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週休4日ワークという働き方のメリットとローリスクで実現する方法

週休3日を導入する企業も出てきて、今まで週休2日(フルタイム)で働くことが常識とされていたのが崩れつつあるのを感じている方もいるのではないでしょうか。

今回はその週休3日をすっ飛ばしての週休4日で働くことがテーマです。

2020年5月現在、私はテレワークをしています。

テレワークを始めてみて、いかに通勤でストレスを感じていたかを痛感しました。

テレワークはもちろん、フルタイムで働くことをやめて出社する回数を減らすことは通勤ストレスを減らし、自由に使える時間を増やすことに繋がります。

週3日だけ会社員をする週休4日ワークには、そのような時間上のメリット以外にも金銭面でのメリットがたくさんあります。

今回はそのようなメリット・そしてデメリットもお伝えした上で、生活に困窮してしまうといった大きなリスクを取ることなく実現する方法について解説します。

全編通して約30000文字と非常にボリュームのある内容となりますが、今は働き方について見直す良いタイミングです。


後半の有料部分は今まで私自身が実践して実用的だと感じている内容を中心に週休4日の実現方法を解説する非常に濃い内容です。

主に収入が減ることへの対策やお金の不安から解放されるための手段を解説していくので、週休4日を目指すかどうかに関わらず現在お金の悩みや不安がある方にとって役立つ内容です。note代は軽く回収できるでしょう笑


出社回数を減らすという働き方に興味のある方は、ぜひ読み進めてみて頂ければと思います。

週休4日ワークで実現できること

自由に使える時間が増えることで、選択肢が広がります。

・趣味に没頭する
・子育てに時間を使う
・副業をして収入を増やす

趣味に使ったりなど、本当に自由な時間として使うためには週3日の仕事だけでも生活が成り立つように

・仕事の収入を大幅に増やす
・生活費を切り詰める
・不労所得を増やす(いわゆるセミリタイアとの中間にあたる状態)

これらを突き詰めるか併用していく必要があり、難易度は高めです。

今回は難易度が低く(少なくとも私はそう感じています)メリットも多い副業を併用するパターンを前提に話を進めていきます。

ゆるーく働くライフスタイルについては『年収90万円でハッピーライフ』という本が面白いです。著者は週休5日ワークだそうですが、限られた収入でも楽しく過ごしていけるということに気付かされます。
参考:【20代から隠居】年収90万円でハッピーライフの感想・簡単まとめレビュー!ゆるく働く★

副業を併用する複業という働き方は、フルタイムで会社員を続けるよりも収入をアップさせられる可能性が非常に高いです。

以降は副業のことを個人事業と呼びます。

給与(給料)への依存度を下げるメリット

勤務時間を減らして給与以外の収入を増やすことで、給与への依存度を下げることができます。

給与は一定額を安定して得られるというメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります(業種によっては安定のメリットも失われてしまうのは最近よく知られるようになったことですね)。

①負担の大きい社会保険料
②取られ放題の税金
③昇給は難しい

順番に解説します。

①負担の大きい社会保険料

社会保険料は給与に対して割合で計算されるため、給与が上がれば上がるほど、社会保険料も上がります。

また、自動的に天引きされているので意識していないかもしれませんが、社会保険料は年々上がっています。この傾向は今後も続くでしょう。

参考:厚生年金率"13年で35%アップ"の衝撃

②取られ放題の税金

税金を取られることに対してできる対策も限られています。

実際のところ給与所得控除の存在によって税金が取られすぎているということもないのですが、ある一定以上取られることは防ぎようがありません。

③昇給は難しい

会社の制度にもよりますが、給与は簡単には上がりません。この点は誰しも納得でしょう。

特に私のような若者が、年功序列の文化がまだ根強く残っている日本において収入を上げるのは簡単なことではありません。


事業所得を増やすことができる

これら給与のデメリットを補完するために、出社回数を減らした分で増えた時間を使って個人事業で稼ぎます。個人事業で稼いだお金は事業所得になります。

正確には条件を満たさないと雑所得として扱われるのですが、事業として継続的に取り組むなら問題にはならないところなので今回は特に解説しません。

事業所得には社会保険料が発生しません。また青色申告特別控除と経費の計上で節税が可能です。

要は給与と事業所得で同じ額面金額なら、事業所得のほうが手取りを増やしやすいという事です。

ここで重要なのは、事業をしなければならないというところです。

週3日A社で契約社員をして、週2日B社でアルバイトをする。というような働き方では、1社に依存しないという点では良いですがどちらも給与所得になってしまうのであまり意味がありません。

