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角川歴彦さん逮捕さる

山本一郎(やまもといちろう)

 予想より2日ほど遅かったかなという気もしますが、ともあれKADOKAWAの角川歴彦さんが贈賄の件で逮捕されてしまいました。報道だけでなく周辺情報から見ても先に逮捕されたKADOKAWA関係者二人はトップの大物・角川歴彦さんの強い意向を受けて窓口役として汗をかいただけなのは明白であったため、地検特捜部としても角川さんの逮捕でまずはナシをつけたというのが正直なところかなと思います。

 気にしていた川上量生さんですが、角川歴彦さんという大物を摘発するにあたって脇役に置かれ(そのそろは代表取締役だったはずなんですが)、どうでもいい感じの扱いになってるのは川上ヲチャーとしては惜しくも思います。

 むしろ、本来であれば東京オリンピックの誘致活動から1年遅れの開催まで多くの影響力を行使してきた筆頭の森喜朗さんに向けてはどうも諦めている風もあります。見聞きする限りでは、森喜朗さんという人は政治の最前線から退いてからはむしろ重鎮として「真ん中でよっしゃよっしゃ言ってる人」であって、細やかな周辺での目配せはありながら人望を集めてきた好々爺でありました。

 以前、私も某マスコミで国立競技場解体建て替えにあたり、噂としてあった解体利権を追ったことがあるのですが、東京都議会のドンとされた内田茂さんも森喜朗さんも前都知事の石原慎太郎さんの関係先も、明確に金を摘むようなことはしていなさそうです。むしろ、よく分からん連中が「シンキローがこう言っている」などと勝手に騙ったり二人羽織したりして、いろんなもんを仕切っていた経緯もあり、また、なにぶん一部の関係者も自殺してしまわれましたので、意外と政治家本人は金銭の要求もしていないし業者の陳情に応える程度の働きだったりして立件まではいかなかった経緯はあるようです。

 本来であれば、現役閣僚(大臣)を狙いに行くぞと鉢巻締めて頑張りに行くところ、これもそこまでは手が伸びないのではないかともいわれています。

 逆に言えば、それだけ高橋治之さんというのは政治家に依存せずとも実益的なところはほとんど取り仕切れるだけの能力を持った人物だったのだなあとも思うわけで、興行の世界ならではのところなのかなと思います。

 なお、一部報道で当て馬にされた講談社を森喜朗さんがご子息醜聞報道で怨みに思い入札を蹴られた経緯が出ていました。ただ、新設された雑誌・出版枠でのスポンサーシップにおいて何が起きていたのか実際にはよく分かりません。

 高橋さん知人の会社が元電通雑誌局長だったから業界土地勘に明るかったのは間違いないにせよ、動く金額からしてKADOKAWAは7,600万円とかの規模ですから、それに見合う話が本当にあったのか理解不能なんですよ。

 捜査が進展して起訴され、角川歴彦さんに対して高橋治之さん側がKADOKAWAで行けるよう取り計らうから出せと言ったなら、無い話に値札をつけて売るというある種の詐欺みたいな話にもなるので、そうなると、今度は一転KADOKAWAは騙された被害者になります。

 残念なのは、日本の司法制度や法律実務において、特に顧問弁護士などの担当者は秘密事項のリーガルコメントをメールなど文面に残して保存しなければ守秘義務的な観点からも免責にならないことにあります。途中でKADOKAWAの顧問弁護士が「(みようによっては)贈賄にあたり違法である」旨の助言をしたものの、先に逮捕された窓口役氏がこれを握り潰す形で振り込んだという報道がありましたが、事実であるならば、弁護士事務所はわざわざKADOKAWAが違法と知りつつカネを払った証拠など残したくなかったはずです。しかし、彼らの立場を守るためにも欧米と異なり書面に残さなければならなかったという点でKADOKAWAはちょっと打たれすぎな感じはします。

 AOKIもKADOKAWAも創業者リスク爆発の感はありますが、世界の檜舞台に自社ロゴと共に祭事の一端を担う誘惑は避け難いものがあったのでしょうか。

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山本一郎(やまもといちろう)

神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント

山本一郎(やまもといちろう)
作家/投資家。当アカウントは概ね個人の意見です。情報法制研究所上席研究員、お座敷置物芸全般。ゲームと読書と野球と調べものと。