白黒思考になっていることを言語化してみる

元旦に発生した地震以降、心理支援を行う当ルームも、何か言葉を出そうと思いながら、なかなか決まった言葉にならないまま、日々が過ぎています。

亡くなられた方のご冥福をお祈りする気持ち、まだ安否が不明な方のこと、直接的な被災をされ避難を余儀なくされている方のこと、支援に向かう方のこと、そのご家族のこと、国や自治体の対応について、緊急支援として当ルームに何が出来るかということ、過去に体験した震災の記憶、次は私自身の身近で地震が発生するのではないかという不安や怖さ・・・

様々な気持ちを感じると、それをジャッジし否定する声もセットとなり自分の中に出てくる状態にあるように思います。

亡くなられた方のご冥福を・・・⇒そんな決まり文句、偽善ではないか
次はわが身が心配・・・⇒自分の心配をしている場合なのか
言葉にならない・・・⇒専門家としてどうなのか

などなどです。だから、発する言葉が決まりません。

一つの言葉が浮かぶと、それを否定する言葉が浮かび、ぐるぐると回り続けるからです。

強い不安やショックに見舞われると、白か黒か、0か100か、良いか悪いか、正義か悪か、敵か味方か・・・という具合に、白黒思考に陥るのが人の心です。

これは分断が生まれた状態であり、心が病んでいる状態と言えそうです。

支援者、被災者といった切り分けた見方も分断でしょう。支援にあたる方も、同じ日本に住むという意味では、海外から見たら被災者でしょう。被災されていても、支援役を担っている、担わざるを得ない方もたくさんいらっしゃるでしょう。

心が病み、白黒にぱっくりと分かれるときにこそ、グレーなものを排除しない精神が大切と考えます。

そんな想いを込めて、私は今しっくりくる言葉が見つからないという状態にあり、これは白黒思考に陥っている、病んでいる状態だ、という現状をあえてつぶやいてみました。

だから何?
今苦しんでいる人に、何の役に立つの?
しゃべっていないで具体的な支援は?

といったジャッジメントの突っ込みがすぐさま心に現れます。本当に困ったものです。

それでも、いまここでの気持ちの状態をなるべくそのまま言語化することを通して、どなたかの白黒思考に、少しでもグレーの入る余地を作る取り組みも心理専門職の仕事の一つだと思っています。

ですので「心の専門職として仕事をしている私も、専門職だからといっても全く例外なく、いま、白黒思考に陥っている」と言語化してみました。

これは心が弱いー強いという類のことではなく、心のメカニズムとして、誰しもそうなるのが自然ということです。

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