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祖母の家を片付ける【小物編-傘】

こんにちは。

築70年になる祖母の家を片付ける作業を母と一緒に進めています。
古い大きな木で組まれた美しい家で、住んでいた人の生活が染みついたような家が私は大好きでした。

今回はそんなお片付けの時に出会った祖母の傘のお話。

大量の傘…傘…傘…

2階を片付けていると、折り畳み傘をギフトで渡すブームがあったのかな?と思うくらい、折り畳み傘がたくさん出てきました。
こっちの箱からもこっちの棚からも、とどんどん出てきて面白かったです。

並べたあとまだ出てきてびっくりした。

おしゃれ番長のもたらした「折り畳み傘」

「あ〜〜!」
と思い出したように母は花柄の折り畳み傘を見せてくれました。
「これ、母さんが子どもの頃に初めて買ってもらった折り畳み傘やで」

母の折り畳み傘デビュー

小学生の頃、近所のおしゃれな幼馴染が小学校に持ってきたのが「折り畳み傘」だそうです。
折り畳み傘というものも初めてみた母。新鮮で、お花柄で可愛らしくて、さらにそれがおしゃれ番長の幼馴染が持っていたものなので母も欲しい!と祖母にねだって買ってもらったそうです。

お花柄!

「まあ、子どもやから買ってもらったらある程度満足してもて、その後は多分おばあちゃんが使ってたと思うで」
自分にも思い当たることがたくさんあり、いつの時代も子どもというのもの変わらないのだなと思いました。

傘を束ねるひもに修理をした跡があり、若き日の祖母も気に入ってたくさん使っていたのかな?と想像しました。
そういえば、母も私がどこかの国の記念に買ったきり使わなかったポーチやトートバッグを使っていくれています。母は別にポーチが気に入って使ってる訳ではなく、勿体無いしサイズや使用感に問題がないから使っているだけなので、やっぱり祖母もそっちの気持ちのほうが強かったのかな、とも思いました。

祖母が修繕した跡

傘のセレクト会 折り畳み傘変遷

さあ、傘の処分をしましょう。
傘は不燃ごみですかね。(A:自治体によって様々)

傘なんて1本あれば十分でしょうよ。
と思い、一つ一つ広げてセレクトをすることにしました。

広げてみると、畳み方やバネの作りにも技術の変遷なのか色々な違いがあって楽しかったです。重たいものが軽量化されていく様子や、たたみ方が3段階になったり、広げると長傘と変わらないようなしっかりとした安心感があるような傘まで、技術的なこだわりが見えて面白かったです。

柄可愛い

折り畳み傘が日本で開発されたのは、1954年。アイデアル社
母がやたら「なんであるアイデアル」と言いながら傘を広げていたのかわかりました。そういう CMがブームの火付け役だったんですね。
そんな折り畳み傘の歴史を、中川政七商店さんがまとめてくれていました。
1954年の開発後に、日本人お得意の職人気質なこだわりで、現代の傘に繋がる技術発展があったようです。
おしゃれ番長が折り畳み傘をもたらしたのが1960年代半ばあたりのはずなので、おしゃれ番長はブームをしっかり掴んでいたんですね。さすがです。

↑とても楽しい読み物でした。
たくさん折り畳み傘のギフトボックスが出てきてびっくりしましたが、当時大流行の先端技術の傘は定番だったのかもしれませんね。
(量にびっくりしたけど、確かにしっかりした折り畳み傘がもらえると嬉しいな)

日本人は世界的に見てもかなり早い段階で雨傘を使っていたことになります。
…(中略)…自然の恩恵を多大に受けている国だと思うのですが、湿度が高く衣類が乾燥しにくいため、濡れることを嫌う人が多いそうです。

中川政七商店の読み物

そういえば、イギリスに行った時、みんな傘を刺さないし、レインコートが主流だったような気がします。
傘と日本人に思いを馳せる時が来るなんて、人生わからないものですね。

そんな横道に逸れながらも傘をたくさん見ていくと、そのうち、「まあ、傘なんていくらあっても困らんしな…」と考えが変わってしまい、先っぽのプラスチックが割れてしまっているものは、他の傷んだ傘からもらって直したり、染みているものは卒業させたり折れているものなど、ある程度選出はしつつ、状態がいいものは残しておくことにしました。
今の折り畳み傘と比べて随分骨がしっかりしているように感じました。
(和製折り畳み傘の始祖、アイデアル社の傘もありました)

1本横浜に持ち帰って使おうと思います。

母の最初の折り畳み傘はしみしみになっていたため、
先っぽのプラスチックのみ綺麗な傘に付け替えました。
国語で習った青い傘屋さんのお話を唐突に思い出した。
空色の傘

本のタイトルを忘れていたのですが、昨今の検索機能のおかげで辿り着けました。本当にありがたいです。
安房直子さんの「青い花」
そういえば最後とても悲しい気持ちになったような気がします。読み返そうかな。

折り畳み傘もあれば、長傘もいっぱい。
これはまた今度。

まだ出てきそう。

精進します。
切り絵作家 ひら子

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