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新聞部数減の原因はスマホなどネット経由で情報摂取が進んだからという解説で構わないと思ってる

 神田大介さんが記事を書いていて、話題になってました。

 神田さんの話にも一理あるんですが、消費分析の観点からすると消費動向とコホートの関係の理解が根本的なところで間違っていて、また、因果推論にわざと至らないようなデータを並べて「スマホが新聞を殺したわけではない」と位置付けてます。

 言うまでもなく新聞以外の紙媒体の発行ベースも広告出稿も減っており、また、神田さんの掲げた新聞売りの部数もいわゆる「押し紙」問題で公取事案となってしまった時期の不正確な数字を前提にしているので、まったく参考にならんわけです。

 国民が、全年代に渡ってスマホ経由での情報入手にカネを使うようになり、総世帯版の家計調査報告における週刊誌や雑誌、書籍の支出額(まあこれも統計的にどうなのという話はあれども)や、各媒体・分野別の広告出稿および広告効果を見れば一目瞭然で「新聞の部数低迷はスマホへの情報流通意向が原因」という因果推論で間違ってないよと思います。

 さて、神田大介さんはポッドキャストや地方紙についても触れておられます。この辺は私も良く知らんので何とも言えませんが、ひょっとして分かってないのかと思える一文もありました。

メディアにはコーホート効果があるという学説に従えば。
彼らはきっと、年を取ってもポッドキャストを聞き続けます。
音声で報道と言えばラジオ局という大先輩がいるのに、新聞社がポッドキャストに力を注いでいるのは、そんな理由からです。

 これは「すべての産業にはライフサイクルがあり、需要は下の世代の行動を促さない限り常にコホートを起こす」のであって、「メディアには」とかいう話じゃありません。新聞社が生き残りのために若い読者に訴求するためポッドキャストをやるという行動そのものは大賛成ですが、他方で、紙を刷って自宅に配るという高い利益率を誇った装置産業である新聞業界が、そのメディアシフトを担えるだけの利益をポッドキャストで稼ぎ出せるのかというのが一番の問題です。

 こういう話は何度も記事にして来ましたが、新聞記者の人たちは賢いので「そんなことは分かってるよ」という返答が返ってきます。ですよねー。でも、分かっているのにここ15年ずーっと終わってきた紙の新聞にしがみついて、いまでは新聞よりも不動産業のほうが利益率が高いという状態になっているのはどうなんだってのは問われた方がいいと思いますね。

 で、延々読まれている私の記事がありまして、要するに情報に価値があるのであって、ニュース配信の仕組みや媒体に価値があるわけではないという当たり前のことに回帰します。ヤフーがニュース配信を冷遇するのも結局は他にもっといい利益率の事業があるからそっちやれよとコストセンター扱いしたからなんでしょうが、実際にはそっちこそコホートに陥らない重要な仕組みなんですけどね。

 まあしょうがないね。


神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント