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菫色の実験室vol.5|un jour|5 gouttes と奇数の頁

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 菫色がだんだんと深く濃くなり、夜が訪れました。ここでは、夜の闇色は、黒ではなく濃い菫色のようです。白いティドレスのレース模様に沈静してゆく菫色の深さを感じながら、いつもより薄暗い廊下を歩いてゆきました。

 菫の砂糖漬けの甘さはいつしか消え、香りはいつもの青々しさを取り戻しています。薄暗いせいか、感覚がいつもより鋭利になってゆくのを感じます。別々の方向から流れてくるかすかな香りが、ある扉の前ですっと混じり合いました——実験室からの合図です。



 菫色の聖所——入室した瞬間、そう思いました。

 やさしく漂う香りと共に、そこには深い静寂が広がり、小さなキャンドルが無数に灯されていながら、菫色の闇が室内を覆っています。
 小さな炎が揺れるたび、香りは少しずつ変化し、スミレの隙間にいくつかの香りが配されてゆきます。香りを紡ぐ神秘が、暗がりから語りかけてくるようです。

 静寂を乱さぬように、そっと室内を見て回りました。
 全てが整然と並んでいます。ゆらめく炎の背後に、きっちりとしたお仕事があるようです。棚に並んだガラス壜にはハーブが保管され、貼られたラベルのタイポグラフィも大変美しく、細部への繊細な感性が、この静寂を守っているように思いました。

 シルバーの薄紙に丁寧に挟んであった実験日誌には、香りのレシピたる一篇の詩が綴られていました。

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 菫色の聖所の主にとって、調香はすなわち詩作。
 詩を綴るように、香りを綴る。それがキャンドルになり、火が灯されることで、詩が朗読されるように、香りが綾なして広がってゆく——

 ここでは、香りの言葉を聞くために、静寂が用意されていたのです。

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 部屋の一番奥には、キャンドルに囲まれて、一冊の書物が開かれたまま置かれていました。菫色の薄き頁が灯りと香りに照らされて、不思議な光をたたえています。頁が夜露を浴びたスミレ花の寝台のように横たわり、その美しい光景をしばらくの間、じっと見つめていました。

 と、頁の上に、一滴、また一滴と、雫が落ちてきました。頁に触れた途端、鮮やかに香りを散らします。

 「5滴の植物と言葉の調香」——

 スミレ花の寝台から、詩人の言葉が香りと共に立ち上がり、しだいに室内を包んでゆきます。キャンドルの灯りもいっそう明るさを増し、夜の菫色を照らしています。
 聖所の主からの贈り物のような、とても優しい時間が流れていました。馨しい静寂の中では、祝福、という言葉がふさわしいかもしれません。

 キャンドルというひとつの存在から、人のこころを温かくする香りを紡ぐ清廉なる聖所の主へ、敬愛を込めて——

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un jour | キャンドル作家 →HP
存在を主張しない美しさを思想とし、自然を紡ぎながら丁寧にひとつひとつ手仕事で作品を制作しています。

00_通販対象作品

作品名|5  gouttes と奇数の頁
植物性100% ソイワックス・天然精油(すみれ・フェンネル・ゼラニウム・ローズマリー・月桂樹)
サイズ|キャンドル
高さ6.5cm/直径5cm
サイズ|ラッピング
高さ 約 23cm
制作年|2020年(新作)

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 ひときわ静謐な佇まいと、天然材料へのこだわりで知られるキャンドル作家un jour様より、深い菫色へといざなう特別な香りが届きました。
 すみれ、フェンネル、ゼラニウム、ローズマリー、月桂樹——調合した5つの香りには、ちょっとした秘密が・・・。光栄にも霧とリボン 直営SHOP「Privae Cabinet」5周年にちなみ、「5年間のストーリーを5滴の植物で表現」して下さったとのこと。おやさしいお心遣いに胸いっぱいになりました。

 100% ソイワックスと天然精油のみで作られたキャンドルからは、揺らめく炎と共に、香りがやわらかく漂います。夜露を浴びたスミレを思わせる、青々しい中にすっと透明感が立ち上る清冽な香りです。
 ガラスドームの中に入れて飾るのもオススメ。見た目も素敵な上に、香りが閉じ込められるので、時折ガラスドームを持ち上げて、香りを楽しむことができます。
 
 ノーブルな佇まいのラッピングには、キャンドルに込められた詩が美しく配されています。隅々にまでun jour様の美意識が込められた馨しい一品は贈り物にも喜ばれます。

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