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私の記事が、ヤフーニュース個人からすべて削除された件について

 先日、東京新聞が「地方新聞のヤフーニュースへの掲載料がページ単価0.025円」である旨を掲載していました。

 一方で、かねて批判のある通り、スポーツ新聞などが垂れ流す、芸能やスポーツ、ネットの話題などの大量のコタツ記事がヤフーニュースに流れ込んでいます。もちろん、ユーザーが求めるニュースを流すことが収益の最大化に繋がるというのは事業者としては痛いほど分かる一方、ユーザーの読みたいニュースを選別して送り続けることが「フィルターバブル」を作り上げ、社会問題に対する認識や態度が似通った人たちがネット上でクラスター化することで、これらクラスター間を繋ぐ人物や記事が弱くなり、結果として社会がネットにより分断されるリスクがあることは指摘されてきました。

 ポータルサイトとしてのYahoo!JAPANの成長の軌跡は、まさにこれらユーザーが読みたいニュースでページビューをかき集め、そこに広告を掲載することで収益を上げるという、まさに駅前で配っているティッシュと変わらない形でコンテンツを扱っているとも言えます。だからこそ、配信される記事のコンテンツとしてのクオリティを問わず、多くの人たちが目を通してもらえるニュースが広告収入の源泉となるのは間違いありません。

 その点では、たいしたクオリティではなかったかもしれないけど、記事発表の場として10年ほどヤフーニュース個人に記事を出させていただいた私は、yahoo!JAPANに対して深く感謝の念を抱いています。後から思えば遊び過ぎだと思うようなロッテ初芝清記事や、文末の〆にとてもニュースとは無関係のmixi社DISりを混ぜ込んで遊んでいたことを考えると、よくもまあ関係が続けられたなあと思わずにはいられません。

 一方で、先日、私のヤフーニュース個人での活動結果である1,000本を超える記事が、すべて削除になりました。私の記事を参照しようとしていた新聞記者の方がいち早く気づき連絡してこられ、また、ネットニュースの配信問題に詳しい他のプラットフォーム事業者の方々からも「何があったんですか」というご質問も電話やメールなどで頂戴しました。実は皆さんから大変な関心を払ってもらえていたのだというのが改めて分かり、潰れた老舗天ぷら屋のように「潰れてから嘆かれても困る」という感想も抱きますが、ともかく削除されました。

 いままで一連のYahoo!JAPANとのやり取りについて、私から公表しなかった理由は、彼らとの守秘義務を守っていたからです。

 すでにいろんな人が私について言及してくださっていますが、私のヤフーニュース個人上での記事は昨年2月をもって一切の新規記事の掲載を止めています。その時点で、すでにYahoo!JAPAN側から配信契約の解除を申し渡されており、私もすでにYahoo!JAPANとの信頼関係は失われたと考え、強く抗弁することなく追加記事を上げないことで諒解しました。

 しかしながら、その際に私のニュース個人担当者氏とのやり取りの中で、取り決めとして「私のヤフーニュース個人での掲載記事は削除しない/掲載を続ける」という合意をしていました。それであれば、いま複数のウェブ連載を抱え、証券会社やヘッジファンドなど法人向けにレポートを書いている私からすれば、ヤフーニュース個人という寄稿・執筆先がひとつ減るだけのことですので、何かムカつくし納得できないけど仕方ないかと了承をしたのです(何故納得できなかったかは後述します)。

 私のヤフーニュース個人の記事が掲載される前提で配信契約解除を了承した理由はふたつあります。

 ひとつは、過去に執筆した記事はウェブに残り、私の活動の軌跡としてネット上のウェブ資産として長く残るからです。なにぶん、実質10年1,000本以上の記事を書いてきましたので、そのトピックスについて検索する人は私の記事を目にする機会はこれからもあるだろうと考えていました。

 もうひとつは、ヤフーニュース個人で掲載した記事において、その内容を巡り複数の裁判を抱えているため、争いの利益の観点から記事を掲載し続ける必要がありました。今回、ヤフーニュース個人が事前の通知のみで勝手に記事を削除した件については、私からすると「記事削除を求める裁判」で応訴しているという「訴えの利益」がなくなってしまうので、非常に困惑しています。

 その訴訟になっている代表的な記事のひとつが、自由民主党・幹事長代行を務めておられる衆議院議員・野田聖子さんの御主人である木村文信(野田文信、韓国名:鄭文信・当時)さんが暴力団関係者である疑いがあり、木村文信さんが17年に手がけていた仮想通貨「SPINDLE」の上場を巡り、資金決済法上の取扱事業者になれるよう金融庁職員を野田聖子さんの議員事務所に呼び出して圧力をかけたのではないかと見られる嫌疑について記述した内容です。

野田聖子総務相、秘書がGACKT関与の「SPINDLE」で金融庁担当者に圧力(修正あり) http://web.archive.org/web/20210224163704/https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20180719-00089971/

