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かぐや姫は地球に行きたい 1-1

 むかしむかし、地球人は月に降り立った。我々は息を止め、食い入るように、その様子を見ていた。地球人たちは、地表を飛んで跳ねて歩き回り、旗を立て、塵を持ち帰っていった。
    彼らは、我々を見つけることはできなかった。それも当然だろう。月の地下深くに生きる我々は、地球人より、はるかに進んだ技術を持っているのだから。
 ――宮廷図書所蔵「第**代帝王 自叙伝」より


 地球の4分の1の大きさの星。表面積でいうと、地球のわずか7%ほどしかない大きさの領土。
    地球には、たったそれだけの領土を治めるために、何十人もの王がいる。しかし、月を治めているのは、月の王ただ一人。

 その王には、大切な一人娘がいる。
    幼い頃から王家の教育を存分に施されたその姫は、類まれな才女へと成長した。政から工学、科学、生物学まで幅広い知識と確かな技術を持つ姫のもとに、その道の専門家が見解を求めて日夜やってくる。次期女王として全く申し分のない、お姫様であった。
 ――宮廷の外から見れば。

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