カウンセリングをしていると思っているのはカウンセラーだけかも
これ、結構多いように思います。
形式上は、カウンセリング契約を交わしたとしても、です。
カウンセラークライエント関係は、一般社会では無い、独特な関係です。
ユーザーは頭ではわかっていても、真に納得してクライエントになるまでに、実はかなり時間がかかると思います。
カウンセラー側はこのことをよく念頭に置く必要があるように思います。
カウンセラーの世界の常識では、「コロコロとカウンセラーを代えるのはよくない」、「カウンセラーを転々としているのは行動化だ」、「ドクター(カウンセラー)ショッピングだ」といった暗黙の了解が刷り込まれているように思います。
でも、カウンセラーはクライエントだとみなしていても、ユーザーは、半信半疑ながらクライエント風にふるまってくださっているだけの場合も多いと思います。
その場合、「なんか違うなあ」と思ったら、ユーザーはカウンセリングを辞めてしまうでしょう。
開業カウンセリングルームの場合、それははっきりと表れます。
実際、そう感じてセカンドオピニオンを求めて当ルームにアクセスされる方もいらっしゃいます。
あるいはカウンセリングが続いていても、カウンセラーの感じる手応えは、カウンセラーの自己満足という可能性もあるかもしれません。
開業領域のようにはユーザーがカウンセリングへの拒否をしにくい、医療領域や子どもの領域などでは、かなりこういったケースは多いかもしれません。ドクターや先生、保護者の手前、「なんか違うなあ」が表現しにくくなるからです。
そもそも、カウンセリングってどんなものかは小中学校でも習わないし、テレビでもやらないし、日本ではカウンセリングは馴染みがなくよくわからない。
本で勉強したり、カウンセラーから教育を受けても、多くのクライエントさんは、実体験するのは初めてです。
カウンセラーとクライエントさんには、知識量に圧倒的な差があります。二人の関係にはいってみれば権力、力の明らかな勾配があります。
日本人は、従順に、とりあえず場に合わせることを良しとするところもありますし、「専門家が言うんだからそうなんだろう」と思っても不思議ではありません。
例えば婚姻届を出して、結婚式を挙げても、真の夫婦になれるわけではありません。
子どもが生まれたから、真の親子になれるわけではありません。
結婚や出産は、関係づくりのスタートです。
カウンセリングでのカウンセラー、クライエント関係も、これと似ているのではないかと思います。
ユーザーが「クライエントになるまで」という段階があることを肝に命じ、カウンセリングを行っていくことが大切だと考えています。
クライエントさんがカウンセリングに感じる疑問や違和感を表現していただくことが大切だと思います。
表現しにくいけど抱えていらっしゃるだろう疑問や違和感をカウンセラーが感じ取ることが大切だと思います。
感じ取ったことを話し合う対話スキルがカウンセラーには必要です。
どんな理論や技法においても、これは大切なことだと思います。
ユーザーが、真に理解して、〇〇療法を活用できるようになって初めてクライエントになったと言えるのではないでしょうか。
ユーザーをクライエントに育てる、あるいはカウンセラークライエント関係を育てる。
この視点を忘れずにいたいものです。
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