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J2甲府が天皇杯を制覇

甲府 1-1(PK5-4) 広島 (2022.10.16.横浜国際)
 毎度のことながら、サッカーの神様はドラマの筋書きを書くのがうまい。
 J2で残留ラインすれすれの甲府が、J1で3位の広島を向こうに回して、絵に描いたようなショートCKからの先制。しかしレギュラータイムの終盤に川村に同点ゴールを決められ、延長後半には途中出場したばかりの在籍20年の大ベテラン、山本がPKを献上。これで万事休すかと思いきや、広島は頼みの満田がまさかのPK失敗だ。

 PK戦に もつれこんだらもつれこんだで、今度は殊勲者の川村が外して、広島がビハインド。5人目を担った満田はビビらず決めるも、後攻の甲府は、一度は戦犯になりかけた山本が勝利を決めるキックを沈めた。
 J2甲府の選手など1人も知らなかった私のような一般ファンから見てさえこうなのだから、日頃から取材を重ねているサッカーラーターにとっては、記事を書くのが楽でしょうがないゲームになっただろう。

 敗れた広島はいささか工夫と粘りが足りなかったか。相手が120分間、本当に集中を切らさずに守備をしていたのも確かだが、勝負の縦パスを次々とカットされ、前がかりになっていた分、何度となくカウンターを食らった。
 森島やドウグラスといった他の主軸が早々に交替する中、満田だけがポジションチェンジをしつつ孤軍奮闘していたものの、このルーキーに延長後半のPKまで蹴らせたり、PK戦の5人目を託したりするのは酷というものではないか。
 勝った甲府はJ2への残留こそ決めているが、仮にJ3陥落が決まっていたら、この天皇杯優勝は大変な珍記録になるところだった。山梨県民の皆さんには悪いけど、その点が少し残念ではある。
 それでも北は札幌から、南は福岡や鳥栖まで、J1クラブを5つも破った、文字どおりの全国制覇。私も学齢期前に山梨県に住んでいた縁もあり、快挙を称えたい。

<オマケ>
 甲府の鳥海選手、読みは「とりかい」なのですね。多くは「とりうみ」さんか「ちょうかい」さんだと思うが、彼は湯桶読みなんだ。日本語は面白い。

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