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3年半ぶりの台湾へ 中編

 台湾旅中編。前編はこちらから。

 台湾2日目。ただ前日は午後6時過ぎに台湾に着いたため実質的には今日が1日目かもしれない。今日は台湾の南西部、台南へ行くことにしていた。
 そのために前日、台北駅で新幹線のチケットを発券しておいた。ちなみにチケットは前もってネットで予約していた。使ったのは台北に本拠を置く旅行に関するサービスなどを提供しているKK Dayというサイト。ここは台湾での故郷交通機関の割引チケットなどが充実していて、今回は「外国籍限定20%割引 台湾高速鉄道片道乗車チケット」というのを活用した。外国人旅行者限定で台湾高速鉄道(新幹線)の切符が20%オフになるというお得チケットだ。日本語対応なので簡単に予約できるのでおすすめ。ほかにも乗り放題チケットなどもある。ここで予約した後に台湾高速鉄道のサイトで手続きすれば座席も予約可能。ちなみに台湾へ行くときはいつもこのKK DayでポケットWi-Fiをレンタルしている。ここまでつらつらと書いたが別に自分はKK Dayの回し者ではない。

 新幹線は6時半出発と早朝にもかかわらず多くの人たちが新幹線を待っていた。ホームへ行くとすでに新幹線が出発待ちしていたので乗車することに。
 台湾高速鉄道は日本の新幹線技術を輸出した初めてのケースで、以前NHKでそのストーリーをドラマ化していたので知っている人も多いかもしれない。そのこともあり、車両は日本の700系の改良型が採用されている。乗り込むと見慣れた車内空間が広がっており、久しぶりの台湾に浮かれていた自分は一気に現実に引き戻されてしまった。僕の席は3列シートの窓際席。車内を見渡した感じ、席はほぼほぼ埋まっているように見えた。6時半に新幹線は出発、初めは地下を走っていた新幹線は徐々に地上に上がり台湾の街を走り抜けていく。個人的に電車の車窓から外の景色を見るのが好きだ。台南へ向かうまでの間、街、バカでかいマンションなどに加え田舎、山、田など台湾郊外の風景を見ることができて楽しかった。ぽつんとある集落などを見るとここの人たちはどういう生活をしているのだろうなどと想像を膨らませたりしてしまう。本を持参していたがほぼ外の景色ばかり眺めていた。

MRTなどでの飲食は法律で禁止されているが新幹線では可能。コーヒーは結構高かった

 約2時間で台南駅に到着。とはいうものの厳密には到着していない。到着したのは台湾高速鉄道の台南駅で、台南の中心部にある台湾鉄道の台南駅に行くにはここから電車に乗り換えなえればならないのだ。隣接する台湾鉄道の沙崙駅から電車に揺られること約20分、ようやく台南に降り立った。電車を降りた途端にまとわりつく湿気に南国感を感じつつ、初めての土地に胸が躍る。朝早く出たためまだ朝の9時前。早速ご飯を食べに行くことにした。

レトロな駅舎の台南駅
駅前。ヤシの木が南国感を醸し出す

 今回の台湾旅ではタイミングよくライブなどやっていたら行くのもありかなと思っていたが特に面白そうなライブがやっていなかったため、とりあえず食に焦点を当てて巡ることにしていた。まず向かったのは「廣仔虱目魚丸」というお店。海外に行ったときはできるだけ地元の人たちが普段食べているものを食べたいと思っていて、このお店はその欲求を満たしてくれそうな雰囲気を醸し出していた。
 注文したのは肉燥飯と綜合湯。肉燥飯は台南で食べられている魯肉飯的なやつ。肉がめちゃくちゃ煮込まれているせいかほろほろで味付けもくどくなくさらっと完食できてしまう。日本の台湾料理店で出る魯肉飯は肉がゴロっとしたものが多い印象で、それはそれで美味しいのだが、ぐじゅぐじゅに煮込まれた台湾のチープな魯肉飯が無性に食べたくなることがある。綜合湯は魚のつみれや油條(揚げパン)とかなんかよく分からないやつとか、とにかく具沢山のスープだ。綜合というのは総合とかいう意味なのかなと思いつつスープをすする。台湾のスープってどこもかなりあっさりしていてとても飲みやすい。うめ~。

台湾ではよく見かける、路上に出された机で食べるのが気持ち良い
肉燥飯と綜合湯と謎の卓上調味料

 まだまだ食べる。次に向かったのは「葉家小巻米粉」。人気店らしく店は満席で、少し待ってから入店した。ここの名物はイカの出汁たっぷりのスープで、イカとともにうどんとそうめんの中間くらいの太さのビーフンがたくさん入っている。このスープがめちゃくちゃうまかった。刻んだセロリーが良いアクセントになっている。

見るからにおいしそうなビジュアル。輝いている

 
 ここらでお腹もそこそこ膨れてきたので「林百貨店」という店へ向かった。同店は日本統治時代の1932年に日本人が作った南台湾初の百貨店。1980年以降は空きビルになっていたが2010年に修復が行われ、2013年に再オープンしたそうだ。旅行のガイド本にも載っている台南の定番観光スポットの一つといえ、とりあえずお土産でも買うかと思い訪れた。店内は当時の面影を残している箇所もあるほか、屋上には第2次世界大戦時の米軍による空爆跡なんかもあって意外と楽しめた。