事業になるものと言われてピンとこない方もいるかもしれませんが、最近の例だとUberEatsの配達員は事業にあたります。


フルタイムでも副業・個人事業自体は可能では?

これは可能です。フルタイムで働くうちから個人事業を始めることが週休4日を実現するための重要なステップの1つです。詳しくは後ほど解説します。

しかし、時間的な限界があります。

平日の空き時間と休日という限られた時間だけで十分な収入を実現することは難しいです。

限られた時間の中で高い成果を上げている人もいますが、誰しもできることではありません。

また、このやり方で収入を維持するには今後も休日を犠牲にしていくしかありません。

最初は大丈夫でも、仕事が忙しいタイミング、子育てや、年をとって体力が落ちてきた時のことを考えると、常に同じペースで続けるのは難しいでしょう。

週2日でも、個人事業に集中できる時間を作るということには大きなメリットがあると考えています。


休みを平日にずらせる

個人事業であれば必ずしも平日に仕事をする必要はないので、土日に仕事をして平日旅行に行くという事も可能です。

どこへ行くにも平日の方が空いているし、料金も安くなったりするので良いですよね。


週休5日ではない理由

なぜ更に出社日数の少ない週休5日ではダメなのか?これには理由があります。

先ほど給与のデメリットとして社会保険料の負担が大きいことを挙げましたが、同時にメリットとして社会保険に加入できることがあります。

社会保険料は半分を会社が負担してくれるというのも重要なポイントです。

そしてこの社会保険の加入条件は、所定労働時間が週20時間以上であることです。

所定労働時間なので、残業も含めて結果的に週20時間だった。というのではダメです。

基本的に1日8時間の所定労働時間で契約することになるので

・週2日出社(週休5日)だと16時間で足りない
・週3日出社(週休4日)だと24時間で足りる
・週4日出社(週休3日)だと32時間で足りる

社会保険に加入できる範囲内で、休みの多さとしては週休4日が最長。というわけです。

週休3日でもOK

上記した通り、週休3日でも問題ありません。

実際、いきなり週休4日を実現するのはハードルが高いとも言えるので週休3日から始めることは全く問題ないと思います。

また、後述しますが週20時間以上の所定労働時間でも従業員数500人以下の企業では必ずしも社会保険に加入できるとは限りません。

週休3日の場合は、『4分の3基準』により確実に社会保険に加入することができます。

『4分の3基準』
週の所定労働時間および月の所定労働日数がフルタイムの4分の3以上を満たす場合は、社会保険の加入が義務付けられています。

正社員が週40時間・月20日なら、
4分の3は週30時間・月15日です。つまり週休3日に相当します。

週20時間になったのは最近

実はこのボーダーラインが週20時間になったのはつい最近のことです。

平成28年9月30日までは、週30時間以上でした。つまり社会保険に加入できるのは週休3日まで。

平成28年10月1日より20時間以上となりましたが、従業員規模501人以上の企業であることなど、まだ誰でも当てはまる条件ではありませんでした。

そして平成29年4月1日から従業員規模500人以下の企業でも、労使の合意がなされれば社会保険の加入が可能になりました。

政府の意図としては足りない社会保険料を確保するために徴収対象を拡大したといったところでしょうが、労働者側としてはこれにうまく乗っかれば最低限の労働時間で社会保険のメリットを享受できるようになったとも言えます。

ただし、上記の従業員規模500人以下の企業における労使の合意は気をつけないといけないポイントです。

社会保険に加入中の従業員500人以下の企業でも、労働組合か労働者代表の同意、または社会保険加入中および週20時間以上勤務等の加入要件を満たす短時間労働者の1/2以上の同意があり、事業主との合意がなされれば、「特定適用事業所」となり、パート・アルバイトでも社会保険に加入できるようになりました。 – ポスタルくらぶより引用

