みーな. Page 2
向井みずき君を見つけたのは、本当の本当に、偶然。
SNSをしていて、ふとしたきっかけだったんだ。
びっくりした。
また出会えるなんて思ってなかったから。
舞い上がって、運命なのかもなんて思ったりして。 わぁわぁ言いながら今までのものを全部見た。
最初は彼がアップした写真を見たり、ちょっとした物を読んだりしてるだけでよかったんだ。
相変わらずだなぁとか、元気にしてるんだなぁとか。彼女がいるようだったけど、それはあまり気にしてなかった。見た事ない知らない子だったし。
みずき君の様子を見ることが日課になって、毎日スマホの画面をぼーっと見てた。
そこから日常生活を想像し、充実してるなぁなんて思っていたのが…。
いつの間にか。
自分もそこにいたいと。みずき君の近くにいたいと思うようになって。その視界に入りたくなってしまって。
ふわふわとメッセージを。送っていた。
『こんにちは。みなこです。覚えていますか?』
確かこんな感じ。そして、
『みーな? みーななの? 久しぶりだね。』
こんな感じの返事がきた。
覚えていてくれたことが嬉しくて。みーなと呼んでくれたことが嬉しくて。
いつの間にかまたメッセージを送っていた。
みずき君は、たわいないやり取りに付き合ってくれたんだ。
それだけで満足しないといけないのにね。
重ねていく程。
メッセージで思い出す。声と話し方。
写真を見て思い出す。その手を繋いだ。その肌に触れた。その感触。体温。唇。髪。
どうしてもまた会いたくなってくる。
会わない方が良いと頭ではわかっていたけど。
声が聞きたくなって、触れたくなって。みずき君としたセックスを思い出して。またしたいと思うようになってしまった。
今はあの彼女が…。
そのなんともいえない気持ちは、だんだんと。
私を煽ってくる。
思い切って伝えてみた。
『ねぇ。会おうよ。』
『会う事はできない。』
だよね。わかってたよ。適当な事してたけど、浮気だけはしなかったもんね。
それでもなんとか会えるように、あれこれ理由をつけてみる。
何度も断られたけど、諦められなかった。
そうか。これを出すしかないか。
ごめんね。みずき君。
まだ7年経ってないよ。
私も知ってる君の秘密。忘れてないよね?
こんな事したくなかったけど、言いたくなかったけど。それで会えるなら。
一度だけでも会えるなら。
嫌われてもよかった。
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