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「ねぇ、どうして私じゃないの?」 私は彼に必死に問いかけても、ただただ俯くばかりで、私の…
祖父が亡くなった。 つい二週間前のことだ。 あまりの突然の訃報に暁人は驚き、納骨が…
令和3年9月1日 この日、暁人は珍しく朝7時に起床した。 夏休み中の大学生と言えば、お昼ごろ…
僕には、人の波が視える。 見えるのではなく、視える。 感じるといったほうが近いのかもしれな…
※第一話はこちらから 大正12年8月20日――― 石森玲子は一人、自室で膝を落として、唖然と…
※第一話はこちらか 令和3年8月12日――― 朝目が覚めると、暁人はすぐさま手紙箱の蓋を開け…
※第一話はこちらから すでに白く輝く太陽は、東京の真上を照らしている。 時刻は14時20分。 暁人はあれから二度寝をしてしまい、起きた頃にはすっかりとお昼を過ぎてしまっていた。 ショルダーバッグを肩にかけ、真夏の東京へと出かけた。 埼京線に乗り、池袋を経由して東京メトロへと乗り継ぐ。 到着したのは日本橋駅である。 暁人はレターセットなど持っておらず、それを買いに行くためにわざわざ日本橋高山屋へと向かった。 高山屋5階の文具売り場へ立ち寄り、500円ほどのレターセットを購入
※第一話はこちらから 布団にごろりと転がると、疲れがどっと来たらしく、暁人はうーと唸りな…
祖父が亡くなった。 つい二週間前のことだ。 あまりの突然の訃報に暁人は驚き、納骨が終って…
「ねぇーってば!こっちおいでよ!」 夏帆が川の浅瀬で、僕と純也を呼んだ。 純也は「行こう…
きっとこれは夢だ。 あなたの「別れよう」という言葉が、今も耳に残響する。 私は思わず耳を塞…
仕事終わりに独り、電車から見える夜の景色を、私は何も考えずに眺めていた。 つい1時間ほど前…
「この分からずや!あんたなんて大っ嫌い!!」 放課後の教室に、絶叫が木霊する。 私は…
古臭い六畳間で一人、窓を開けながら春の宵に謳う。 小さなお猪口には蛇の目の青い満月が浮かび、日本酒の馨しき香りが酔いを回した。 ふと、生温かな風が吹く。 アパートの道を挟んだすぐ隣を流れる川を彩るように植えられた桜並木が揺れる。 その音に、俺は耳を澄ませた。 花弁が囀っている。 そう思えるほどに、桜の花弁の奏でる音は心地よいものであった。 もしこの気持ちを、小さな紙の中に描けたのなら、どれだけ幸せなことだろうか。 だが何分、私には北斎のような画力も