風物詩のかけ声
最初、大きな事故でも起こったのかと思いました。
車のボンネットを叩いたような大きな音がして、すぐにそちらを見ました。
ただ、耳を澄ましてもその後音は聞こえてきません。
気のせいかと思い始めた矢先、同じような音が鳴りました。
やっぱり思い過ごしじゃない。
外に出て、確かめようとしたら、同じ音がまた繰り返し鳴りました。
そして、僕は外を見ました。
花火だ。
残念ながら建物に隠れて見えなかったけれど、夜空に花開く光の片鱗だけは確認できました。
しばらく、僕は黙り込んでいました。大好きだったのに、あまりにも久々に聞いたがために、僕はあの腹に響く音を忘れていました。
この3年間、ほとんど聞くことのできなかったあの音が帰ってくる。それはさながら、久しく忘れていた日々が帰ってくるような気がしました。
ありがたいことに、今年は大好きな音と光を聞ける機会が増えそうです。そう思うだけで、ちょっと感傷的な気分になりました。
た〜まや〜!
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