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巨大切り絵の舞台装置

宣伝美術は、ペン画でデザイン。

原作:T・ワイルダー「ロングクリスマスディナー」
中野成樹+フランケンズ,の短々とした仕事

『家族でお食事夢うつつ』舞台切絵作品のご紹介。

アメリカ中西部のとある田舎町。ある一家の、毎年毎年行われるクリスマスシーズンのディナー。90年にもわたる、幾度ものクリスマスを経て、3代もの家族の入れ替わり。この家に初めてやってきた時は、価値ある環境だった。でも現代では、風化して廃れた片田舎の家。そんな一つの家族の小さな歴史。

同じシーズンの同じ食卓。時代が変われば、常識も変わる。昔憧れていたものは、今では古臭くて切り離したい過去。親子の溝からうまれる様々な葛藤。それでも、毎年のディナーは受け継がれていく。淡々と、粛々と。これは、人が生まれて、生きて、死んでいく、そんな流れを三代にわたって綴る人生のお話し。

この物語に、切り絵で宣伝美術と舞台を作らせていただきました。サイズはおよそ5m×6mの舞台背景。作品は、左から右へ、Born、Childhood、youth、mniddle age、Old、deathと、生き死にをテーマとした色合いとモチーフで制作しています。よく見ると、若さには新芽や葉っぱ等、老い〜死には枯葉等をモチーフとして入れています。

照明に当たると凸凹等が浮き出て、奥行きが出るように作りました。5×6mの巨大切り絵は楽しかったです。はじめて、アシスタントさんとの仕事もできました。

舞台装置としての切り絵、そしてそこに照明があたる様子は圧巻でした。作品は2007年のものですが、今見ても、パワフルで楽しい仕事だったなと思います。

何より、人生の流れを3代にわたって想像しながら作るというのがとても面白かった。生まれたてではフレッシュだけれど、年老いて枯れていく。でもそれも含めて次の時代への大切な流れの一環でもあり。どの瞬間でも、人生は美しい。そんなことを思いながら創作しました。取り組みをさせていただいた当初の関係者の皆様に改めて感謝です。


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