要は、労働組合があればまだ有利ですが事業主が同意しない場合は社会保険には加入できないという事です。

会社員にとってメリットである社会保険料の一部を会社が負担してくれるという点も、会社にとってはデメリットです。

こればかりは、同意しないと言われてしまった場合は説得するのは難しいと思います。

すでに会社内で社会保険の適用を受けているパートさんなどがいる場合は特定適用事業所になっています。その場合は自身も社会保険に加入できると考えて問題ないでしょう。

どうしても同意が得られない場合は先述した4分の3基準を使って週休3日からスタートする。もしくは転職を視野に入れることになります。

社会保険と週休4日の相性

社会保険に加入できるかどうかをポイントとして週休4日・もしくは週休3日を選択するという話をしてきました。

では、そこまで重要視する社会保険って一体どういうものだっけ?というところを掘り下げつつ、週休4日との相性についても見ていきます。

先に結論を書くと週休4日ワークは社会保険のメリットを最小コストで最大限享受できる方法です。

今回は特に重要な3つの軸で解説していきます。

①年金
②健康保険
③雇用保険
『社会保険の定義』
社会保険という言葉自体は幅が広く、広義には会社勤めをしていなくても加入義務がある国民年金なども含まれます。今回は会社員が加入するものを社会保険と呼ぶことにします。

①年金

20歳以上の国民全員に加入義務がある国民年金と、会社員が加入する厚生年金があります。

国民年金はよく批判の的になっている印象がありますが、そんなに悪い制度ではありません。

現行の保険料と受給額では、滞納せず払い続けた場合は約10年の受給で元がとれます。

2018年の平均寿命は男性で81.25歳、女性で87.32歳だそうです。

参考:【2019発表】日本人の平均寿命の推移、男女別(1960〜2018)

