを受けたセガンティーニだったが、憎しみを超えて彼は母親を赦していると山田五郎さんは話していた。

妙に死の匂いのする綺麗すぎる場所。母親に対する憎しみと赦し。
明るくて空気の澄んだアルプスの高地。美しいだけではなく「怖い」場所。美しすぎる水に魚が住めないように「死の匂いのする場所」「涅槃」

2500メートル超えの山小屋に引っ越して絵を描き続けたが、盲腸から腹膜炎に悪化して亡くなる。1899年 41歳。短く激動の一生だった。

アルプスの高地のように空気の澄んでいる場所では遠くまで見通せるだろうし、冬の寒さは身近に死を感じさせるだろう。美しすぎる大自然のなかでは生よりも死のほうがより強く感じられたのかもしれない。

絵の才能と妻の愛情。セガンティーニが外で絵を描いているあいだ、妻は横でずっと本の読み聞かせをしていたらしい。辛い少年期を過ごしたセガンティーニだったが、妻の愛情でこころを救われ美しく神秘的な絵を残した。

辛い少年期だったからこそ、自然のなかにある怖さを敏感に感じ取ったのかもしれない。憎しみと赦しのあいだで強い葛藤があったのかもしれない。

ひたすらアルプスの高地へ高地へと引っ越していったセガンティーニ。
過去から逃げるために? 死の影を恐れながらも求めていた?
あまりに美しいものには死が内包されている。それは抗いがたい魅力を持っている。彼はそれを知っていたのだと思える。