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移動する人はうまくいく×親元を離れて音大に進学した話❸

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 こうして、ひとり暮らしの時の極限状態と、同棲によって生まれた食事への義務感を経て、食材を買い、調理し、食べるという、まさに”サバイバル能力”を身につけることができた。
 そしてこの”サバイバル能力”は、私とはまったく真逆の、食事にとてもこだわりのある主人による《愛あるアドバイスたち》によって、磨きをかけられることになる。

 「この豚キムチは、酸味が少し残ってるから、もう少し火にかけた方が良い」だとか、「炒飯を作るなら、ラードを使ってほしい」だとか、「パスタを茹でる湯量がこの鍋じゃ足りない」だとか、《愛あるアドバイスたち》は思い出そうとするとキリがない。こういうことを言われまくっていた同棲~結婚したての頃は、ようやく”サバイバル能力”を身につけられた頃だったけれど、ノイローゼ気味だったと思う。

 ところがこれが、2年くらい経ってみた今、主人に美味しいと言わせるために、ああしてやろうこうしてやろうとだんだん楽しむようになり、作って食べてみては主人とああだこうだ言い合う、そんな食卓の時間も楽しめるようになった。
 (余談だけど、先日ついに、最難関だった炒飯に《合格》をもらった。だから、その炒飯を作った8月31日を、私は「炒飯記念日」と呼ぶことにした。)

  親元を離れての生活・主人との生活、この2段階があって、結果、私は食事が大好きになった。
 そういえば食事に興味を持ち始めた頃から、SNSでレシピを探す習慣ができたのだけど、私はこの「探す」という行為が相当好きらしく、マイブームは「美味しいもの探し」。

 海外に行くのと同じように、過去のルール、今までのルールが通用しない人生に入っていくわけだから、サバイバル能力が目覚めるのだ。
 というより、目覚めるしかないから、本来の能力が開花していくことになる。

 私にとってこの「探す」というのは、隠れていた”本来の能力”で、どうやら食事にまつわる"サバイバル能力”の目覚めとともに、開花してくれたらしい。
 また何かしらの”本来の能力”に目覚めるチャンスをつかむために、これからは積極的に「移動」をしてみよう。

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