みーな . Page 1
なんだか懐かしくなって。
最初はそのくらいの軽い気持ちだったんだ。
でもね。
やっとみずき君と再会できた。
みずき君は大学時代の元カレ。
別れた後は連絡も取れなくて、もう忘れていたのに。SNSを見てて偶然見つけた。
そこはまた後日、詳しく書こうかな。
とりあえず。
呼び出したのはとある駅構内のスタバ。
目立つから、来るとすぐにわかった。
「みずき君。やっぱり変わってないね。」
思わず立ち上がって、笑顔になる。でも彼は無表情だった。
「みーな。久しぶりだな。」
あー!ずっと聞きたかった!少し鼻にかかったその声。やっと聞けた。
嬉しくなって、席についたみずき君をじっと見つめてしまった。
にこりともしなかったけど。そこもまた変わらないな。
みずき君はゆっくりコーヒーを飲みながら、なんとなく説得しようとしてた。ここで話をしてもう帰ろうって。
それがおかしかった。
可愛かった。
でも。残念。そんな事はお構いなしで、話を進める。
「とりあえず、食事に行こうよ。どこがいい?」
「んー? どこでもいい。」
素っ気なくそう言うから、とある店の個室を予約したんだ。
駅に近いから歩いて行ったんだけど。
ほとんど無言…。
着くと少し嫌そうな顔をした。
「おい。個室かよ。」
「いいじゃん。ゆっくり話をしようよ。」
昔みたいに腕を掴んでみる。
…やっぱり。変わらないね。
軽くため息をついて無言で入る彼。
私はその隣に座る。
うん。
うんうん。
伏目でメニューを見るのも。
「何にする?」
ってこっちを見ずに言うのも。
黙ってたら
「どうした?食いたい物ない?」
って心配そうにこっちを見るのも。
見つめてくる。その少し細めの目も。色素も。
さらさらなその髪も。
メニューを指差す長い指も。
店員さんに丁寧なのも。
コップの持ち方。
たくさん食べるところ。
それなりに話をしてくれるところ。
優しいのか冷たいのかわからないところも。
全部全部。変わってなかった。
ねぇ。その全部が。
みずき君のその全てが。
かつては私のものだったんだよね。
そう思うと、胸がズキンとして。
何かが、溢れるほどこみ上げてきた。
やっぱり。
変な感情が芽生えてきて…。
少しくらいならって。
思ったんだ…。
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