受給開始は65歳なので、元が取れるのは75歳の想定です。

今後も更に医療が発展して平均寿命が伸びていくことを考えると、元が取れる可能性は非常に高いです。

また、受給開始を70歳まで繰り下げることで受給額を最大42%増やすことができます。

ただし保険料は増え続けていますし、受給開始年齢が引き上げられる可能性も高いです。

年をとってからのお金よりも若いうちのお金の方が価値があるということも言えます。

必ずしもお得というわけではないですが、そもそも国民年金は加入しないという選択肢がないので保険料は必ず払わなければいけません。

令和二年度の国民年金保険料は16,540円です。


次に厚生年金です。

厚生年金は給与が増えるにつれて支払う保険料がどんどん増えていきます。

後ほど解説する健康保険も含めて、保険料は月給の金額に合わせてざっくり区分した等級(標準報酬月額)によって決まります。

2020年4月現在の厚生年金の保険料は、ざっくり給与の18.3%と考えておけば問題ありません。いやはや高いですね。

このうち半分は会社が負担しますので、自己負担分は9.15%です。

また、厚生年金の保険料の中には国民年金の保険料も含まれています。

厚生年金の保険料は、払えば払うほど回収が難しくなります

試しに給与30万円、給与40万円、給与50万円の場合で40年間支払った場合のシミュレーションをしてみます。

受給額はこちらの早見表を利用します。

なお受給額は厚生年金によって発生する部分(老齢厚生年金)だけなので、国民年金の保険料部分を差し引いて計算します。

給与30万円の場合

保険料月額
300,000円 × 9.15% = 27,450円

厚生年金部分
27,450円 – 16,540円 = 10,910円

40年間の保険料総額
10,910円 × 12 × 40 = 5,236,800円

受給年金額
790,000円

元がとれる年数
5,236,800円 ÷ 790,000円 ≒ 6.7年

給与40万円の場合

保険料月額
400,000円 × 9.15% = 36,600円

厚生年金部分
36,600円 – 16,540円 = 20,060円

40年間の保険料総額
20,060円 × 12 × 40 = 9,628,800円

受給年金額
1,050,000円

元がとれる年数
9,628,800円 ÷ 1,050,000円 ≒ 9.2年

給与50万円の場合

保険料月額
500,000円 × 9.15% = 45,750円

厚生年金部分
45,750円 – 16,540円 = 29,210円

40年間の保険料総額
29,210円 × 12 × 40 = 14,020,800円

受給年金額
1,320,000円

元がとれる年数
14,020,800円 ÷ 1,320,000円 ≒ 10.6年

厚生年金部分が増えるにしたがって、元がとれるのにかかる年数も増えていくことがわかると思います。

給与50万円あっても約10年なら国民年金とさほど変わらないし、長生きすればリターンも大きいので問題ないように感じるかもしれません。

しかし、見落としてはいけないのは保険料のうち半分を会社が負担しているということです。

この負担がなければ、会社はその分だけ支払い額に上乗せしてくれる可能性もありますよね。

今後も保険料は上がり続け、受給額は減っていくので実際には元がとれるまでもっと時間がかかります。

もちろん保険料を多く払っていればそれだけ老後に豊かな生活ができるわけですが、老後に備えるなら厚生年金に保険料をたくさん払うよりもiDeCoを活用するメリットの方が大きいです。


さて、ここまでの上記の内容でピンときた方も多いでしょうか。厚生年金の仕組みは、週休4日と非常に相性が良いです。

実際にそうなるかは別として、単純に勤務時間が60%になるので給与も60%になると考えてみます。現在の給与が30万円であれば、18万円です。

給与所得18万円の厚生年金保険料の自己負担額は16,470円です。

現在の国民年金保険料は16,540円なので、自己負担分だけを見れば実質負担ゼロで厚生年金に加入していることになります。

負担ゼロにも関わらず厚生年金によって受給できる年金額は約46万円です。こう考えてみるとお得ですね。

現在の給与がそもそも18万円前後の方は厚生年金の負担を気にする段階ではないということも言えます。
給与が上がる可能性のある環境なら給与を上げることに集中したり、そうでないなら転職を視野に入れるべきでしょう。

このように給与所得の割合を下げることは厚生年金の元が取れる可能性を確実に高めてくれます。

重ねてになりますが、これが実現するのは会社が保険料を半分負担しているためです。

②健康保険

次は健康保険です。種類による違いはこちらの記事をベースにしています。

自営業などの場合に加入する国民健康保険と、社会保険で加入する健康保険があります。

社会保険で加入する健康保険はそのままだと分かりにくいので、区別するために今回は被用者健康保険と呼びます。

被用者健康保険は、更に協会けんぽ組合健保に分かれます。

年金の場合は国民年金の上に厚生年金が積み上がっているイメージですが、健康保険はいずれか1つに加入します。

どの健康保険に加入しているかは保険証を見れば分かります。

保障内容の手厚さは、ざっくりですが以下のイメージで大丈夫です。

国民健康保険 <<< 協会けんぽ < 組合健保

国民健康保険は保障内容が自治体によって若干異なるため一概には言えないのですが、基本的には国民健康保険の保障内容にプラスして被用者健康保険の保障があるイメージです。

