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ヤフーニュース編集部から微妙な釈明文が出ていた

当記事のまとめ:
(1)掲載契約が終了したら全記事を削除すると読める契約・利用約款はない
(2)専門性が足りないと指摘された記事は担当に説明済みで、修正も当該記事削除もされていない
(3)配信契約解除時に、編集部担当から掲載の継続を言われていたことが反故になった
(4)編集権行使して焚書してるのに、なぜプラットフォーム事業者として免責の状態にヤフーニュースはいるの?

 先日、現代ビジネスとnoteで「私のヤフーニュース個人の記事が1,000本以上削除された件について」触れたところ、賛成から罵声までさまざまなご反響を賜りました。どういう意見であれ、私のために多くの方が時間を使ってくださりありがたい次第です。

 私も10年近くヤフーニュースにお世話になり、感謝しかないという気持ちになにひとつ変わりはございません。一方で、仕事における契約解除はこの手の雇われ稼業では常であるとはいえ、切られる理由が不明瞭なことと併せて、過去に書き続けてきた記事が全部削除される件については納得できるものではありませんでした。

 事実、過去の配信済み記事の削除は行わないというヤフー側の説明を信じて配信契約解除については昨年2月に了承し、今回の今年3月の記事全削除については削除について合意したつもりはなく、一方的な通知によってのみ、全削除になったという経緯については従前の私の説明の通りで変わりはありません。

 私個人の問題だけではなく、ニュース配信を行うプラットフォーム事業者を標榜するヤフーニュースの正統性にも影響が及ぶこともあって、今日になり、ヤフーニュース編集部より久しぶりに連絡があり、ネット上で釈明文書を掲載するよとのことでした。で、現在クソ忙しいのですが見物に行ってきた次第です。

 騒ぎになる前にちゃんと説明してくれればよかったのにと思う部分もないではありませんが、当方の承知している事実と異なる点や、おそらく公式には触れたくなかったので記述していないであろう点について、簡潔に述べたいと思います。要約は冒頭に書いた通りです。

(1)掲載契約が終了したら全記事を削除すると読める契約・利用約款はない

Yahoo!ニュース 個人では、オーサーとの契約が終了した際には、記事の掲載もあわせて終了することとしています。これは、契約終了後の記事の問い合わせ対応において、Yahoo!ニュース 個人側では事実確認をすることができない、時間の経過によって状況が変わった際などに追加の記事の配信をお願いすることができないなどの理由によります。ただし、例外的に、契約終了後も記事掲載を継続する場合があり、今回の山本一郎氏のケースにおいても、掲載継続のご要望があり、訴訟に関わる記事もあることも踏まえ、契約終了後も掲載を継続しておりました。

 まず、ヤフーニュース個人のオーサーとの契約が終了した際に記事の掲載を終了すると読める契約は締結されておらず、使用許諾約款にもその旨の記載はありません。個別にヤフー側が適切と思わない記事の削除をするところまでは記述がありますが、それであったとしても、一律で全記事削除(すべての記事が掲載基準に満たない)になるはずがありません。

 むしろ、掲載記事など提供した情報については契約期間終了後も「無償で」Yahoo!JAPANが利用できる状況が入っています。おそらくこの規約に基づいて、ヤフーニュース個人編集部担当から「山本との契約は解除するが、ヤフーに掲載している山本の記事にユーザーからの閲覧があっても広告料収入などの分配金は払わない旨」の但し書きまでありました。要はこれ、掲載を続ける前提で認識していたということですよね。契約解除されているとはいえ、ヤフー内に掲載されている記事に対する収益の権利まで剥奪される意味が分かりませんが、利用約款にそう読める条文がありますのでとにかくそういう方針として説明を受けました。

 さらに、「契約期間終了後に状況変化などで記事の内容の変更をお願いできないので」という理由が今回付記されていますが、実際には、過去に掲載した記事について起きたクレームが当方に回され、記事の内容を無償で変更し一部情報を追記するように要請されて、私はそれに応じています。何という丁寧なアフターケア対応。

 最後に、私は訴訟の件についてヤフーニュース個人編集部と詳細についてまったく情報提供をしておらず、記事の掲載継続について最初にその条件を伝えてきたのはヤフーニュース個人編集部の担当であって、ヤフーニュース個人配信記事が削除を申し立てる裁判の対象になっていたことについては不知だったと認識しています。

 詳しくは知らなかったはずの裁判の内容について、なぜ知ったような記述になっているのでしょうか。それまで「一言も」ヤフーニュース編集部から裁判についての対応や現状報告の要望は無いのです。よく理解できません。

(2)専門性が足りないと指摘された記事は担当に説明済みで修正も当該記事削除もされていない

Yahoo!ニュース 個人は、幅広いオーサーの専門性を活かしたコンテンツをユーザーに提供しています。そのため、「オーサーガイドライン」にて当社とオーサー間の契約で定めた指定カテゴリ以外の記事や当社が認めた専門性に基づかない記事の配信を禁止しています。山本一郎氏については、合意した専門性に基づかない記事やガイドラインに抵触すると考えられる記事の配信があり、複数回にわたり配信内容について改善のお願い、ご相談をしておりました。

