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祖母の家を片付ける【食器編】

こんにちは。

築70年になる祖母の家を片付ける作業を母と一緒に進めています。
古い大きな木で組まれた美しい家で、住んでいた人の生活が染みついたような家が私は大好きでした。

今回はそんなお片付けの時に出会った食器のお話。

2022年10月

デイサービスに通うようになった祖母は、家にいる間はずっとリビングに座っていることが多くなりました。

頭もぼんやりしているようで、受け答えもあまり反応が返ってこないことが多くなりましたが、手を握ってくれることが嬉しかったです。

食器の整理をメインに進めました。食の細くなった祖母に会うお茶碗や湯呑み、小皿など普段使っていた食器棚の食器は欠けているもの以外はそのままにしていましたが、倉庫にしまわれていた箱入りの食器を選別され、いくつかはゴミに出すためにまとめられているのをみて、「おばあちゃんまだご飯食べるねんで」と不安そうに言っていました。

食器食器食器!

1階にも2階にも、とにかく頂き物の箱に入ったままの食器が溢れています。
70年あるとこれだけのものが溜まってしまうんだなと積み上げられた箱を見て思います。

さわち料理を盛るような大皿や、大量のお茶を飲む茶器など、昔は家でお葬式など大切な儀式をを行っていたので来客が多かったようです。時代ですね。

まあ、私も数年しか住んでない部屋にどんどん物が増えて行ってしまっているので…×70年、しかも収納できる場所があるのだから仕方がないのかなと。

おばあちゃん、気持ちわかるよ…。

漆器の経年美化

大量の食器を前に、どうせ残すならなるべく良いものを残そうと思って、箱を開けて一つ一つ見ていきました。

磁器だけでなく木製のものも出てきました。
この中に漆器がないか期待してしまいました。

漆器は以前NHKで見た「世界は欲しいモノに溢れている」で、三浦春馬さんが岩手県の漆器を紹介していて。私も漆をお迎えして月日を過ごして経年の色味とかを味わいたい〜!と思っていました。

▼三浦春馬さんが紹介していた漆器屋さん

「経年美化」
普段私たちは、「経年変化」という言葉を使ってきました。
実際、広辞苑でも経年美化とは載ってないそうなんですが、三浦春馬さんが時が経つことを前向きに捉える言い回しとして選んだのではないかと言われていて、
確かに経年美化ってなんだか美しく聞こえますよね。

うるしの國・浄法寺 2020.08.29

経年美化!
なんて素敵な言葉なんだろう!
なんて素敵な言葉なんだろう!!!(2回言いたい)
月日の移ろいを愛でる素敵な言葉です。

三浦春馬さんの著書「日本製」でも漆器について紹介されています。日本全国津々浦々の手仕事が紹介されています。素敵です。

そんなわけで単純にも相棒の漆器に出会えることを期待しながら器を見ていくことにしました。

……。

教えて漆器の見分け方

漆器には、天然木と合成樹脂(プラスチック)の物。漆塗りとウレタン塗装というものもあるようです。

ウレタン塗装の漆器は、長年使用することで傷がついてだんだん表面が曇っていきます。漆塗りの漆器と違い、傷がついたりハゲたりしても修理ができません。

株式会社丸山久右衛門商店 HP

相棒にするならやはり、本漆なのか!
(高級でお手入れが大変)


この中に本漆があるのかな、と思いつつも触ってみたり匂いを嗅いでみたり水に沈めてみたりしてもイマイチわからなかったです。(ネットで拾った見分け方をとりあえず試した)

優秀な犬さんとかに、これは漆だワン!とか教えていただきたい。わからない…。

これはなんか良さそうだ、と思ったものも、大きなお盆で、想像していた手に収まるお椀はありませんでした。
それっぽいお椀はたくさんありましたが、おそらくプラスチックでした。親戚にお雑煮を配ったりするときに使っていた揃いのお椀がたくさんありました。
相棒の漆器、いつか経験を重ねて出会えば分かるのかな。高級感とか手触りとか。

相棒の漆器はまた今度。
やはり自分で歩いてたくさん見て、出会いに行かなきゃダメですね。

漆器の失敗談

三浦春馬さんの漆の話から、旅行先で漆を探していたのです。網走の商店街で見つけた漆器屋さんで、見つけた漆器のお箸を相棒に、と購入しました。

女満別空港へ

網走の漆器は、江戸時代に本州(会津藩)から移植された漆樹の末裔で、日本の漆樹の北限です。そんな歴史ある網走の漆樹を守るため、網走うるしの会の皆様が日々奮起されているということでバックグラウンド含めて素敵だと思いました。

そんなこんなで予算と旅行の荷物のことを考慮して、憧れていた漆器のお箸をお迎えしたはいいものの、漆器のお手入れ知識もないままだったので、熱で反ってしまったり、先を折ったりしてあまりに早い相棒の死で動揺しました。

お箸は消耗の激しいので一緒に育っていく相棒として選ぶのは間違えたなー…と学習しました。(あと知識のなさとガサツさ)
いいお箸だったので残念です。ごめんなさい。

知床の流氷を添えて

いい食器とは。

漆器の件しかり、ずっと食器を見てきたわけでもなく、知識も目利きであるわけでもない素人に、高価な食器かどうかなんぞわかるわけもないのでした!
(そりゃーそうじゃ!)

なので、とりあえず、欠けているものや染み付いているものは処分しました。

もう価値はわからないのだから、直感で素敵だと思ったものや自分が使いたいと思ったものは残しておこうということになりました。
手に収まりがよくて、可愛くて、胸がときめく物がいい食器である、という結論をだしました。

といいつつ、食器の裏側をみて、刻印がある物はなんとなく仲間に固めて分けてみました。

香蘭社とか


・すぐに持って帰って使うもの
・いつかおうちが広くなったときに使いたいもの
・売りに行くもの
・卒業させるもの

に仕分けをしました。
こんな食器でご飯食べたいな、素敵だな…がたくさんあったので気に入ったものは綺麗にして倉庫に移動させました。いつか広いお家にお引越ししたらしっかり使っていきたいです。
何にでも使える便利な日常のお皿はもちろんのこと、季節ごとのお皿や特別な日のお皿も素敵ですよね。その季節のため、その日のために作られたものの特化した美しさは何にも変え難いです。使い所が限定されているにもかかわらず、今日まで人を惹きつける魅力があります。
今はお部屋も狭く、お皿をそこまで多く保管できないため、将来の自分にとっておきました。(食器たちが喜ぶようなインテリア、空間と生活のゆとりを。)

すぐに持って帰って使うものは、醤油皿やお茶碗など使いやすそうなのを選びました。私の家では、お茶碗や小皿はよく割れたり、欠けたりしてしまうので、祖母の家から持ってきたものに大変助けられています。

焼き魚のお皿
煮物のお皿
お醤油皿
旅行先に持って行く栓抜き
etc…

ここからいろんな食器に出会って、いいものにも出会いつつ、大切なものを増やしていきたいです。

まだまだ終わらないお片付け。

精進します。
切り絵作家 ひら子

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