 現在裁判中ですが、本件裁判の証人尋問で、当時野田文信さんが所属していたとされる会津小鉄系三次団体「昌山組」の組長、昌山実さん本人が東京地方裁判所の証言台に立ち、木村文信さんが当時昌山組に三人しかいなかった韓国系暴力団組員であったという証言を行った最中に、これらの関係を報じた私のヤフーニュース個人の記事がYahoo!JAPANにより勝手に削除されてしまうという大変な問題に発展しました。記事を削除して欲しいと訴えられて、事実と信じているので削除はしませんと、東京地方裁判所で戦っている最中に、その訴えの根幹(利益)である記事を削除されてしまったのですから、これはYahoo!JAPANは事実上、何らかの理由で野田聖子さんのスキャンダル記事をどうにかしてヤフーニュースから排除したかったのではないかという憶測が関係先やマスコミから出るのは当然です。

 また、現在問題となっている旧LINE社現Aホールディングス社の「LINE」が韓国に暗号化されない形で画像や映像・LINE Payなどの決済情報その他を保存し中国系企業への再委託を行っていた問題については、従前から、LINEの問題について7年越しで問題について知り得る立場にあり、問題の所在について警鐘を鳴らしてきました。

 もっと言えば、LINEが公共政策部門の発案で設立した一般財団法人・情報法制研究所(JILIS)は私が事務局次長・上席研究員として長く参画しており、逆にそのような立場であるからこそ、LINEには然るべき対策をきちんと取り、日本の自治体や政府各省庁の情報を扱う事業者として、日本国内法に準拠し国内で完結するようなデータの取り扱いとするべきという話はしてきました。今回このような形でLINEの問題になってしまったことは私の力不足を痛感するところではあるのですが、それでも、我が国の越境データ問題やオフショア開発の在り方についても含めて考えていかなければならない状態にあります。

 この問題が火を噴き始め、ワクチン接種台帳で自治体がLINEをより深く活用していくよ、ライフケア事業も含めて医療データも扱うよ、LINE証券やLINEMO、LINE Payのような通信・金融事業もやるよ、損害保険会社やライフネット生命もLINEを使った営業を始めたよという状況で、その経営統合されるZホールディングス社や、今後事業も統合するであろうYahoo!JAPANから、わざわざ名指しも同様に、掲載記事を過去に渡って削除するという話を突きつけられるのは、言論封殺にも等しい、ニュース配信プラットフォーム事業者としてはまさに自殺行為ではないのかとすら思います。

 何より、配信契約解除の時点で「記事は削除しない」とした、担当者との取り決めは何の前提条件もなく簡単に破られました。納得がいくはずがありません。Yahoo!JAPANは嘘の条件を飲ませて私に配信契約解除を飲ませたことになり、到底納得ができることではないのです。

 また、先般の峯村健司さんらの朝日新聞報道もそうでしたが、LINEやZホールディングス社の問題がこれだけ騒ぎになっているにもかかわらず、Yahoo!JAPANのニュース配信ポリシーを盾にストレートニュースすらヤフーニュース上で報じられなかったことや、あれだけ読まれた現代ビジネスでの私の記事さえもヤフートピックスに掲載されない状況を見ると、プラットフォーム事業者としての中立性、自律性を考えず、ユーザーのために何を報じるべきかも自分たちで判断できなくなってしまったのではないかという危惧も覚えます。さすがに、LINE問題の記事が当初ヤフーニュースのトップどころかトピックスでも出ていないので二度見しました。

 昨年2月に、記事配信契約の解除を申し渡されたときに、当初、私が執筆し掲載した記事として問題とされたのはこちらの記事です。

東京弁護士会、人権賞を「福島の放射線デマを流したと指摘される問題NPO」に与えて無事物議にhttp://web.archive.org/web/20200114015726/https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20200112-00158656/

 この記事は、福島県で発生した福島第一原発事故で放射能デマを流したと問題視された白石草さんが代表理事を務める「特定非営利活動法人OurPlanet」に対し、なぜか東京弁護士会がその活動に対して人権賞を授けたことについて問題視する内容です。

 しかしながら、この記事についてヤフーニュース編集部にどのようなクレームが入ったのかは分かりませんが、配信契約解除の理由になっているにも関わらず削除されることなく、今年の2月上旬までは問題なくヤフーニュース内に掲載をされていました。記事は問題なく掲載されていたのに、その記事が問題だとして、執筆者である私との記事配信契約を解除するというのは理解に苦しみます。

 同じく問題視された記事は、次のものです。

160兆の国民の年金を運用するGPIFで、セクハラを巡る怪文書騒ぎが発生 http://web.archive.org/web/20200521233933/https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20191122-00151972/

 この記事は、私たちの年金を運用する基金GPIFにおいて、当時GPIF理事であった水野弘道さんの周辺で、正体不明の怪文書の流通と共にセクハラ問題が勃発した内容について記したものです。

 ところが、関係先から伝え聞く限りではこの水野弘道さんはグロービス堀義人さんに自身の醜聞記事(実際には水野さんの醜聞記事ではないのですが)の処理について相談し、堀さんがYahoo!JAPAN代表取締役の川邉健太郎さんに連絡を入れたことが問題の契機とされていますが、実際のところ、何がYahoo!JAPAN社内で起きた事実なのかは私には分かりません。