『労災保険について』
業務上のケガなどは原則として労災保険で保障されます。労災保険は全額会社負担なので、今回は取り扱いません。

いずれの健康保険に加入していても受けられる代表的な保障として次のようなものがあります。

①医療費の3割負担
②高額療養費制度
③出産育児一時金

①医療費の3割負担

一度も病気になったことがない!という方でなければ利用して知っているとは思いますが、保険対象になる医療費の自己負担額は3割になります。

②高額療養費制度

こちらは入院や手術の経験がないと知らない方も多いかもしれません。

1ヶ月間の自己負担限度額を超えた医療費は、健康保険によって払い戻しを受けることができます。

1ヶ月間に100万円払ったとしても、1000万円払ったとしても通常10万円程度が限度額になり、残りは戻ってきます。

また、事前に医療費が高額になることが分かっている場合は限度額適用認定証というものを発行しておくことで限度額以上に医療費を払わなくて済みます。

ちなみに申請しないと支給を受けることはできません。私が入院手術で高額な医療費を払った際も病院は特に何も教えてくれなかったので、この点は注意すべきポイントです。

高額療養費制度がある限り、ある程度の貯金さえしていれば医療費で生活が破綻することはありません。非常に強力な制度です。

③出産育児一時金

出産に伴い、一時金として42万円が支給されます。


上記の共通する保障に加えて、被用者健康保険では次のような保障があります。

①傷病手当金
②高額療養費の付加給付

なお、レアケースではありますがこれらの内容を国民健康保険でも保障している自治体もあるようです。

①傷病手当金

ケガや病気で働けなくて、有給も使い切り無給になってしまった期間は給与の2/3が支給されます。

私も入社直後の有給がない期間に入院したことがあり、実際に受給しました。働けなくても一定額の収入が入るのはとても助かりますね。

②高額療養費の付加給付

高額療養費制度で自己負担限度額(通常10万円程度)まで医療費が減ったあとに、更に一定額の給付を受けることができます。

組合健保で実施されていることが多いようです。

私の勤め先が加入している関東ITソフトウェア健康保険組合(ITS)では、なんと自己負担限度額が実質20,000円まで引き下げられています。

組合健保はこのように保障がとても充実しているものも多いですが、残念なことに赤字が続いて協会けんぽに切り替わってしまうケースが年々増えているようです。ITSが成立しているのはIT業界の平均年齢が低いからでしょう。


健康保険の保険料の違いについて

都道府県によって保険料率が少し違ったり、40歳以上になると介護保険が追加されて保険料が上がるなど、人によってばらばらなのでざっくり解説します。

共通して言えることとして、いずれの健康保険も収入に応じて保険料が上がっていきます。

国民健康保険
実際の収入から経費などを差し引いた金額を基に計算されます。自治体によって計算内容が少し異なります。

協会けんぽ
給与に対して都道府県ごとの料率で計算されます。

東京都の場合は40歳未満であれば9.9%です。これも半分を会社が負担するため、自己負担は4.95%です。

組合健保
組合によって保険料率が異なり、低めに設定されていることも多いようです。

ただし、先述した通り赤字になってしまうことが増えていることから協会けんぽの水準に近づいている傾向があります。

関東ITソフトウェア健保組合は40歳未満であれば8.5%と、協会けんぽよりも低めに設定されています。

組合健保も、保険料の半分は会社が負担します。


いずれか1つに加入するというのがポイント

はい。年金と同じ流れですが、健康保険も週休4日と非常に相性が良いです!

健康保険はいずれか1つに加入するというのが重要なポイントです。

自営業で国民健康保険に加入している場合、上限こそありますが事業所得が増えれば保険料が上がっていきます。

では、週休4日の場合どうなるのか?

加入するのは、協会けんぽか組合健保のいずれかです。どちらの場合でも、給与所得の金額によって保険料が変わります。

つまり、個人事業でどれだけ稼いだとしても保険料は変わらないんです。

厚生年金と同じく、給与所得の割合が下がることで保険料負担も小さくなります。

更に会社が保険料を半分負担してくれるので、格安で保障内容の充実した被用者健康保険に加入できることになります。

更に扶養している家族がいる場合は追加の保険料なしで家族も被用者健康保険に加入することができます。
国民健康保険の場合は扶養の概念がないため、家族それぞれの保険料を払う必要があります。


