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頭の形が四角形と言われた日

出不精、インドアでも普段しないことをやってみたいという衝動に駆られる時がある。

何か非日常的なことをやってみたい。

没頭できることをみつけたい。

なんとなくパソコンをいじっているとストアカというサイトを見つけた。

学びたい人と教えたい人が集うサイトだ。

ビジネススキルから趣味の習い事までスキルを学ぶことができる。

色んな分野の先生がいて楽しそうだ。

気づけば興味そそられる講座を次から次へと申し込んでいた。

麻雀、ワイン・日本酒、和太鼓、キャンドル作り、浴衣の着付け、ヨガ、ボイトレ、ドラム・・・

今でも継続してお世話になっている先生はドラムだけだが、どれも面白い体験をさせていただいた。

たまにはこういう経験もいいもんだな。

その中で、こんな講座も受けていた。

自分に似合うヘアスタイル講座。

いつも同じ髪型しかしていないわたくしとしては興味がそそられる内容。

骨格、耳や目の位置、顔の大きさから似合う髪型をお伝えします、とある。

いつも美容室に行くと伸びた分だけ切ってもらうというスタイルのわたくし。

冒険しないタイプ。

私に似合う髪型ってどんな髪型だろう。

知ってて損はないだろう。

早速申し込んでみる。

講座の先生は表参道の美容師さん。

表参道なんておしゃれさんしかいないイメージ。

中学のジャージを部屋着にしていた干物女が行くようなところではないだろう。

しかし何事も経験。

東京に上京してきたからには、あますことなく東京を知っておきたい。

はじめての表参道にびびりながらも、目的地の美容室にたどり着いた。

出迎えてくれたのはお肌ピチピチ、おしゃれメンズの美容師さん。

店内に案内されたあと、早速今回の講座で学びたいことを聞かれた。

自分に似合うヘアスタイルを知りたいです。

そう伝えると、美容師さんは私の頭を両手でやさしく触り始めた。

私の頭の形をさぐっているようだった。

髪質や毛量、髪の太さまでも観察しているよう。

私の顔のパーツや輪郭、骨格をおおむね把握したようだった。

先生が何か紙に書き始めた。

私の輪郭、髪質、顔のパーツの特徴など箇条書きにつらつらと書いている。

書きながら説明をしてくれた。

「松本さんの頭のかたちは・・・」と何やらイラストを書きながら先生が言う。

紙の余白に四角形を書いていた。

躊躇することなくすらすらと書いている。

私の頭の形らしかった。

ただの立体的な四角形。

立方体。

絶壁頭、顔面まな板平面。

そう表現されたのですね。

頭の形がきれいな球体ではないのは重々承知だ。

それは物心ついたときから自覚していた。

しかし、第三者に図形で書かれたのは初めてだ。

ストレートに絶壁ですね、顔面が平たいですね、と言われるよりも良かったかもしれない。

本当はきれいな球体の頭の形に生まれたかった。

まんまるな図形で書いてほしかった。

全部平面で書かれるなんて。

どの角度から見ても面しかない私の頭。

丸みを帯びているところはないというのですね。

頭の形が四角形とつきつけられた日。

自分に似合うヘアスタイルどころではない。

絶壁頭をどうにかしてくれ。

顔面まな板平面をどうにかしてくれ。


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