 私の立場や専門性に基づく記事を執筆するようヤフーニュース個人編集担当から申し入れがあったのは事実です。

 しかしながら、問い合わせのあった記事については専門性どころか当事者であるから記述できたものすら含まれ、当方からの説明の結果、当時もその後も記事の内容に一部の付記をする程度で特段の問題も起きず、削除されることなく掲載をされ続けました。

 最後には、私の所属している、法律家や法学者の集まる情報法制研究所の要員が深く関係する東京弁護士会が、白石草氏らの運営する「Our Planet TV」の流した福島第一原発事故の健康問題などの事実関係のはっきりしない不審な活動に対し「人権賞」を授けるという問題に関する記事をも専門領域外として指摘され、配信契約解除の理由になっていました。

 複数回にわたって専門領域の確認についての話し合いをしたのは間違いなく事実としても、実際には記事の削除などの措置は取られず、その後も掲載され続けたという点からしても改善の余地も必要もなかったことの証左ではないかと思います。

(3)配信契約解除時に、編集部担当から掲載の継続を言われていたことが反故になった

しかしながら、Yahoo!ニュース 個人にてシステム刷新を行なっている関係で、記事掲載を終了することとなりました。この掲載終了にあたっては、2021年1月29日に山本一郎氏にご連絡を差し上げ、上記事情をお知らせした上で、過去記事の掲載終了へのご理解をお願いしました。その後のやりとりを経て、2月12日に記事データ提供のご依頼をいただき、2月15日に山本一郎氏にこれまでご執筆いただいたすべての記事のテキストデータをご提供させていただきました。そのうえで、2021年3月1日に記事掲載を終了とさせていただきました。

 ヤフーニュース個人編集部より、発信者名のない無記名の通知として上記の連絡を受けたのは事実ですが、記事の全削除については納得できず、合意しないが、掲載記事については納品物であることには違いがないのでまずは記事データの提供は行ってほしいとの要望を行って、送達をされました。

 しかしながら、配信契約解除の際には「配信済み記事の削除は行わない」と明言しておいて、その後、ヤフーニュース個人の都合で「システム変更をすることになったのでという建前で全記事を削除します」と言い、権利者の私に同意なく全削除を実施するというのは、道義的な問題のみならず、プラットフォーム事業者側の専横であり傲慢であって、適法性を欠く対応であると認識しています。

 あれだけインハウスの弁護士を雇っているのに、よくこんな対応ができるなあと不思議に思います。普通、最低でも協議の場を設けて合意のための調整をするでしょう、だって記事1,000本以上ですよ?

(4)編集権行使して焚書してるのに、なぜプラットフォーム事業者として免責の状態にヤフーニュースはいるの?

 そもそも、執筆者の専門性を吟味して発信内容を管理するのであれば、それはヤフーニュースは単なる配信先としてプラットフォーム事業を行っているとは言えないレベルで編集権を行使していると言えます。

 もちろん、ニュース配信を行う上でそのクオリティコントロールをしなければならないのだという意味において、ルールを設けて執筆者とのコミュニケーションを重ね、記事を配信することでヤフーニュース個人が求めた価値を実現し、社会的機能を果たそうとすることは問題ございません。

 しかしながら、他の取り扱い媒体社(新聞社や通信社、出版社など)にはページビューあたりの単価を極めて低く抑えながら、ヤフーニュース個人においては執筆者の専門性に立ち入り、配信済み記事の専門性に要望や難癖をつけながら修正させたり削除したりするというのは、実質的にメディア、媒体社として編集権を行使し、記事の掲載内容にヤフーニュースは広く責任を負っていると認識します。

 新聞社や出版社などの媒体社からの配信記事については「私たちはプラットフォーム事業に過ぎず掲載を媒介しているので、内容については関知せず法的責任は負いません」として安い金額でしかページビュー単価を支払わないでおきながら、一方で、Yahoo!JAPANやLINE、Zホールディングス社など身内にとって都合の悪い記事の配信は積極的に行わず、媒体社で活躍する書き手には一本釣りで優遇する仕組みは適切とは言えないのではないでしょうか。BuzzFeed JapanやPAGESも含めて、実質的に自社メディアとしてヤフーニュース個人をうまく使い分け、同じような記事、専門性を売りにする他の媒体社の仕入れで圧力をかけていると批判をされても仕方がないところです。

 他方、引き続きヤフートップページに掲載されるニュースは媒体社にとっても膨大な富を生み出す利権構造そのものであり、媒体社に対策を打たれる恐れがあるとはいえその掲載基準や透明性には疑問があります。

 それであるならば、ヤフーニュース個人と銘打つような、媒体社にとって不利で不公正な弥縫策ではなく、他の週刊誌や新聞社の署名記事と同じレギュレーションで個人発信者を扱うべきです。

 どうせくだらない圧力がかかって大人の事情で焚書にしたのを、私が騒いだので現場に責任が押し付けられて大変なんだろうなあとお察し申し上げる次第です。

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山本一郎(やまもといちろう)

神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント

他にスキっていうべき奴いねえのかよ。言ってやれ、私に言ってないで。ほら
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作家/投資家。当アカウントは概ね個人の意見です。情報法制研究所上席研究員、お座敷置物芸全般。ゲームと読書と野球と調べものと。