払う保険料が減ることによる保障内容の変化
年金は保険料によって受給額が変わってきますが、健康保険の場合は何か違いがあるのでしょうか。

結論として、2点の違いがあります。

傷病手当金の支給額が変わる
厳密には支払った保険料ではなく現在の給与ベースですが、給与の2/3が支給されるので金額が変化します。

給与所得の割合を減らすことで発生するデメリットと言えます。

このことも踏まえて週休4日にする場合は、しばらく入院になっても生活が破綻しないようにある程度の貯金をしておく必要があると言えます。

国民健康保険では傷病手当金が支給される自治体はレアケースなので、保険料をたくさん払ったからといって保障が手厚くなることは基本的にありません。

高額療養費の限度額が変わる
こちらは収入が低い人ほど守られる制度なので収入が多い人は負担が増える仕組みです。

例えば協会けんぽの場合、給与が27万円未満だと自己負担限度額は57,600円で済みます。

週休4日で給与所得の割合を減らすと基準となる給与が下がるので、負担が減ることになります。

面白いのは、あくまで基準になるのは給与所得なので個人事業でいくら稼いでも自己負担限度額が増えない点です。

国民健康保険の場合は所得に応じて限度額も上がっていきます。とはいえ大半の人にとって大きな金額になることは無いので、ここはそんなに重要ではないかもしれません。


③雇用保険

最後に雇用保険です。保険料については少額なので今回の解説内容から外します。

細かい保障内容は省きますが、雇用保険については週休4日にすることで保障内容が全体的に薄くなってしまうので注意が必要です。


開業届による影響

保障内容の解説に入る前に、重要なポイントとなる開業届について説明します。

今回の週休4日の働き方は、個人事業を行うことが前提です。

個人事業で稼いだお金を事業所得として申告するためには、開業届の提出が必要です。

「開業届を出しても何も影響はないから、とりあえず出しておけば大丈夫」

副業系のブログでこのように説明しているのを見かけたこともありますし、税務署からそのように説明されることもあるようです。

しかし、開業届を出すことで雇用保険の保障内容は確実に薄くなります

仮に開業届を出さずに個人事業をしていたとしても罰則は特に何もないので、本当に出しても良いのかどうかは確認しておく必要があります。

開業届を出さない場合は事業収入を雑所得として申告することになり税金は高くなりますが、金額が小さいうちから気にしすぎることもないと思います。

それでは保障内容について見ていきます。主に4つです。

①失業給付
②再就職手当
③教育訓練給付
④育児休業給付

①失業給付

タクシー会社の全社員解雇で話題になった失業給付です。

会社が倒産してしまった場合などやむ終えない事情はもちろん、転職のための退職であっても給付を受けることができます。

再就職の意思があることを示すことが受給のポイントなので、開業届を出している場合は再就職の意思がないものとして、受給できないケースが多いようです。

また受給額は過去6ヶ月間の給与をベースに計算するため、週休4日で給与所得の割合を減らしている場合は金額が下がります。

②再就職手当

失業給付を受給している期間中に再就職が決まった場合に支給される手当です。

実はこの再就職手当は、フリーランスになった場合でも貰えます。

ただし、開業届を退職前に出していた場合は受給できないので、退職後に開業届を出すことが条件となります。

③教育訓練給付

再就職のために受ける資格取得講座などの費用を一部負担してもらうことができます。

これらも開業届を出している場合、再就職の意思がないものとして受給が難しくなると思われます。

資格取得講座の費用などは事業所得で経費として計上できるので、デメリットばかりでもないです。

④育児休業給付

育休時の給付金は雇用保険から支給されます。1年以上その会社で働いていることが条件です。

育休開始から半年間は月給の67%、それ以降は50%が支給されます。

この数字は80%へ引き上げることが2020年4月現在、政府によって検討されています。今後しばらく失業給付の受給が増えると考えられることから、財源がなくなって先送りになりそうな予感がしますが…。

この金額も育休に入る前の給与ベースで計算されるため、育休前はフルタイムで働いていた方が有利となります。

給付金には税金や社会保険料が発生しないため、給与で同額を受け取る場合よりも手取りは多くなります。

ちなみに育休の取得及び休業給付の受給は男性でも可能です。

また、2010年からパパママ育休プラスという制度が追加され、夫婦揃って育休を取ることで子供が1歳2ヶ月になるまで育休を取得できるようになりました。


社会保険の解説は以上です。そもそも社会保険自体が重要でないと感じるのであれば社会保険の加入にこだわる必要は全くありません。

社会保険を切り捨てることで、会社が社会保険料を負担しなくていい分だけ受け取る金額に上乗せしてもらうという考え方もアリです。

フリーランスなどはこれに当たります。


週休4日ワークのデメリット

もちろんデメリットもあります。これを踏まえた上で週休4日ワークを目指してみるかどうか決めるといいでしょう。

①出世の道を捨てることになる

週3日の出社で管理職は基本的に出来ないでしょう。これは仕方のないことです。

会社で出世するという道は捨てて、個人事業を伸ばす方向へシフトするのが週休4日の考え方です。

②正社員は難しい(可能性が高い)