レトロな外観

 少し歩いたことで胃に余裕ができたため次なるご飯を求めて林百貨店を後に。向かったのは「集品蝦仁飯」、名物の海老飯が楽しめる店だ。わが地元岡山県にもえびめしというローカルフードがあるがそれとはまったく違い、台南の海老飯はカツオ(多分)の出汁で炊いたご飯の上に海老がゴロっと乗っている。これだけだと物足りないので、一品つけることに。メニューに何と書いてあったか忘れたが適当にこれ!と指さすと店員が店の入り口付近に鎮座しているガラス棚を指さして何か答えてくれた。どうやらそこから好きな1品を持っていけとのことらしい。中にはさまざまなおかずが並んでおり、悩んだ挙句よくわからない茎みたいなやつのおひたしのような料理をチョイスした。
 

このお皿欲しい

 おひたしは食べても結局何なのか分からなかったが、にんにくが香って意外といけた。海老飯は汁だく気味で、甘みのあるお味。それなりに美味しかったが期待を上回ってはこなかった。

 昼を回ると外はかなり熱い。気温もそうだが湿気に身体の元気を吸い取られる。とにかく涼しくて何か飲み物が飲めるところはないかとスマホで調べると良い感じの店がヒットしたので行ってみることにした。
 見つけたのは「Room A」というお店。本が読み放題の喫茶店で、料金は時間制となっていた。お店には日本語を話すことができるスタッフの方がいて、そのシステムを丁寧に説明してくれた。中国語もしくは台湾語でその説明をされても全く分からなかっただろうから大変助かった。。。
 ホットコーヒーとお茶3種類が飲み放題で、これがなかなか美味しい。本はなぜか日本の雑誌が充実していた。店内は人もまばらでとても静かな雰囲気なことに加え、テーブルにはコンセントもあり至れり尽くせり。居心地が良すぎて結局3時間滞在してしまった。台南駅からはそこそこ離れるが、めちゃ混みカフェが嫌な人はここに来ることをおすすめする。

眺めの良いカウンター席
看板には図書館とある

 体も回復したので次なる場所へ。たどり着いたのは、カフェに加えてZINEやアーティストのグッズを販売するスペース、ギャラリーなどを備えるError22(鼴鼠)というショップ。行く前から気になっていたこのショップ、カフェは若い人たちでにぎわっており、ギャラリーでは現地のアーティストの個展が開かれていた。品ぞろえも面白く、台南のカルチャー発信基地となっているのだろう。

1階ではイラストレーターの山﨑めぐみさんとのコラボが展開されていた

 
 夕方に差し掛かりつつあったので、最後のご飯を食べに歩を進めた先は「小杜意麵」という、台南意麵が食べられる店。意麵とは小麦粉と卵で作られるちぢれ麺のことで、調理する前に揚げているのが特徴だ。日清食品創業者、安藤百福は台湾出身ということもあり、この意麵からカップヌードルのアイデアを思い付いたのだとか。
 店はかなり繁盛していて、その活気に飲まれていたら店員のおばあさんが話しかけてくれた。中で食事がしたいんだ的なことを身振りと簡単な英語で伝えようとすると中国語で日本人か?と聞いてきたので「そう!」と答えると片言の日本語でメニューについて簡単に説明してくれた。ありがたいことです。

どちらも至ってシンプルな味付け

 頼んだのは汁なしの意麵と魚のすり身団子が入ったスープ。意麵は底にタレがたまっているのでよく混ぜて食べる。かなりあっさりとした味付けで、飲んだ後の締めにも最適。日本にも欲しい。
 お会計をしようとしたときに店員のおじさんが先ほどのおばあさんに日本語で80はどう発音するのかと(多分)聞いており、おばあちゃんは「はちじゅう!」と教えてあげていた。もしかしたら日本統治時代を経験された方なのかも。そんな微笑ましい一幕を眺めながら80元を払って店を後にした。

 台南の行きたい場所も一通り行ったので、新幹線の時間までぶらぶらすることにした。台南は台湾の中では最も早く開発された町。台北に比べて高層ビルなども少なく下町の雰囲気もあり、歩いていて楽しかった。

町中にこういった寺院が点在している
エルメス
台南にもTENGA SHOPあるのか


 台南駅からの電車に乗る前に、旅先でのルーティンであるところのレコードDIGも実施した。駅にほど近い場所にある中古CD、本、レコードなどを販売するブックオフみたいな店へ。

脱力系のおじいさん店員がいた

 無造作に並べられたCDやレコードをひたすらチェック。メタルコア系やCRUZ RecordsのCDなどあり、ここにもこういうの好きな人がいるんだなとしみじみ。しかし、これ!というものも無く、泣く泣く店を出た。今思うと記念に台湾版の洋楽CDなど買っておけばよかった。

 台南の旅はこれにて終了。台南駅から台湾高速鉄道の台南駅まで電車で向かった。ただ、余裕をもって出たため、意外と早く台湾高速鉄道台南駅に着いてしまった。そのため駅に隣接する三井のアウトレットパークで時間をつぶすことにした。地元にもある三井アウトレットパーク、ここ台南の店舗もここだけ日本なのではと思うほど中のテナントも見慣れたものばかり。時間的にフードコートや飲食店街は現地の家族連れでごったがえしていた。

なじみのある外観
ドンクもあるよ


やよい軒は現地の食事に比べると割高感。ちょい高級店なのか

 三井アウトレットの店内をぐるっと見て回った後、スマホの充電がなくなりつつあったため、充電もかねて駅の構内にあったモスバーガーに入った。飲み物だけだと申し訳ない気がしたのでチーズバーガーも頼んだが、この日で一番高価な食事となった。けどチーズバーガー美味しすぎる。ファストフードはやはり強い。

 そんなこんなで新幹線に無事乗れ、台北に帰還した。着いたのは23時過ぎ。かなり歩いたはずなのになぜか睡眠は浅かった。

台湾高速鉄道の台南駅


駅構内にあった「ロイホ」ならぬ「ロイパ」


後編へ続く。

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