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あなたは沈黙を選べるか

 なんか響いてこない言葉ってのがあるんだよなぁ。

 内容としては、別に間違っていないし、修正すべきこともないのだけど、すごくきらびやかな装飾をされたハリボテになっている。

 言ってしまえば具体性がないのだ。抽象的な話題は誰にでも当てはまるが、自分事として捉えにくい。一方で、具体的すぎると、本質を見失いやすい。具体と抽象は両者を行き来しながら語られるからこそ、納得できる。

「あなたは悪くない」とか「夢は大切だ」「希望を持て」とだれかが望んでいそうな言葉をかけてあげる。本気で思ってんのか、と疑ってしまう。
 僕も、そうした類の言葉をかけた経験がある。ただ、自分の本気を信じられない時は、黙るようにしている。重要な場面こそ、沈黙よりも気休めの言葉が毒になるし、安っぽい肯定が害になる。

 言葉にならない沈黙が時に雄弁にその心情を語るのだ。だから、だれかを思い、労る時に、口を噤む選択肢もあると覚えておく。

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