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無理してスプーンの上でパスタをくるくるするんじゃなかった

普段「パスタ」なんか言わない。
これまで「スパゲッティー」としか
言ったことがなかった。

普段「パスタ」と言わないくせに、やったこともない
スプーンの上で麺をくるくるしてみる。

やったことがないもんだから、思いのほか、
くるくるした塊が大きくなって、
それを口に入れざるを得ない。

これでもかというくらい、
大きく口を開けて、麺の塊を放りこむ。

その瞬間をイケメン店員さんに見られた。

恥ずかしい。

大きく口を開けて麺を放り込んでいるところを見られた。

『うわぁ、大きな麺の塊を無理やり
口に入れようとしている・・・』

そういう目をしている。

穴があったら入りたい。

「パスタ」と言ったことがない分際で、
やったこともないスプーンの上で
パスタをくるくるしてしまったばっかりに。

誰だ、こんな意味不明なことをやりだしたのは。

誰だ、こんなわけのわからない食べ方をやりだしたのは。

思いのほか、大量の麺が口の中に入ってしまった
もんだから、リスのようにほっぺたがふくらんでいる。

しゃべりかけられても話せない。

『今、しゃべりかけてくるな。

このタイミングで。』

そう思っている。

まるでリスじゃないか。

食いしん坊みたいになっているじゃないか。

思いのほか、大量の麺が口の中に入っているもんだから、咀嚼を何度も繰り返さなければならない。

もぐもぐしながら泣きたくなっている。

無理してスプーンの上でパスタを
くるくるするんじゃなかった。


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