見出し画像

『アオイホノオ』のドラマが面白かった!

ドラマ版『アオイホノオ』をAmazon Primeで視聴し、レンタルで一気に全話見てしまいました。

その魅力の一つは、見知っている登場人物や舞台設定が織り成す漫画業界ならではの親近感にあると思います。このドラマについては先にほとんど情報を得ずに視聴したため、観ているうちに役者の演技や演出の個性に気がつき、今更ながらそれが福田雄一監督の手によるものだと知り驚きと納得感が沸きました。

これまでに福田監督の作品を何度か視聴したことはあったものの、コメディやギャグの要素に対しては、共感を覚えることがあまりなく、心を捉えるものに出会うことはありませんでした。例えば、一挙手一投足が笑いの塊である大泉洋さん主演の『新解釈・三國志』ですら、作中では一度も笑うことなく、自分の感性とは合わないと感じていました。

自分たちの世代が笑いについて学んだのは、間違いなくダウンタウンの存在が大きいと思います。『ごっつええ感じ』のショートコントに見られるような、鮮烈な笑いの源を薄めて長尺にしたかのようなコメディタッチのドラマに対しては積極的に観る事が無く、それは自分だけでなく、他のギャクやコメディ制作者も同じように感じているのではないかと、勝手に思ってしまいました。

しかし、『アオイホノオ』では、実在の人物をモデルにしたキャラクターたちが織り成すユーモラスな空気感が原作とドラマの絶妙なバランスを生み出している様に感じました。失礼ながら佐藤二郎さんの演技で笑ったのも本作が初めてです。焔モユルとの打ち合わせ終わりで電話機を投げ捨てるシーンは最高でした。

しかし最も興奮したのは、最終回に登場する島本和彦先生自身の演技で、その生き生きとした眼差しは他のどの役者よりも真剣で、演技では無く先生自身の本気の言葉でありその台詞には感動を覚えました。そのサプライズ演出を最後に持ってきた福田監督は見事だったと思います。とても楽しい作品でした。