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気むずかしいライターとの付き合い方を、現場編集者の目線で書いてみる

ライターや、記事に関わる作業者には色々な人がいます。気さくでフレンドリーな人もいれば、気難しい人やプライドが高く、ちょっと付き合いにくという人もいるでしょう。そんな人とうまく仕事で付き合っていくコツや接し方を紹介します。

相手の背景から調査してみる

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以前に編集者として、こんなやりとりをしたことがありました。

初めてお仕事を頼むライターさんと面談したときのことです。その人は、とにかく細かいところまで質問してくる人でした。ルールに記載のない表記や表現、修正の内容、質問をしたら時間帯によって返信時間がどのぐらい変わってくるのかといった、こちらの細かいスケジュールなどなど。

1日に何度も細かい質問、応対が続きました。さすがにその人とのコミュニケーションばかりに時間を割いていてはこちらの仕事にならないため、思い切って質問したんです。

「なぜ、そのような細かいところまで尋ねられるのですか?」

実際はもうちょっとぼかした聞き方をしましたが……

とにかく話を聞いてみると、別のところで仕事をしたとき、作業内容があまりに曖昧で何度も修正が発生していたことや、報酬の支払いが遅れたこと、評価が下がったことなどが元で、今度の仕事ではそういった苦労をしたくないため、はじめから色々聞くことにしたのだそうです。

私の方からは「始めに取り交わした契約と仕事内容以外の作業をお願いすることはない」「マニュアルに書いてある通りの表記・表現を使い、それ以外はあなたの裁量で仕事をして欲しい。マニュアル外の修正については一切要求しないことを約束する」ということをお伝えした結果、ご納得していただき、細かい質問が頻繁にくることはなくなりました。

また別のライターさんの中には、文面は気難しそうでもお会いしてみるととても気さくな方で、気難しいと感じていることを素直に打ち明けてみると「自分は気難しく振る舞っている自覚がなかった」といった方もいらっしゃいました。

このような感じで、「前の仕事や環境によるもの」や「自覚がない」といったケースも多々見られます。まずは思い切って相手の背景を聞いてみるのはありです。その原因を解消することで、こちらを信頼し、打ち解けてくれる人もいるでしょう。

無根拠な校正や修正はしない

ライターさんによっては「自分の記事に勝手に手が入れられるのを嫌だ」という人もいます。記名記事であれば特にそうです。自分の名前が出るわけですから、手直しするのを嫌がる人は少なくありません。

ですが、きちんと理由を明かせば納得してくれる人も多いです。表記については「投稿するメディア側のルールに従っている」「記者ハンドブックに基づいている」など、きちんとした根拠があれば、納得しない人もそうそういません。

「編集者の好み」「なんとなく」では、納得しないライターさんも多いでしょう。編集者自身が修正の根拠をきちんと説明できるように修正すること。もしくはそうできるようにスキルアップすることです。

「この人は無根拠な修正はしないな」と理解を得れば、修正に関する質問やクレームがくることもなくなります。

信頼関係を築くことが大事

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上2つの問題については、「編集者との信頼関係がない」という問題に起因します。「この編集者はちゃんと仕事をしてくれるのだろうか?」「実力は確かなのだろうか」という不安に起因するわけです。なので、信頼関係をきちんと構築すればこういった問題は減っていきます。

信頼関係の構築とは「約束を守ること」です。報酬は決められた通りに支払う。最初に説明した内容以外の作業をさせない、などです。曖昧な取り決めもせず、事前にきっちり作業範囲やルールをお伝えすることも大切。

間違いを間違いとして指摘しないこと

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人は誰でも、自分の落ち度や間違いをストレートに指摘されるとムッとくるものです。それが間違いに対してのものなら良いのですが

「あなたは誤脱が多いですね」
「1度この間違いは指摘しましたよね?」

などのように、その人の能力批判とも捉えかねない指摘を、無意識のうちにやってしまっている人もいるんじゃないでしょうか。指摘の仕方を間違うと、ムッとしてつい言い返してくる人も出てくるでしょう。

そういった間違いを指摘するとすぐにムッとしたり言い返したりする人は、「プライドが高い」のではなく、「言いたいことをはっきり言ってしまう人」なのです。

ここでの問題は「言ってくる人」より「内心で不満を溜め込んでいるけど黙っている人」です。

モチベーションが下がっているので記事のクオリティが下がったり、ある日突然爆発したりします。

編集者の仕事は、間違いの指摘ではなく良い記事をあげてもらうことなのですから、「ここ、間違ってますよ」「あなたの能力が足りていません」より「こうした方がもっと良い記事になります」と指摘の仕方を変えてみてはどうでしょうか。

特別扱いはしないこと

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別の編集者から引き継いだライターさんで、締め切りを常習的に守らない方がいました。守ってくれるように伝えると「前の編集者は認めてくれた!横暴だ!」という返答が返って来ました。

どうやら、育児や仕事で多忙らしく、なかなか締め切りを守るのが難しいとのこと。ですがライターさんの中には子育てや他のお仕事と並行していてもスケジュールを守る方は守りますし、それを込みで締め切りに合意しているはずです。

特別扱いをすると、そのルールに合わせて工数があがってしまいますし、他のライターさんから見れば「なんであの人だけ特別なの」と不満があがってきます。断りにくい場合でも、特別扱いはしないことを意識しましょう。

『ワガママ』と明確に区別する

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気難しい人やプライドの高い人とのコミュニケーション難は、信頼関係を気づくことで解消されます。実際に話してみたら気さくな人や、態度を柔らかくする人もでてきます。

重要なのは、「単にワガママな人」との区別を明確化することです

同じ要求を何度もしてくる
自分の都合にあわせたルールの変更を要求してくる
不平や不満ばかり口にする

こうした「ワガママ」な人と、彼らは違います。

ワガママな人に付き合って時間がとられるのは無駄ですし、ワガママな人がいることで、他のメンバーのモチベーションにも影響が出てきます。

「以降この話題に関しては返信しません」と、何度も要求してくる人についてはバッサリ言ってしまうのもアリ。

オンリーワンの人ならある程度は仕方ないとはいえ、それでもその人にかかる工数と考えて「割に合わない」なら、バッサリ切るしかなくなります。

チャットで伝えるとコミュニケーションエラーが発生する可能性も高まるので、面談などの場を設けた上で、相手と話し合ってみるのもありでしょう。その上で「合わないな」と思ったら、ご縁がなかった、とするのも仕方ないかと思います。

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