雇用契約上、同じ会社で正社員の扱いのまま週休4日に移行するのは難しい可能性が高いです。

正社員のまま移行する場合は、契約上の所定労働時間は変わらず、出勤しなかった分を減給という扱いになるでしょう。

減給というのもなんだか嫌な響きなので、個人的にはこの状態になるくらいなら契約社員で再契約した方が良いと思っています。

正社員のままだと、仕事が忙しい時に多めに出勤して欲しいと言われてしまう可能性もあります。

現在の制度では契約社員でも週3日以上勤めていれば社会保険の加入が可能であるということは説明してきました。

もし正社員にこだわりがあるとしたら、世間体などの感情面でしょう。そこは折り合いをつけられるかどうか考えてみて下さい。

個人事業で収入を得られるようになった後は正社員としての肩書へのこだわりは薄れていくのではないかと思います。

③社会的信用が落ちる

ちょっと嫌な言い回しなのですが、わりと重要なのでそのまま使います。

個人事業が安定していて以前よりも多い収入を得ていたとしても、契約社員になると「社会的信用」は落ちてしまいます。

クレジットカードが作りにくくなる、ローンが組みにくくなるといった影響があります。

といっても、契約社員なので自営業ほど組みにくいわけではありません。

念のため、クレジットカードなどは正社員のうちに作っておくといいでしょう。

④住宅ローンへの影響

ローンは組まなくて済むならそれが一番ですが、住宅ローンはマイホームを買う人ならほぼ利用するローンでしょう。

住宅ローンでは、正社員だと低金利になるケースが多いです。また、正社員だけを対象にしている低金利ローンもあります。

正社員のうちに組んでしまえば後から契約社員になっても金利は変わらないので、マイホームを買う予定がある人は正社員のうちに買っておくといいでしょう。とはいえ大きな買い物なので焦らず慎重に行動することが重要です。

ローンを組んだ後でも金利が高すぎるなら交渉が可能ですが、後から契約社員になった場合は当然ながら交渉が不利になります。ローンを組む段階で金利には気を使っておきましょう。価格.comなどで金利の比較ができます。

⑤職業上不可能な場合がある

副業が禁止されている公務員など、制度上どうしても不可能な場合もあるでしょう。その場合は諦めるか、転職してでも実現したいならこっそり副業を始めて軌道に乗った後に転職するのもアリだと思います。


週休4日は次のステップも考えやすい

週休4日にして会社員と個人事業を両立することで、独立を視野に入れる場合もスムーズに移行できます。

週休4日ワークは社会保険の加入と生活費のベースとなる給与収入を一定量得ることができるという2点で、独立と比べて大幅にリスクを抑えることに特化した働き方です。

リスクを抑えた分だけ独立に比べると収入は伸ばしにくいです。

しかしながら、いきなり独立となるとフリーランスのように一定額の収入が安定的に見込めるような働き方に限定されがちです。

時間を掛けただけ収入が得られるわけではないような事業をしたい場合は、成果が実るまでの期間(場合によっては数年)に必要な生活費を蓄えておく必要があります。

週休4日を通して個人事業で一定の収入を得られるところまで事業が育っていれば、そのまま独立しても生活に困る可能性は低いでしょう。

事業をもっと伸ばしたい、時間が欲しいと感じた時は安全に会社を辞められる状態を作れるという点も、大きなメリットの1つです。


結局のところ価値観に合った働き方ができることがベストです。

働き方については、会社で働くか、独立かの2パターンで語られることが多いように感じます。

実際には、その中間にあたる週休4日のような働き方も選択できる可能性があるということについて今回は提案してみました。

ここまで読んで、自分が求めている働き方は週休4日ではないかも。という事が分かったならそれはそれで良いことだと思います。


後半の有料部分では、具体的な週休4日の実現方法について解説していきます。

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