 この記事はどういう理由かGoogle検索のインデックスからもご丁寧に削除をされ、それなりにお金をかけて対策を施した痕跡が残っているのが気になります。そもそも水野弘道さんはGPIF理事をご退任後、電気自動車大手の米テスラ社の取締役に就任されたうえで、経済産業省の参与にも起用されたあと、テスラ社の利益の源泉であるカーボンプライシング政策を日本でも進めるよう働きかけるという利益相反の疑いについては指摘されていて、齋藤ウィリアムさん的なスパイではないと思いますが気になる存在として各方面からウォッチされている人物です。

 一連の問題は、ニュース配信のプラットフォーム事業を営んでいるYahoo!JAPANが、その配信記事のクオリティ管理を超えて、一定の編集権を実際に行使して情報の隠蔽(いんぺい)を図ったり、自社や関係者・関係先に都合の悪い記事を配信しなかったり、専門家からの記事の発信と銘打って事実上の執筆者の引き抜きを繰り返して記事配信元の出版社などのメディアとの利益相反を堂々と行っていることにあります。

 冒頭の東京新聞のように、地方新聞へのページ当たりの単価は0.015円と極めて低い金額に抑えられる一方、私も執筆していたヤフーニュース個人の記事配信単価はその数十倍プラス記事執筆支援のようなサービスが付帯しています(具体的な金額は、契約解除後も守秘契約の範疇と見られますので詳細は控えます)。

 しかし、これらはすべての分野、すべての記事において、yahoo!JAPANが記事を調達している出版社、新聞社、通信社、ウェブメディアなど媒体社と競合しています。例えば、文春オンラインや現代ビジネスで記事を書いている私にとって、ファクトチェックから事後校閲・校正までやってくれていたヤフーニュース個人は週刊誌編集部にも近い、同等の機能を持っていました。

 最終的な原稿料という観点では、ヤフーニュース個人は文春などの媒体社からの原稿料よりは安いものの(それは単に私の記者・ライターとしてのランクが高く、媒体から頂戴する原稿料の水準が高いからです)、媒体社からすれば、プラットフォーム事業者が自ら媒体社のような編集部体制を築き、独自の記事を作り、日本のニュース配信市場で相応に支配的であるヤフーニュースに優先的に配信されるとなれば、これはとてもではありませんが公平な競争とは言えません。

 さらに、クオリティコントロールをするという名目で編集権を行使していながら、実際にヤフーニュース個人で流れている記事には、ニュースとは程遠いようなオピニオン記事や雑多な記事が並んでいます。社会学者や経営者などの特に根拠のない意見がニュースとして流れていたり、相応に価値はあるけど事業関係者の伴侶や親族が書くフェミニズム記事がストレートニュースと並んで流通していて、明らかに統制が取れていないのです。

 それもこれも、Yahoo!JAPANだけでなく、その親会社であるZホールディングス社、ソフトバンク社、ソフトバンクグループ社の、利益優先の体質が、必ずしもいままでのYahoo!JAPANの事業を根幹から支えてきたニュース配信事業を重視しなくなったからに尽きます。ヤフーニュース個人に限らず、ニュース配信事業はコストの塊で、ユーザーの知る権利とか報道原則によるコンプライアンスという観点とは別に、儲からないうえに成長するような事業でもないので、明らかに雑に扱われるようになったことで、今回のような言論封殺のような記事削除すらもたいした検討すらした経緯もないまま気兼ねなく実施できてしまっているのでしょう。

 ヤフートピックスの選定にあたっても、あれだけの影響力を持ち、多くの媒体社がヤフートップに載るために記事タイトルの微調整を重ねるぐらいの過熱した状況であるにもかかわらず、いままで報道やニュース編集、デスク業務を行ったこともないような経験の浅い人物が複数、流れ作業のようにかなり適当にニュースを選別しているように見えます(これらヤフーニュース編集部の問題については、後日別の記事としてまとめて書きたいと思っています)。

 私個人としても、Yahoo!JAPANが手がけたヤフーニュース個人の成長のなかで好き放題やらせていただいた件については深く感謝していますし、きちんと事情を説明できないままの私に対して、多くの関係者が気にかけてくださったことはありがたく思っています。別に本業もありながらも、いまなお複数の媒体からお声がけをいただいて毎日のように記事を執筆し発表できていることは、間違いなく、ヤフーニュース個人によっても鍛えられ、拙くとも自分なりの見識をまとめるための場をくださったからだと存じます。

 Yahoo!JAPANとの信頼関係は失われましたが、ちょうど海外でもニュース配信においてプラットフォーム事業者と新聞社、テレビ局などのマスコミ各社・媒体社の間でショーケースが始まったりもしております。この手の話題は日本独自のものとも思いませんので、私には私の能力的にできる範囲内で引き続き頑張っていきたいと存じます。久しぶりに私の独自スレが5chに立っていて、応援も揶揄も中傷も論評も公平である限りこの社会の礎を為すものだという認識で取り組んでまいります。

https://books.rakuten.co.jp/rb/15879273/


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山本一郎(やまもといちろう)

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