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「おねえちゃん、入るよ」 こんこんと部屋の扉をノックする音が聞こえ、そこに入ってきたの…
「夏祭りまであと3日か……」 慌ただしい平日の仕事が終わり、一人部屋の中で恵は溜息をつ…
「悟……!」 彼の姿を見るなり、梓が涙目となり、駆け寄って抱き着いた。 梓の華奢な腕…
午後の授業の終わりをまだかまだかと願ったことは、今日が初めてではない。 初めてではな…
「なぁ、恵」 「なに?」 「北条ってなんであんなに俺に突っかかってくるんだ?」 悟は恵に…
こんなにも貧乏ゆすりが激しいのはいつぶりだろうか。 午前中の授業などすべて放棄してや…
悟は1限目の授業が始まる前、詩を心配して保健室へと行った。 担任には体調不良だと嘘をつき、1限目の授業を欠席した。 一度仮病を使って休んだことをきっかけに、彼には休むことへの罪悪感は当になくなっていた。 保健室の担当医に体調不良が嘘であるということを正直に話し、教室であった出来事打ち明けた。 詩がここにいるという確証はなかった。だが、悟は彼女がここのいるという確信はあった。 学校で逃げ込む場所の相場といえば、保健室以外ありえないという根拠なき自信が彼にはあった
週明けの月曜日はあいにくの雨であった。 梅雨の時期であるから当然の天気なのだが、いや…
「ねぇ、悟」 「なに?」 「ありがとうね。こんな私みたいなのに優しくしてくれて」 明かり…
「―――ということで、何日か居候することになった。よろしく!」 悟は突然の出来事に頭の…
「あら、おはよう悟。よく寝れた?」 「おはよう母さん。昨日は布団ありがとう。床に直寝は痛…
「というわけでだ。僕は有栖川さんの妹をまずは話し合いをすることになった」 「運がいいんだ…
―――2014年8月4日 長野県軽井沢キャンプ場 「おーい、あんまり遠くのほうにいくんじゃない…
「おいおい、そんなに大げさに話すなって悟」 「本当だよ!おい、頭の後ろさわんな!」 慎之介はへらへらと笑いながら、怪我をしている包帯の巻かれた悟の後頭部にちょっかいを出していた。 「ったく、本当に迷惑ね。大事な従業員が使えなくなったらどうしてやろうかしら」 恵はため息交じりに答えた。 悟はあのあと、少しばかりゲームセンターで気絶していた。 気絶といってもほんの数分の出来事であったが、その様子を見ていた従業員が気絶した悟をバックヤードに連れていき、すぐさま手当をし